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「ご注文はうさぎですか?」7巻感想 全てのテーマは「ときめきポポロン♪」へと帰結する

この記事は

「ご注文はうさぎですか?」7巻感想ですの。
ネタバレあります。

はじめに

あああああああああ。
やっぱり良い漫画ですね。
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7巻読みましたので、感想です。

結論から始まる物語

学生をメインとした漫画で、進級はともかく進学しちゃう漫画は珍しい気がします。
表紙でもお分かりのように、チマメ隊が中学校を、リゼが高校をそれぞれ卒業しました。

そこで、チマメ隊に絞って見てみますと、これまた珍しいことにばらけちゃうんですよね。
マメはシャロの後輩に揃ってなるのだけれど、チノだけは違う学校を選択しちゃう。
何らかの事情で同じ高校になれなかったという(どちらかと言えば)後ろ向きな理由などでは無くて、敢えて同じ学校を選択しなかったというのもポイント。

この手の漫画では王道パターンである「また一緒だね」を取らないで、違う道を選択させることは一種の冒険でもあります。
やはり読者は「変わらない日常」を望むからです。
仲良し・いつでも一緒グループには、文字通りいつまでも一緒に居て欲しいという願望がどうしてもあります。
それを敢えて外すというのは、かなりの冒険です。
下手するとファンの反感を買いかねないと思うのですね。

だからかどうかは分かりませんが、やたらと丁寧にこの周辺の物語が掘り下げられていた印象を持ちました。
先ずは冒頭の1話目で結論を出します。
チノが言います。
「みなさんと色んな景色が見たい」
7巻は、どうしてチノがこの結論に辿り着いたのかが丁寧に語られていました。

マヤの小さな冒険

捨て姉に草生える。
「かまってください」って素直かw

3話目は、マヤとココアが小さな冒険に出かけるエピソードでした。
このお話には2つの意味があったんじゃないかなと思います。

1つは、マヤの夢見る冒険の危険性を知らせること。
1話目でマヤは「大嵐にあったり、漂流したり、無人島を探検」することを「冒険」と称していました。
そこまで大袈裟な事にはなってませんが、ココアと一緒に迷子(=冒険)になって、不安を覚えたんですよね。

勇気と蛮勇は違います。
同じように冒険するには勇気も必要だけれど、不安を持つ事も大事なんですよね。
不安は悪いイメージが強い感情ですが、一種の防衛反応でもあります。
物事の先を考え、不安点を洗い出すと同時に取り除くことは、成功を手繰り寄せる方法論であると考えます。

マヤの冒険は、まさに怖いもの知らずって感じでした。
チノだってそりゃツッコみます。
それを正して、必要な不安を持たせたことに意味があったのかなと。

不安が強すぎて冒険に出れなくなっちゃいましただと逆効果ですが、更なる大冒険に出ようとするところでオチになってます。
そんな心配は無用だよと笑い飛ばしてくれる最高のオチですね。

2つ目は、読んだまんまなのですが、7人の絆を深められた事でしょうか。
冒険をする時は、やはりまだまだ大人が必要だなと皆理解したんだとしたら意味もあったのかな。
少なくともリゼは、改めて自分が同行する必要性を認識した気がしますね。
なんたって、想像(遭難)が現実(迷子)になったんですからね。

メグの成長

6巻7話のアンサー回が、この7巻5話だったのかなと。

6巻7話では、ココアとの印象的な会話がありました。
メグの進学希望校について、ココアが疑念を持つんですよね。
ぼんやりとしたメグがぼんやりとした感じで言うものだから、本当にメグが自分の意志で決めたのだろうかと勘繰っちゃったのでしょう。
「お母さんの母校だからじゃないの?」って。

後のエピソードで改めて語られていますが、ココアは自分の意志で親元を離れてまで、進路を決めています。
大好きなお姉ちゃんとも離れて、新しい街での暮らしを選択したのですから相当な強い意志が窺えます。
チノが自分のせいで進路を決めたのだろうかと考えたのも、自意識過剰というよりかは、純粋な不安だったのでしょう。
自分のせいで、チノが持っていたであろう大切な夢や意志を曲げたのなら、それは嫌だって感じで。
ココアは「自分の意志」を大事にする少女で、他人の意志も最大限尊重したい子なのだと読み取りました。

だとするなら、メグへの疑念も理解出来るんです。
「自分の意志では無くて、他人の言った通りの進路を歩むのならば、ちょっと待って!!」という感じで。
それぞれ事情もありますし、お節介かもですが、こういう解釈をすると僕の中ではココアっぽいんですよね。
このお話以降、言葉に出さずとも、どこかでメグのことを心配しているココアがいた…という前提で7巻5話を見てみます。

すると、ココアに対して堂々と自分の意志を見せるメグがいるじゃないですか。
しっかりとした(メグらしい優しい)表情で、ハッキリと言葉にしている。
自分の憧れを、憧れの人本人に告げている。
勇気が必要な行為でもありますよね。

ココアが驚いたような・感激したような表情でメグを見つめてますが、まさに内心では驚きと喜びと、そして安堵があったんじゃないかな。
心配は杞憂だったと分かったのですからね。
ちゃんと自分の意志を持って、そこに向かって進もうとしているメグを見れたのですから。

マヤのイメージを覆す行動を取った事もそうですが、なによりも、自分の意志を表現できたことがメグの成長だった気がします。


尚、体も成長してる模様(笑
自覚のない「二人は何で通れるの!?」が辛辣すぎるw
天然さんの攻撃力パネェっす。
流石、恵さん。

そして、チノの結末に至る

7巻9話は、チノ個人の物語であると同時に、チノはチマメ隊の代表としても描かれていると考えました。

結構大事な情報がさらっと提示されてますが、チノの学力ならば、マメと同じ進路を選択できたとの事。
高校も一緒にいようと思えば、居る事が出来た。
けれど、その道は選択しなかった。

何故なら、チノにはチノの意志があったから。
色んな人を知りたいと思った。
「色んな人」というのは、「この街とは違う景色を見て育った人」という意味なのでしょう。
その子達を通して、「外の世界」を見られると考えたのかなと。

これはココアと出会って変わったこと。
成長ですよね。
更には、ココア達高校生組のように「違う学校でも友達を続けられる」ということを教わったからこそ、安心して違う道を選べた。
勿論、「新しい友達出来るかな」という可愛らしい不安もしっかりと持っている。
必要な不安を持った勇気ある冒険に成長と共に挑む。

チノを通して、マヤとメグのことも含めた結論が出たなと思いました。


結論の「みなさん」の中には、だから、マヤもメグも含まれてるんですよね。
大学生になるリゼだってそうだし、変わらないけれどココア、千夜、シャロも一緒。
そんな今までと変わらない「みなさん」と「一緒」に「色んな景色」…つまりは、新しい出会いと彼女達から齎されるであろう「外の世界」を見たいと願った。


なんかの漫画かラノベだったのだけれど。
出典元をド忘れしましたが、「変化はどう足掻いても必ず起きるもの。それ前提で行動すれば良い」みたいなことが書かれていて、なるほどなと感心したんです。
変化を怖がる人って結構いて、実際僕もそうなんですが。
恐いんですよね、不安なんですよ。
変わることって。
だから、変わらないように努めちゃう。
けど、そんなことは無理で、どうやっても変わっていく。
なら、変わることを前提として前向きに生きましょうというポジティブシンキング。

チノは変化を受け入れて、変わる部分は積極的に変わって、変わらない部分も大切にしていく道を選んだのかなと感じました。
成長と冒険ですね。

みなさんと一緒というファンにとっては譲れない不変を保ちつつも、新しい冒険をも同時に描いている。
納得感があって、これからのワクワク感さえも覚える素敵な物語でした。

全てのテーマは「ときめきポポロン♪」へと帰結する

7巻7話に戻ります。
この1話に全てが凝縮されているんですよね。

チマメ隊がそれぞれ「変わった所」を指摘し合ってます。
成長ですね!!
成長であるとココアが断言してくれてます。


成長した彼女達は、新しいことに挑みます。
新しいこと、すなわち、冒険です。
「橋の上でのキレっ切れのダンス」という冒険に旅立ちます。
ココアの無茶振りでしたが、いつしか3人とも真剣に取り組みます。


最初チマメ隊もココア・千夜も「今日までの思い出」を残そうとしてました。
「中学最後の記念」に。
こう書くと、なんだか卒業と同時にお別れするみたいな哀愁感ありますよね。
でも、そうじゃないんだよとチノが最後に纏めてます。
「これからも3人でたくさん"今だけ"を作れたら…いいです」。
この台詞は、「中学終わるまでの残りの期間も」という意味では無いですよね。
それだと、直前のマヤの言葉の否定にはなりませんから。
「中学卒業してもずっと」という意味合い。
見事なまでに「ずっ友」をアピールしてるんです。


成長して、冒険して、これからもずっと友達とアピールした。
8巻のテーマが表現されてますね。


さてさて、嬉しかったのはポポロンですよ!!
ま、誰しもが気づくことですが、完全に一致ですよね。
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ダンスも完璧。
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アニメ2期エンディングの「ときめきポポロン♪」。

ただのファンサービスとか、アニメOVAや3期が決まったご祝儀とか。
そういう諸々もあるのかもですが、このタイミングでさり気なく登場させた必然性があったんではと妄想しました。

このアニメ史に残る萌え萌え映像ですが、歌詞の方にその意図があったのかなと。
「ときめきポポロン♪」冒頭はこんな始まり方です。

まだ知らないこと沢山ある見つけちゃったなら、それは冒険の始まりです、ワクワクするよね!

分かりやすく「冒険」が謳われてます。

ちょっと強引な解釈になりますが、2番サビはこんな歌詞。

夢ふるこの道を(この道を)
たまにはダッシュもいいかも(いいかもです!)
大好きなあの場所目指してぐんぐん進もう

「たまには」⇒「時には」。
今までと違ったチャレンジを連想します。(強引)
成長ですね!!(強引)

何十年後も友達だよ
言わなくたって決定だから

言葉に出してますが、同じく「ずっ友」が謳われてますね。

「ときめきポポロン♪」には、チマメ隊の未来の姿が全部込められていて、だからこそ、このタイミングで引用したのでしょう!!
(と言い切ってみる)

終わりに

今巻チマメ隊に目を奪われましたが、同じ位リゼもやばかった。
わんぱく高校三年生から始まって、大人っぽい変装、お子ちゃまを先導してる高校三年生、イナバに買収される高校三年生、被り物取られた瞬間の高校三年生。
そして、ドッキリバースデーの瞬間腰抜かすくらい感動した高校三年生。
最っ高でした。

卒業組が実に輝いていた8巻であったなと。


さて、次巻は卒業旅行がメインになるようですね。
思ってたよりも長めに旅行を描いてくれるっぽくて、嬉しい誤算でした。
新しい冒険の前の、みなさんで行く新しい世界。
また素敵なお話を届けて下さることを確信しつつ、楽しみに待ちたいです。