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シリーズ随一の野心的な作品だ!!「劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人」ネタバレ感想

この記事は

「劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人」感想です。
ネタバレありです。

興行収入の話をしよう

ネタバレありとはいえ、いきなりそういう話をするのはアンフェアかなと感じたので、関係の無い話から始めます。
そんなのどうでもいいよという方は、ココは読み飛ばしてください。

世の中には、凄い人がいます。
2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のとあるスレッドにチケットの実売数を集計するプログラムを開発した方が現れました。
映画館のサイトの予約数を自動的にカウントするという画期的なアルゴリズムを開発。
スレッドにその結果を投稿し始めました。
住人からは「プログラマーさん」の愛称で呼ばれ、大きな歓迎をされていました。
やがてその方は、FC2で1つのブログを立ち上げます。
20分ごとの集計結果や映画会社ごとの売上枚数結果など独自のサーバーで運用しているプログラム取得データを公開しています。

前置きが長くなりましたが、要するにデータに信用のおける数字がいつでも見れる状況があるのです。
「コナン」公開時期だけ、僕はそのブログのヘビィユーザーになっていますw

さてさて、昨年の「から紅の恋歌」は初動12.9億円の興行収入を記録しました。
その時の某ブログのデータは、土日ともに売上枚数30万枚以上でした。
やや日曜より土曜の方が強く、故に、土曜日だけで6.5億円以上記録した事が予想できます。

では、今年の初日13日の金曜日はどうか。
17.7万枚。
推定4億円程度でしょうか。
初日とはいえ、平日に4億円。
とんでもない人気ですね。


そうそう。
今年から金曜日が公開初日になったので、その件についても少し捕捉しておきます。

近年洋画を中心に金曜初日の作品が多くなり、そのことが映画館に混乱をもたらしているようです。
日本では土曜初日が原則だったこともあって、詳細は省きますが、映画館にとってはあまり歓迎すべき状況では無かったようなのです。
そこで、東宝と松竹が中心となって、邦画も金曜初日にしようという動きになったそうです。
業界最大手である東宝が率先している為、他の配給会社(東映など)も追従するのではないかと僕が読んだ記事では纏められていました。
その「邦画も金曜公開」の第1弾として選ばれたのが、今年の「コナン」であったり「クレヨンしんちゃん」。

話変わりまして、興行のランキングは興行通信社という会社が発表しています。
主に、週末と週間の"動員数"をランキング形式で発表。
マスコミが取り上げるランキングは、全てこの会社の「週末動員数ランキング」を採用しています。
対象となるのは、土曜日と日曜日の成績。

初動というと土曜日と日曜日の成績の事であり、金曜日は週間の方の集計対象となります。
つまり、初日が金曜であっても、初日(金曜日)の成績はランキングの対象外という訳です。

今年以降の「コナン」もそうです。
なので、今年初動ランキングで「去年比」が昨年を下回る可能性があります。
数字を追うのが楽しみって方は、この点を頭の片隅に入れて置いて下さい。


はい。
無駄話はこれくらいにします。
感想です。
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お子様置いてけぼり

原作・TVアニメ・劇場版。
全ての「コナン」を含めて、「最も難しい大人向け」の作品でした。
これは非常に挑戦的であり野心に満ち溢れた作品ですね。

基本的に「コナン」は、大人も子供も楽しめる作風を旨としています。
大人を退屈させずに、子供を飽きさせない。
絶妙な匙加減で広い年齢層に波及することを第一に作られています。
複雑すぎる設定であったり、難解極まるトリックは無くて、小学生でも理解出来る範囲の内容になるよう腐心されていると僕は思っています。

では、今作はどうか。
大人でもついていけません(笑


僕がアホだからという訳ではないでしょう。
やたらめったら複雑です。
お子様を完全に置き去りにしてます。

今までの定義を外し、シリーズ随一の難解さを見せています。
「コナン映画らしさ」を(恐らく)敢えて踏み外した作品です。
なので、評価は例年以上に割れると思います。
櫻井さんの本領が発揮された骨太のプロットを理解出来るか否かが判断の分かれ道かな。

僕の意見は…。
ちょっと判断に迷うところです。

正直、去年が良すぎたんですよね。
ラブコメ、ミステリ、アクションが非常に高いレベルで調和していてシリーズ屈指の出来栄えだった。
今作は、ラブコメをほぼ切り捨て、アクションを(静野監督期に比べると)抑え、ミステリに特化しています。
前述のように「コナン映画らしさ」が希薄なので、どう判断したらいいのか分かりません。

ただ、1つ確実なのは、「コナン」ファンは絶対に抑えておかなければならないという点です。
次はこの点について持論を述べます。

公安警察官とは

その前に大事な点を押さえておきます。
今作のストーリーを難解にしている一番の原因は、警察・公安・検事の立場と関係性でしょう。
つまり、安室の正しい立場を理解していることが大事になって来ます。
僕は、安室の立場を正しく理解していなかったので、話についていくのが大変だったんです。
本編では、この辺り噛み砕いている様で、イマイチ明解な言葉になっていなかったので調べてみました。

2018年4月15日追記
2回目見てきました。
もうこれでもかってくらい説明してて吹いた。
タイトルで安室が「警察庁の公安」と説明し、風見は登場して即「警視庁の公安」だと自ら自己紹介。
中盤ではコナンが「警察庁の公安をゼロと呼んでいる」云々とはっきりと宣言。
おいおいマジか、1回目鑑賞時の自分。
なんなの?寝てたの?馬鹿なのアホなの?

警察組織について取りかかってみますと、日本には、警察庁と都道府県警察とがあります。
警察庁の配下組織が都道府県警察。
警視庁は、東京都を管轄する都道府県警察ですね。
(警視庁は、ちょっとだけ他の道府県警察よりも偉い。立場的には同じだけれど)

公安警察とは、警察庁や各都道府県警察の公安部門を指す俗称です。
警察庁の公安警察官を「ゼロ」と呼び、つまり安室は警察庁の公安警察官ですね。

さて、ゼロには、各都道府県警察公安警察官の中に部下を持っています。
都道府県警察公安警察官のおよそ3分の1がこれに当て嵌まります。
風見は、「警視庁」の「公安課所属の警察官」であり、この「ゼロの部下の警視庁所属公安警察官」。

簡単に図にするとこんな感じです。
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今まで僕は、安室を「警視庁」の「公安警察官」だと思っていたのですが、全然違うんですね。
警察庁は、いわば、日本全体を守っている人たちです。
国家レベルの治安安寧に努めている。
対して、風見は、地方公務員。
東京都の治安をテロから守っている。
言い方は悪いかもですが、同じ公安警察官でも、守っている対象の規模が異なります。
安室と風見は同じ公安警察官であっても、立場が全く違う事が分かりましたし、これは本作を理解するうえで大事なポイントですね。


では最後に検察庁について。
作中で橘境子が説明してましたが検察庁にも公安部が存在します。
東京地方検察庁公安部トップが岩井紗世子で、部下が日下部誠ですね。
テロなどの公安事件専門の検察官です。
検察官には、捜査権、警察への指示・指揮権があるので、東京地方検察庁公安部の日下部は風見達警視庁の公安警察官に再捜査の指示を下せます。


うん。
厳密には間違ってるかもですが、こんな感じらしいですよ。
専門に勉強してる人じゃないと分からないですよね。

原作ファン必見

以下、マジネタバレ部分。




若しかしたらミスリードなのかもですが、今作を率直に見れば、安室の上司でありゼロのトップの裏理事官が黒田だということですよ!!
黒田は、黒の組織のNo.2ラムである可能性が示唆されている3人のうちの1人です。
そんな彼が、実は、黒の組織に対抗する組織の長だったとは…。
原作に先んじて明かされた重大な事実ですね。

「なんだまた味方かよ」と思うのは早計です。
何故なら、彼がコナンが掲げる正義に与するとは限らないからです。

今回の物語は、「違法な手段をカバーできるか」が論点の1つになっています。
真犯人の動機にも絡んでいましたね。

安室は今回日本を守るために事故として処理されてしまう恐れのあった案件を事件化すべく、無関係の人間に罪を被せるという違法な手段を取りました。
これはコナンの正義感に悖る行為です。
もしも橘の謀が上手くいって、小五郎が実刑を食らっていたら、コナンは安室を許さなかったでしょう。
当然安室の上司である裏理事官だって敵にします。

けど、安室はそんな自身の犯した違法行為をカバーしてます。
コナンの力を信じ、また、自身も動くことで小五郎に実刑だけは下さない様にしました。
だから、最終的には、コナンは許しました。

では、黒田はどうでしょうか?
分かりません。
安室以上に「国の為」に動く可能性があるからです。
なんたって、ゼロのトップですからね。
国が危ぶまれれば、犠牲は厭わないかもしれません。
そうすると、コナンとは正義感という部分で相容れませんよね。
敵の敵は味方とは単純に言えない可能性だってあります。


と、黒田を裏理事官だと決めつけて書きましたが、違う解釈も出来ます。
黒田が誰と連絡を取っていたのかが暈されていたからです。
ラムとして、バーボンに連絡していたのかもしれません。
個人的には、それは無いと考えたのですが。

ま、なんにせよ原作ファンには大事なシーンです。
見逃せません。

総括

公安部についてしっかりとした理解があれば、絶対に楽しめます。
シリアスで骨太なミステリが描かれていますから。
アクションもミステリにしっかりと絡ませて、必然性を持たせてますしね。
「コナン」の本質はミステリだという方にはオススメ。

いやいや、「コナン」はラブコメミステリでしょと考えてる方には、どうなんだろ。
物足りないかもですね。


僕個人はどうなんだろう。
やっぱり分からない。
どうしても去年と比べちゃうからかな…。

でも、ま、探偵団の事件への絡ませ方が滅茶苦茶上手かったし、安室も超絶格好良かった。
コナンもしっかりと活躍していた。
ミステリ部分では満足度高かったです。
「コナン」らしさをもう少し足して欲しかった気はしますが。

取り敢えず、1回目の鑑賞で安室の立ち位置も把握できましたので、2回目行ってきます!!
公開前に既に2回分予約しちゃいましたからね(笑
2回目は1回目よりかはしっかりと見れるはずなので、より楽しめるでしょうしね。

2018年4月15日追記
やはり2回目の方が面白く感じました。
全体像が頭に入っていたので、理解出来なかったところや見えてなかったところが把握出来た感じです。
2回見ると面白い系っぽいので、興行収入は伸びるかもですね。

では、感想はこの辺で止めます。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。