2018年読んだ「感想を書き損ねていた漫画」の感想
この記事は
色々な漫画の感想です。
色々な漫画のネタバレあります。
はじめに
そのうちブログに感想を書こう。
気付いたら年開けてました。
なんかこのままだと永遠に感想書かなそうなので、纏めて書いておきます。
…別に感想を書くことを義務付けてる訳では無いんですけれどね。なんとなく…。
サトラレ 嘘つきたちの憂鬱
佐藤マコト先生の代表作「サトラレ」シリーズ。
もうじき本編の連載が再開されるようですが、一足先に始まったのがこちらのスピンオフ。
本編未読ですし、映画も見たこと無い僕でも楽しめる仕様になっています。
自分の思考が周囲に駄々漏れになっちゃう病気・通称サトラレに罹患している女子高生・海崎千景。
そんなサトラレには共通点があり、例外なく天才であるということ。
しかし、この病気になってることを患者本人が知ってしまうと精神的に大ダメージを食らってしまう恐れがあります。
そりゃそうです。
秘密もプライバシーも何も無く、常に周囲に拡散してるようなものなので。
下手すると立ち直れない程深刻なダメージを負ってしまうかもしれません。
それはいかんということで、本人にサトラレだとばれないように影ながらサポートしている人々がいます。
それこそサトラレ対策委員会。
この物語は、サトラレである千景と彼女をサポートする未成年のサトラレ対策委員達の青春物語であります。
いうなれば日常コメディです。
「もしサトラレに心に秘めた好きな人が出来たならば」。
伝えたいけれど伝えられないこの気持ち。
秘めやかな片思いも、しかし、サトラレに掛かると一瞬でコメディになっちゃいます。
千景は大好きな先輩への気持ちを隠してるんだけれど、サトラレ故にその想いは先輩に筒抜け。
周囲にもバレバレ。
千景は恋でドキドキ。
周りは千景の気持ちを知らない振りをしないといけなくてドキドキ。
千景も先輩も周りの生徒も、違った意味でドキドキな毎日。
彼女には申し訳ないけれど、もう笑うしかない。
サトラレってかなりシリアスな設定なんだけれど、切り取り方次第で腹抱えて笑えるシチュエーションに出来ちゃう。
その着眼点というか発想が先ず凄いし、それでいて、きちんとオチはシリアスな切ない系に落とすんですから構成力が巧みです。
コメディと切な系ドラマを違和感なく融合させる伊鳴優子先生の見せ方が上手い。
新人未成年対策委員の神内甚(こうのうち じん)がメッチャキャラ立っていて、良い具合にドラマを引っ掻き回している点も個人的に好きなポイント。
第一印象最悪・出会いも最悪な千景との仲を色々な意味で進展させられるのか。
甚の奮闘劇を楽しんでいきたい。
付き合ってあげてもいいかな
今作だけ今年に入って読みました。(1巻出たの1月ですし)
ちょっとタイトル詐欺入ってますが、感想書かせてもらいます。
百合漫画なので、苦手な方はダメかもですが、抵抗ないよって方には絶対的にオススメ。
特に「たとえとどかぬ糸だとしても」とか好きなら読むべき漫画。
僕の周囲に今までLGBTの方が1人しかいなかったからというのもあるのですが、同性愛的なモノにどこかフィクション的な非現実感を抱いている感があります。
LGBTのタレントさんを見ても、やはりモニター越しなので現実感がないというか。
女性同士の恋愛に関しても、当人同士の悩みとかそっちのけで、「尊い」とか勝手に囃し立てて美化しちゃってるというか。
自分の見たい部分だけ見てるというか。
「周りと違う」というだけで白い目で見られてきた辛い経験とか、そういった一面の可能性を見ない振りをしてきたというか。
これまで読んできた百合を題材とした漫画の多くが、LGBTならではの悩みや葛藤をオミットしてる作品が多かったから余計に、今作が刺さるのかもしれない。
1巻の時点では周囲の仲間が同性愛について寛容(という言葉の選び方はセンスないんですが、語彙が少ないのでお許しください)で、主人公2人を温かく見守ってくれています。
なので、ほんわかとした空気感の中での「初々しい女の子カップル」の日常を楽しめるのですが…。
ほんの少しずつ、悪意が忍び寄ってきている感じなので、今後に不穏な気配を漂わせています。
タイトル通りどこか軽いノリで付き合い始めた2人。
偏見であったり、嫉妬であったりと様々な負の感情に苛まされながらも、付き合いながら強く絆を育んでいく物語になって欲しいかな。
最終的にはお互いに「彼女と付き合わないなんてありえない」的なタイトルと真逆な着地点に向かって欲しいし、そうなってくれるんじゃないかなと期待しております。
ド級編隊エグゼロス
「SQ.」を定期購読していた頃から読んでいましたが、改めてコミックスで購入しました。
方向的には完全に「ポスト・とらぶるダークネス」なんですよね。
主人公のポジションやラッキースケベありきの構成が、まんま同じ。
ただ、女性ヒロイン達の心情描写が「とらダク」と比べればやや劣っているので、今後どう挽回できるのかがカギになるのかな。
(「とらダク」は「To LOVEる」で一定のキャラ理解を終えた上で成立している漫画なので、今作もまだまだ「準備段階」と呼んで差支えないと思います。その為、ある程度関係性が構築済みから始まった「とらダク」との比較は本来適切ではありません。)
物語は序章が終わり、本章に突入したようです。
Hネルギーの発散で衣服が破れて、ラッキースケベで終えるという今作ならではの様式美に則ったテンプレストーリーは終わりました。
本章では、Hネルギーでは破れないスーツが登場。
これにより、必然ラッキースケベのバリエーションを増やさざるを得なくなり、ラッキースケベに根差した本作の構造上、物語も多様化してくるはずです。
今まで見られなかったヒロイン達の新しい魅力も発揮されることでしょう。
本格的に面白くなっていきそうなので、今後が楽しみな漫画です。
なんでここに先生が!?
「エグゼロス」で「とらダク」の後継者って書き方しましたが、実を言うと今作の方がより「To LOVEる」っぽさを感じています。
より厳密に言うのであれば、矢吹健太朗フォロワーとでもいうのか。
1巻ごとに主人公とヒロインを変えて行くオムニバス形式を採用。
基本的に舞台(街や学校)が同じため、出番の終わったカップルが後続のお話にカメオ出演してくれるので、その点嬉しくもあるのですが…。
毎巻主人公カップルが変わるという特性上、キャラの物語に積み重ねが無く、肝であるギャグとエロコメディを気に入る事が出来るかどうかが、読み進めたいかどうかに大きく関わってくるのかなと。
取り敢えず4巻まで読み終わりました。
絵は可愛いし、ギャグも笑えます。
ただ、早くも飽きてきました(汗
エロコメディ部分に既視感が強いからかな。
「ジャンプSQ.」レベルの少年誌+α程度のエロさで抑えているのは、コメディである以上は理解出来るのです。
ですが、「サタノファニ」とか「パラレルパラダイス」と同じ雑誌とは思えない位抑えた描写には違和感を抱いてもいます。
エロコメディという限定されたシチュエーションにオリジナリティを求めるのは酷なのかもですが、他作品を想起させることの無い真新しさを表現して下さると嬉しいな。
また、慣れた頃にキャラが変わってしまうのも、個人的には合わないと理由の1つですね。
1巻の鬼の児嶋先生が良いキャラしてるなと思ってたら、2巻から脇役になって、いっきに描写が減りますからねw
これはちょっと辛かった。(出て来てくれたこと自体に嬉しさを感じていたのは事実なのですけれども)
アニメ化で旗向きが変わるのかもしれません。
もう少し様子見したい作品ではあるので、引き続き読んで行こうかとは考えております。
ひまわりさん
「ひまわり書房」の店主の通称"ひまわりさん"。
物静かで本が好きなクールでドライな店主は、毎日のように店の目の前の高校に通う女子高生に「好きだ~!!」と言われ続けている毎日を過ごしている。
そんなお話(ぇ
元気印の女子高生・まつり。
店を訪れては「好きだ~~~」と絶叫してる彼女の突拍子もない告白(?)に「この子面白い」と惹かれて読み始めた漫画です。
ただ、想像してた女の子が女性に恋をしてるラブコメではありませんでした。
少なくとも1巻時点では、まつりがひまわりさんを好きなのは彼女が物語に関わってくる動機付けとして機能しており、彼女の恋心に着目した物語にはなっていません。
軸はあくまでも「小さな本屋さんに集まる人々の日常と些細な"事件"」である為、百合ものに苦手意識がある人でもすんなりと入っていけると思います。
ひまわりさんは一見ドライなんだけれど、温かい人なんです。
悩みや問題(同じか?)を抱えるお客さんの相談に乗って、思ったことを言葉にしてくれます。
決してそれが事件解決の突破口になる訳では無いんだけれど、解決の一助になっている。
本心からの言葉で、押しつけがましくも説教的でも無いので、すっと心に響くのでしょうね。
嫌味とかは一切言わない優しい言葉を操るので、彼女の台詞は読んでいて心地いいです。
まつりも同じでストレートに好意をぶつけられる子なので、嫌味も裏もなくて、言動が気持ちいい。
優しい世界観のゆるふわな空気が病み付きになるともう手放せない作品。
早く続きが読みたいと気持ちをせっつかれるようなことは無いんだけれど、ゆっくりと読み続けて行きたい漫画ですね。
繭、纏う
文学的というか情緒的とでもいうか。
小説に準えるのであれば、ラノベではなくて純文学に近いもの。
そういうイメージを強く抱いた漫画。
3年間丁寧に美しく伸ばされた女子高校生の髪の毛。
卒業時にハサミを入れ、落とされた髪を以て繕われた制服。
その制服に袖を通した新入生が、また3年間自分の髪を大切に扱って、次の世代の制服にして…。
受け継がれていく伝統は、どこか文学的で情緒があり、美しく、いっそ怖くもある。
制服が息をしているという表現があるのですが、実際そうなのかもと思わせる妙な説得力があるんですよね。
第2話最終ページには大ゴマで「断髪された3年生の髪の毛」が描かれているのですが、僕はそこに恐怖を覚えたのです。
長い髪の毛がばっさりと断たれ、ネームプレート共に並べられている。
ただそれだけの絵なのに、そこに首塚のようなおどろおどろしいものを想起しちゃったのです。
大相撲の断髪式もそうですが、日本人って「髪の毛に魂が宿る」と考える節があると思うのですよね。
髪の毛をお守りにしたり、首実検の代替えとして用いられたり。
そういったイメージがあるからというのもあって、恐怖を覚え、同時に「その髪で作られた制服が息をしていても不思議じゃない」と感じたのです。
言葉に表現しにくいことなのですが、この作品の雰囲気や絵には、そういった超常的な表現に納得感を覚えるような妙な説得力がありました。
何とも得難い作風だとは思います。
謎めいた物語も扇情的とも言える儚げな線も嵌る人の気持ちは理解出来ます。
個人的には少し保留という感じ。
純文学に親しみが無く、ラノベのような分かり易さ大好きっ子の僕としては、難しい漫画でした。
モブ子の恋
鹿児島旅行の際に時間が余ったので、本屋さん巡りをしてました。
その時「丸善 天文館店」で出会ったのがこの漫画。
試読の冊子が置かれてましたので、パラパラっと読み、興味を惹かれました。
本来であればその場で購入すべきだったのですが、荷物になるからと見送ってしまい、後日購入しました。
丸善さん、ごめんなさい。
唐突ですが、安部ちゃんという女の子が出てきます。
明るくて人懐っこくて、元気な子。
口が ω ってなってて、見た目も可愛い。
作品が作品ならヒロインを張っていてもおかしくないポテンシャルを持った女の子です。
そんな"ヒロイン"が率先して脇に回って、モブ子こと信子ちゃんの恋の応援をしてくれている。
信子ちゃんは決してヒロイン属性を持ち合わせてない「モブらしい習性」を沢山持った女の子だけれど、"ヒロイン"に応援される時点で彼女もヒロイン。
人よりもゆっくりだけれど、少しずつ確実に恋に頑張る信子ちゃんがとってもいじらしい。
同じモブ男としては、応援せざるを得ない物語になっています。
派手な物語じゃ無くて、信子ちゃんの性格通りに淡々とゆったりと進む速度が非常に心地いいです。
心穏やかにまったりとしながら読めます。
読んでいてリラックス出来る物語が好きなので、一瞬で嵌りました。
出たばかりの4巻も先日購入しましたので、この後ゆっくりと読もうと思います。
終わりに
ここで取り上げた作品内では、「モブ子の恋」、「付き合ってあげてもいいかな」、「サトラレ 嘘つきたちの憂鬱」の順でお勧めです。
色々な形で恋を描いている3作品。
少しでも気になる作品がございましたら、公式サイト等で試読などしてみて下さい。
その上で、読んでみたいなと思う作品に出会えましたら、この記事の意味も少しはあったのなかと。
長くなりましたが以上です。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。