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「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」 第12巻 感想

この記事は

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」感想記事です。
ネタバレあります。

新章開幕

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長かった「異端児」編を経て、ついに新展開です。
この間、僕は「ソード・オラトリア」の6~8巻を読んで、「リュー」の外伝を読んでいたので、本当に久々の本編でした。
「ソード・オラトリア」の重苦しいダンジョンダンジョンとも違う、「リュー外伝」のコメディチックともまた異なる、本編らしい緊張感と王道活劇を楽しみにしてたら、まさかのダンジョンダンジョン(笑

いや、でも、感慨深かった。
「ソードオラトリア」の深層を先に読んでるので、あそこまでの絶望感は無かったモノの、下層も下層でぶっ飛んでいて、そんなぶっとんだ世界を旅する事が可能となったベル君の成長に感じるものがありました。

そんな下層で待ち受ける規格外のモンスター。
同族喰いをして力と知恵を付けたこの強化モス・ヒュージとの激戦を描いた第12巻。

これまでの積み重ねがしっかりと息づいていた物語として面白かったです。
特に感じた積み重ね3つを書いていきます。

下層のギミック

下層に広がるのは大瀑布。
何階層にもわたって流れ落ちるバカでかい滝が落ちる世界。
至る所に川が流れ、全ての川がこの滝に繋がっているという構造を取っている。

ダンジョンの中に滝があるという、このなんでもアリ感がとても愉快。

この作品の素晴らしい点は、そういうアイディアをしっかりと物語に絡めてくるところ。
滝に落ちたら一巻の終わり。
いかな戦士と言えど大瀑布の力に飲み込まれ、叩きつけられて、四肢がバラバラになってしまうという。
そんな恐ろしい滝に流れる川の中にも脅威は潜んでおり、水棲のモンスターの餌食になってしまう。

ベルはモス・ヒュージにその水中に引きづり込まれてしまいます。
モス・ヒュージとの分の悪い立ち合いの中、水棲モンスターの牙が剥かれ、ベルはなんと滝に落下。

主人公は遅れてやってくるというものですが、この展開は、絶望感凄かった。
チームの主軸を失って、リリ達残された側はどうなるのか。
ベルは生き残っているのか。
はらはらものです。

今までのリリ達だったら、ベルを失った時点で全滅していたでしょう。
けれど、幾多の死線を越えて冒険してきたものが結実したかのように奮闘。
特にリリのブレーンとしての腕が如何なく描かれておりました。
戦術を事前に叩き込まれていたとはいえ、冷静に状況判断を次々と下していく様は圧巻でした。


滝に落ちたベルも生きていました。
そりゃそうですけれどw

ベルの成長が見られたところの1つは、この落下後。
燕のモンスター・イグアスとの戦い。
命を捨てて、体を弾丸に変えて突貫してくるこのモンスターの大群を刀一振りで「瞬殺」。
異常なほどの速度で、全てを叩き落とす。
レベル4の、ベルの敏捷ならではの芸当。
下層でもたった1人でやっていけるというのを示してくれている様で、しかも、この後の戦いのちょっとして布石になっているという点でも見逃せない一戦でした。

「異端児」

ベルはマーメイドのゼノスであるマリィに出会います。
何故ここでゼノスと出会う必要があるんだろうと思ってしまったのですが、これも今までの積み重ねの証左になっていたんですね。

「異端児」達との交流が無ければ、ベルはマリィに逢って、ここまで仲良くやれただろうか?
否。
優しいベルが斬り伏せるような展開は絶対に無いと「異端児」編で証明してますが、マリィの方が逃げてしまっていたでしょう。

これまでがあったから、マリィに懐かれ、彼女の先導で下層の最短攻略が可能となった。
ギッリギリで仲間の窮地に駆けつける事が出来た。

物語の積み重ねはこう言う点からも見出せました。

必殺

英雄願望(アルゴノゥト)の考察かぁ。
ベル君、今回一番の見せ場でしたね。

英雄願望(アルゴノゥト)の収束という特性を使い、かつ、持つ者にあわせて成長するヘスティア・ナイフの特性をフル活用した必殺技。
ヘスティア・ナイフにファイア・ボルトを打ち込み、すぐさま英雄願望でファイア・ボルトの炎をナイフに収斂させて、魔法の効力とナイフの切れ味をチャージするというとんでもないもの。

「聖火の英斬」(アルゴ・ウェスタ)。

凄い仲間が付けられてますが、名前負けしない破壊力。


英雄願望(アルゴノゥト)チャージのファイア・ボルトよりもナイフの力が付加されている分、威力はこちらの方が断然上なのでしょうね。
分かり易くて良いです。

示された物語の終着点

まだまだ物語も道半ばのようですが、それでもゴールがくっきりと明示されたのは大きかったですね。
ダンジョンの完全攻略。

うん。これは想像通りでしたので納得。
最下層に何が待っているのかは不明ですが、(堕ちた神との戦いと妄想してるけど)外伝との差別化がこれではっきりしましたね。

「ソード・オラトリア」は人造迷宮クノッソスの攻略と闇派閥との戦いが到着点。
本編は、ダンジョン攻略なのでしょう。

ともすれば、ヘスティア・ファミリア全員のレベルアップは急務ですね。
ロキ・ファミリアでさえ、到達しえてない目標に達しないといけないのですから、オラリオでもトップクラスのファミリアにならないとなりません。

そういう意味で、今巻は、全員の成長が万遍なく示されていたのかなと。
リリの指揮官としての腕。
命の新しい技。
春姫の新魔法。
ベルも必殺技を開発したし、ヴェルフもランクアップした。

でも、まだまだ、平均のレベルが低すぎますからね。
今回の冒険もそうですが、これから下層にアタックを続けて、全員レベル3以上にはなるのかな。

それでも、それでも、まだまだ戦力は足りないです。
「ソード・オラトリア」読んでると、そう感じます。

強い仲間が必要。
その最初の白羽の矢が立ったのが、リューなのかなと。


えらく気になる所で終わった今巻。
13巻でリューの話になって、ヘスティア・ファミリアに加入という流れになる…と良いな。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか12 (GA文庫)

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