「イジらないで、長瀞さん」 人を選ぶ第1話を乗り越えた先の快楽に溺れる
この記事は
「イジらないで、長瀞さん」の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
なるほど。
調べたら、結構前からある作品なんですね。
pixivで2011年に投稿されていることを確認出来ました。
歴史ありですね。
1巻の感想です。
人を選ぶ第1話
なんでもそうだけれど、作品は人を選びます。
万人が受け入れることはありえません。
趣味嗜好は人それぞれですからね。
故に、商業作品は窓口を広く設定していることが多いです。
なるべく多くの人にウケて貰えるような作りに近づけています。
特に少年漫画ではその傾向が顕著で、青年、成年と行くにつれてマニアックでターゲットを絞った作品が作られている気がします。
そう言った意味では今作はちょっと特殊なのかもしれませんね。
先にも書きましたが、初出は作者ナナシ先生がネット上で描いていた作品です。
商業作品では無いので、より多くの人にウケようという意図があったとは思えません。
ターゲットを絞って、作者の趣味嗜好が全面に反映されている類の作品に見受けました。
実際、pixivに上がっている作品の「長瀞さん」は尖ってます。
度の越したドS。
やりすぎちゃったの一言ではおよそ庇いきれないドSっぷりです。
しっかりとオチでカバーされてはいるものの、相当きついものがあります。
真正のドMで無いとなかなか楽しめないんじゃないでしょうか。
僕は、ちょっときつかったです。
Mじゃないんで。(Sでも無いけれど。)
出発点がドMにターゲットが絞られていたような作風なのです。
ここから、講談社の編集者にスカウティングされたのかな?
「マガジンポケット」で漫画として本作がスタートしたようですね。
第1話。
正直に言おう。
やはりキツイものがありました。
からかいなんて可愛いものじゃありません。
これはガチのイジメです。
主人公(?)の先輩の性格が性格だからというのもあるのでしょう。
絵に描いたようなオタク少年。
オドオドビクビクして、怒りを面に出せない。
加虐心をそそるようなタイプの少年です。
言葉は悪いですが、苛められるのが様になってしまうキャラクターをしています。
だから絵面がモロにイジメのそれ。
こんな表情しちゃうんですよ?
普通だったら耐えられませんよ。
僕も耐えられない。
ビクビクしちゃう。
他のコミックスに挟まっていたリーフレットにこのコマが載っていて、購入を決意しちゃう表情です。
僕の嗜虐嗜好が疼いちゃう。
びくびくっ。
自分が分からなくなった orz
…このコマの表情見て「あ。かわいい」と思って購入を決意したのはマジです。
でも違うんだ。
僕は決してマゾじゃないんだ!!
力いっぱい否定しちゃうと、マゾの人そのものを否定してるように捉えられかねないので、それは違うと断言して…。
1話読んでキツイなと感じたのは本当なのです。
人を選ぶ作品だなと。
僕には合わなそうだと思いました。
ドMの人にしか楽しめない漫画なのだろうか?
ターゲットを絞った作品なのだろうか…。
否。
それは違ってました。
もしも1話読んで、合わないなと思われたドMじゃ無い諸氏。
第1話で読むのを諦めるのは勿体ないです。
長瀞さんを知る
2話までは長瀞さんは、ただ単にドSの後輩という印象しかありません。
イジメ甲斐のある先輩を見つけたから、苛めて喜ぶ。
決して良い印象は抱けません。
変化が起きたのは3話でした。
ここで彼女は、初めて先輩を慮ります。
苛めてる事を自覚してたり、ごめんなさいと口にしてたりしましたが、先輩と正面から向き合ってない感じがありました。
今までと異なり、3話になって漸く正面で捉えてくれたのかなと。
ツッコミで倒してしまったことを悪いと反省したのかな。
かなりキツイことをしてるのに何故怒らないんだろうかと疑問を呈しています。
ただただ苛めたいだけのドSなら、こんな「被害者」の心情を考慮するような事を言うでしょうか?
言わないでしょうね。
苛められる側のことを真剣に考えられるのならば、そもそも苛めたりしません。
長瀞さんが先輩をただ単純に苛めたいだけでは無い事が窺えたシーン。
とはいえ、2話まではそれは形をなしていなかったのかもしれません。
名前の付けられない感情に、この時の先輩の答えを聞いて、初めて名前が付いたのかもなと。
訊かれたからとはいえ、名前を教えて、改めて宜しくと伝えたのですから。
長瀞さんの心に変化が現れた気がしました。
4話に話を転じます。
学校にちょっとエッチな漫画を持ってきた迂闊な先輩。
案の定長瀞さんに見つかります。
エッチな漫画を肴に弄り始める長瀞さん。
ラッキースケベしたいんですかと弄ります。
2人は漫画を取り合い、足がもつれて転倒。
転んだ拍子に長瀞さんの右手が先輩の股間に!!
次の瞬間の長瀞さんがこちら。
ウブでした。
普段の言動とは真逆のピュアな反応。
ここからは敢えて書きません。
5話以降は彼女のドSな言動に隠された純真さが目立って行きます。
1巻を最後まで読むと、1話の印象は180度変わっていることでしょう。
終わりに
1話は間口を狭めていたのかもですが、どんどん回を重ねるごとに大きく大きく広がっていった作品に思えました。
長瀞さんのドS部分はそのままに、その裏の気持ちを見せることで、読者層を広げていってるのかなと。
僕も1話読んだ時点と1巻読み終わった時点では真逆の印象を持ちました。
彼女のドSな言動にドキドキしながら、続きを楽しんでいきたい。
そういう作品ですね。