「キングダム」は邦画史上稀にみるエンタメ大作だった【ネタバレ感想】
この記事は
「KINGDOM」の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
映画「KINGDOM」を見てきました。
原作は5年ほど前に10巻程度までを読んだことしかありませんので、「初心者」として鑑賞。
感想を書きます。
感想
日本映画もここまで来たか…というのが率直な感想。
実際どれほどの予算が投入されたのかは不明ですが、スケールの大きな娯楽大作に仕上がっていたと思います。
中国ロケはどのシーンだったんだろう。
王宮での戦いは、大陸ならではのスケール感を覚えたのですけれど、あの辺国内でのロケだったら恥ずかしいので大きなことは言わないでおきます(笑
シナリオも細かい部分までどうだったかは失念してしまい確かめようがないのですけれど、10巻頃5巻までのストーリーを上手に纏められていたと思います。
贅沢を言うのであれば、信の戦う動機の根源に漂が深く深く関わっていたので、もっと信と漂のドラマを濃くしても良かったのかなと。
感情移入するには少々時間が少なくて、信のドラマに寄り添って見ることが出来ませんでした。
とはいえ、1つの映画としては起承転結しっかりと纏まっていた為、良かったです。
更に言えば、俳優陣の熱演も見事。
吉沢亮さんの1人二役は、しっかりと別人として演じ分けられていましたし、左慈役の坂口拓さんは、「ラスボス」としての威容をしっかりと誇っておりました。
そしてなんといっても王騎役の大沢たかおさん。
あの髭はちょっとコントのようでしたけれど、演技力は図抜けていたかな。
特徴的な喋り方を、それこそコントのようにならないようギリギリの線を保ちつつ、異様な人物としてのキャラ性に高められていて、これは中々真似できないことだと思いました。
突っ込みどころは確かにいくつかありました。
具体的に挙げれば、信とムタの戦い。
信の言動がちょっと情けなかった。
「(ムタなんて毒)矢さえ封じれば大したことない」と突っ込んだ5秒後に「毒矢なんて卑怯だぞ」的な事を言い、その5分後には「(ムタに)怯えていたのか」と精神的にも押されていたことを認めていて…。
結構小物感出てました。
この辺、原作ではどうなってたんだろ?
ギャグ的に処理してれば引っかかることなくスルー出来そうですが、少なくとも実写ではシリアスに演じられていたので、かなり気になっちゃいました。
熱量に関しても原作には遠く及ばないのは残念な点とも言えますが、とはいえ、日本の実写映画でこれほどまでの大きな映画として魅せてくださったことに最大限の敬意は示したいです。
少々長丁場ではありますが、漫画的なキャラクターや作劇に抵抗感が無ければ、鑑賞されては如何でしょうか。
主人公交代!?
と、ここまでが本作の僕の感想です。
ここからも、まぁ、感想には違いないんですけれど…。
最後まで見終わって、まず最初に頭を支配したのが「主役誰だったっけ?」という疑問。
信です、信ですよ。
でも、一番目立っていたのも、主人公として大きな見せ場があったのも嬴政でした。
確かに信も夢について熱く叫んでましたけれど、その後クライマックスで嬴政が中国制覇を宣言しちゃうんですもの。
信は嬴政の前座感が否めなかったです。
歴史的に見ても、後の始皇帝だもんなぁ。
実際に中国大陸を統一しちゃうのもあるけれど、史実を無視しても今作で語られた「歴史的に悪王と誹られても、500年先の未来の民の為に動く」とか覚悟が完了しすぎていて、あまりにも格好良すぎ。
そもそもが今回のシナリオは兄弟喧嘩を主軸としたもの。
大将なのに先頭に立って戦に出て、瀕死の仲間を鼓舞し、死すら恐れずに大義を語る。
圧倒的に主人公すぎる。
ムタ戦の印象を引きずったというのもあるかもですが、信が「主人公の横で懐刀的に振舞ってるけど、実は大したことない奴」にしか見えなかったです…。
でもね、これは仕方ないと思うのですよ。
シナリオは大筋に関しては(恐らく)原作準拠。
信の視点で始めて、信の視点で終わっていたことからも、彼を主人公として扱っていたのも確か。
演出的にも脚本的にも悪いところなんて全く無い。
強いてあげれば、本作がシリーズ化を前提とした最初の1本では無かったこと。
もしも3部作などシリーズ化が発表された上で、その第1作目として鑑賞していたら、上のような疑問は一切持たなかったはずです。
2作目以降でどんどん信が出世して、今作以上に主人公的な大活躍をしていくんだろうと想像しちゃいますので。
けれど、今作は今のところ続編は無し。
この1本だけで終わりとなれば、信が主人公ぽく映らなかったというのは、イメージ的に決して良くはないのかなと。
ハリウッドだったならば…。
いや。
「20世紀少年」みたいに邦画でも3部作とかで作られていたら…。
このレベルの大作であれば、もう少し「信の物語」を見てみたいと感じましたね。
終わりに
原作、続き読もうかな。