Mangaism

アニメ、漫画の感想や考察を書いてます

少年漫画4誌の公式サイトに於ける「試し読み」の利便性と充実度の検証

この記事は

漫画雑誌の公式サイトについて

はじめに

何年か前にも似たような記事を書いた気もしますが、ちょっと感じたことをつらつらと。
最早電子書籍の売上が無視出来なくなり、1つの書籍の形態として確立された現在。
漫画アプリもひしめき合い、アプリ初のヒット漫画も多くなってきました。

そんな中、読者を作品に引き込む導線の1つとしての公式サイトの役割というのは、徐々に変化しつつあると感じています。
より力を入れて取り組んでいかないといけない箇所なんじゃないかと思う訳です。
具体的にいえば、漫画の試し読みページの充実っぷりですね。

本屋で気になった作品を見つけて、けれど、中身が不明なので逡巡しちゃう。
そんな時に便利なのが、スマホでの試し読みです。

大方は作品名を打ち込んで、直接試し読み出来るページを探すのかもですが、中には連載雑誌で探す人もいるでしょう。
ケースとしては少ないかもですが、今回はそういった連載雑誌から探す時に着目。
そこで、1つのサンプルとして、少年漫画雑誌4誌の公式サイトに注目してみました。
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週刊少年チャンピオン

「俺は時流になんか乗らねぇよ」
そう突っぱねた硬派な生き様を魅せているのが「週刊少年チャンピオン」。

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秋田書店
そも公式サイト自体を持っていません。
秋田書店全般の漫画雑誌に言えることですが、雑誌独自のサイトを持たずに、全て「秋田書店」のサイト内で賄っています。

構成も実にシンプル。
最新号紹介、次号予告、バックナンバー、コミックス(スマホ版には無い)、電子版(電子書籍配信サイトへのリンク集)。
必要最小限。
次号予告は、大きめの画像を置いとかないと意味を為さないとは思うのですが(サイズが小さすぎて見えない)、中には次号予告を載せてないサイトもあるので、それらと比較すれば親切な部類なのかもしれない。

シンプルな分、各作品の試し読みへの導線も非常に分かりやすい。
「試し読みはこちら!」というボタンをタップすれば、すぐに試し読み出来ます。

1つのサイトとしての魅力は薄く感じるのですけれど、作品の試し読みへの導線がボタン1つというのは分かりやすく、無駄なページを挟まない分ストレスも感じません。
ボタンも大きく、目立っており、どこなんだろうと探すことはありません。
ユーザビリティという観点に於いても優秀です。

但し、連載終了作品についてはその限りではなく、バックナンバーから連載していた号を探さないといけないという難しさがあります。

週刊少年マガジン

「チャンピオン」の短所を補っているのが、「週刊少年マガジン」。

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講談社
やはりベースとなる構成はシンプル。
最新号の紹介と次号の紹介をメインコンテンツに置き、おまけ的なページは排除されています。

トップページに並んでいる連載作品一覧から、気になったタイトルをタップするとそのまま第1話の試読ページに飛びます。
試読ページは、マガポケと同様の構成となっており、下にスクロールすると別話数へのリンクがあります。
基本は有料ですが、初めの数話(4話前後)は無料で読めるという太っ腹な仕様。

連載終了作品については、一番上のメニュー欄(自動追従)の「連載」をタップした先にあります。
試読ページは連載中漫画と同様の構成です。

スッキリとしたデザインでユーザビリティを高めて、試読ページへの導線は直感的になっています。
分かりやすさで言えば「チャンピオン」に軍配が上がりますが、スマホサイトに慣れた人であればそう迷うことも無いでしょう。

試読は豊富であり、その点もGOOD。

「週刊少年サンデー」

一ツ橋グループ系2誌は、コンテンツが豊富。
雑誌に纏わる情報の全てが集約されてるんじゃないかという情報量を誇っています。

さて肝心の試し読みページですが、先ずは「サンデー」

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小学館
手順は2通りあります。

1つ目としては、トップページ左上にあるハンバーガーメニューをタップすると、「連作作品」という開閉式のメニューが見つかります。
そこを開けると、連載作品が五十音順で出現。
作品名クリックで作品ページに飛び、そこにある「第1話を読む」をタップすることで読めます。
トップページからの行程数で言えば、多い方ですね。

2つ目は、同様にハンバーガーメニューの中の「その他特集」⇒「連載作品第1話」の順でタップ。
五十音順でずらっとタイトルが並んでいますので、「第1話を読む」をタップすることで読み始められます。
(トップページ下部に「連載作品第1話」への直リンクがあります。)

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小学館
個人的には、こちらの方法がオススメ。
読みたい作品が1つなら別ですが、「サンデー」連載作品の中で読んでみたい作品が複数あれば、こちらの方が便利だからです。


ただ、連載終了作品については、販促の為という側面が薄く「サンデー名作ミュージアム」と題して、39本が公開されています。
辿りつくには、ハンバーガーメニューの中の「その他特集」⇒「名作ミュージアム」とタップします。
全て縦スクロール式で第1話を試読できます。

「週刊少年ジャンプ」

続いて「ジャンプ」。

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集英社
上部の横スクロールメニューの中から「連載作品」を選択。
「直近の新連載」(連載開始降順)、「全連載作品」(連載開始昇順)の大きく2つのカテゴリーに分かれていますので、好きな作品をタップ。
作品ページに飛びます。
第1話の試し読みへのリンクがトップコンテンツとして表示されるという設計になっています。
終了作品に関しては、「連載作品」ページの最下段にある「連載作品アーカイブス」をクリックすることで、専用ページに飛びます。

情報量が多いため、試読リンクに辿り着くまで「サンデー」同様多少のステップを踏まないといけませんが、情報に埋もれてるという印象は無いです。
やみくもにコンテンツを配置してるわけでは無くて、しっかりとした計算の元緻密に組み上げているのかなと感じます。

1話試読リンクの直下に既刊コミックス紹介を置いたりね。
抜け目ないよねw

作品ページ下部には著者他連載作品のコミックス紹介、他連載作品へのリンクを配置したりして「ジャンプ公式サイト」内に長くとどまらせようとする意図が見えます。

まとめ

試し読みページについて公式サイトを見てみましたが、この点だけでも雑誌それぞれの特色が出ていますね。
いちいち探し回るのが面倒だという人にとっては「チャンピオン」が最適だし、何話も読みたければ「マガジン」。
「ジャンプ」のように作者買い含めた「他作品への興味の導線」が多いというのも、人によっては利用価値の高いものと言えるでしょう。
「サンデー」の「連載作品第1話」ページは分かりやすく・かつ・全連載作品への試読ページが纏められているので大変便利です。

どれが一番とかいうのはありませんけれど、それぞれに長所があると感じました。