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「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」の「普通」に縛られた感想

この記事は

「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

電撃文庫のkindle版販売が早くなったみたいです。
読めるの来月かと諦めていたので、amazonで新刊チェックしてなかったんですよね。
昨日たまたま別のラノベを買う際に予約しようと思って検索掛けたら、配信してたので知りました。
嬉しい誤算でした。
速攻で読んだので、感想です。
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普通のゲシュタルト崩壊(←特に意味はない)

本作とは関係ないですけれど、今「若おかみは小学生!」が話題になってますね。
徐々に口コミで興行成績を上げているそうです。
良い映画でしたからね。

この映画で、未だに印象に残ってるセリフがあります。
細かい部分は忘れちゃいましたが女将の「普通なんて曖昧な尺度でお客様を測るんじゃないよ」って言葉。
含蓄あるセリフだなと感銘を受けたのですよね。

「普通」。
「常識」って言い換えてもいいかもしれません。
なんとなく「普遍的な価値観で、誰しもが共通に持っているもの」という意味合いで使いがちですが、確かにおかしなものです。
「思考の放棄」、「多様性の排斥」とも取られかねない考え方ですね。

例えとしては不適切かもですが、例えば「私は他人を傷つけないような考え方をもって、言動を注意しています」って人がいたとします。
素晴らしい価値観ですよね。
「自分がされて嫌な事は相手にしない」と通ずる考え方で、きっと優しい人なんだと思う。
けれど、こういった素晴らしい価値観も行き過ぎると厄介になります。

人がどんな言葉で傷つくのかなんて、その人になってみないと分かりません。
自分には何ともない言葉でも、場合によっては刃物へと変わる。
「僕はあなたの言葉で傷ついた」と責められても、「私は誰も傷つけないように気を付けてるから、そんなことはあり得ない」という思い込みに嵌ってしまう可能性もあります。
そうなると言葉を尽くしても説得出来ないかもしれません。
価値観を重んじることは大事かもですが、過信はいけませんよね。
常に思考をし、色々な考え方を吸収する事は大切ですよ。

とまぁ、何いきなりしたり顔で語ってんだと思われてそうなので、この辺で止めますが、こんなことを本作を読んでいて考えちゃったのです。
いやいや、別に説教くさくは無いですよ。
僕が勝手に考えちゃっただけです。

咲太のお母さんは、「普通」に押しつぶされちゃったのかもですね。
「母親失格だ」というのは、「母親ならば、子供をいじめから救い出すものだ」という「普通」の価値観を過信しちゃったからなのかなと。
母親だって人間だし、子育って手探り。
みんな初心者から始まっているし、得手不得手は誰にだってあります。
どうしようもないことは出てきちゃいますよね。
子供を愛しすぎる由縁なのでしょうし、責任感が強いのもあるのでしょう。
けれど、あまりにも「普通」に縛られてしまったのかもしれません。

「普通」に参っちゃったのがお母さんなら、「普通」に抗ったのが咲太なのかな。
まだ中学生だった咲太が、妹の為とはいえ、遠い街に引っ越してまで妹を守るというのは「普通」では無いですよね。
そうしたいという意思を持てたとしても、実行できるかどうかは別問題です。
そこは咲太が「普通」に囚われないで行動できた証左と言って良いと思うの。

ただそうした中で、「親が子を想う」という「普通」をも忘れてしまったのかなと感じました。
咲太のモノローグを読んできたから、仕方なかったと彼の肩を持ちたくなりますけれどね。
そうでもしないとやっていけなかったというのもあったのかもですし。

今までは母親とのことは「花楓の問題」として描かれてましたので、彼女との「和解」がこの巻のクライマックスかと読みながら考えてました。
なので、2人の再会が序盤で訪れた事にまず驚き、描写的にも割とさらっとしたものだったので、余計に「あれ?」となりましたが、なるほどですね。
僅か1巻で「花楓の問題」から「咲太の問題」にスライドさせてきた構成は、本当にお見事としか言えないくらい鮮やかでした。
特に「普通の日常」の捉え方がもうね。
「なんでもない日々を幸せに思うこと」にうんうん、そうだよなと同調してたら、そんな日常が「母親がいることを非日常に思っていた」ことの上で成り立っていたという本音が語られたので、衝撃を受けました。
「母親がいるコト」は「普通」の「日常」。(勿論片親の世帯などにとっては普通ではないのですが)
それが「非日常」になってしまっていたなんて。
この辺の逆転劇(?)が説得力持って描かれてたのですよね。
だから、咲太が母親に対する想いの変遷にも納得できました。

普通について色々と考えさせられましたし、その落とし所も綺麗でした。
お母さんが咲太のことを「思い出した」瞬間は感極まっちゃいました。
親が子を慈しみ、子が親を愛する。
普通って素晴らしい光景ですね。


思えば、彼らの父親も普通じゃないですよね。
夫が妻を見るのは普通って考えもあるかもですが、なかなか真似できない事と思う。
看病は大変だし、仕事もある。
子供のサポートもしっかりとこなして…とか考えると、超絶立派です。(上から目線的な感想でごめんなさいです)
お父さんの苦労も報われたという点でも、親子4人が元通りになりつつある姿を描いてくれたこのエピソードは、とっても良かったと思います。

最終巻かと…

読んでて最終巻かと勘違いさせられました。
咲太自身の物語だったし、1巻と対比した物語だったから。

麻衣とも殆どゴールしたようなものだし、家族間の問題も解消して、いっきに高校卒業しちゃいましたからね。
アニメ化という1つの区切りを機に、予告なしに物語を畳んできたのかなとか慌ててたら、そうじゃなかったw
赤木郁実。
忘れてたよw

そうだ。
振り返れば、謎だらけじゃん。

何故中学時代殆ど接点の無かった彼女と別の世界線でクラスメイトになっていたのか?
大学生となった今、再会したのは物語的にどういう意味があるのか。
「子役時代の演技中の麻衣に瓜二つ」のランドセルガールとの関係はあるのか?
そして、霧島透子がこの先どう関わってくるのか?

第2部に入って存在が確認された霧島透子がキーパーソンになってくるのでしょうかね。
分からんことだらけ。

咲太に惚れてるっぽい赤木郁実が実は今回の思春期症候群に関わってるのかもな~。
ランドセルガールも彼女が生み出した存在だったり。

実は咲太が忘れてるだけで、咲太、麻衣、赤木の3人は幼馴染でしたという衝撃の真実が…あることはないかw
謎だらけのまさかの大学生編。
どうなるのか楽しみですが、お願いですので朋絵は今後も出してください。

咲太がバイト変えたりしてないことを祈るのみですね。