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「ハナヤマタ」原作・アニメ演出比較(2) 第4話・タミのお父さんは何故娘の入部を許可したのか?

この記事は

「ハナヤマタ」考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

先程録画しておいた第5話を視聴しました〜。
オリジナルパートが増えてきましたね。

さて、今回は短く第4話を中心に書いていきます。
原作付きアニメの特徴として、1つに「より分かり易く改変する」って言うのがあると思います。
視聴者に伝わりやすい様に原作の展開や台詞を変えてみる。
4話でそんな事例が見られました。

父の想い

タミが入部するまでの過程を描いていた第4話。
お父さんに反対され、一旦は入部を断ったタミですが、なるの想いに打たれ再びお父さんに懇願。
入部を許され、晴れてよさこい部の一員になった…という粗筋。

若しかしたら5話で「タミ父がどのような理由でタミの入部を許したのか」がオリジナルシーンで描かれるかもしれないと考え、1週間待ってみたのですがありませんでしたね。
"原作通り"そこは描かれずでした。

「どうして父は娘の入部の願いを一旦は退け、そして、何故2度目のお願いで折れたのか?」

該当シーンが存在しない為、結局は想像で補わなければならない部分なんです。
この何故に対する答えが、アニメ版では分かり易く改変されていたと思うんですね。

最初に僕自身の見解を提示します。
この問いを解く上で大事なのは「誰の為」なのか。
マチの台詞が全てですね。

「勉強も習い事も自分のためにやってることでしょう?」

マチはタミが自分自身のためにやっていると考えていての台詞でしたが、当のタミは違ってました。
「お父様の為」
タミ自身時折「これで良いのだろうか?」と振り返っている歪な状況に終止符が打たれたのが、この一連のお話で描かれていた事であって、結局その状況に向き合えたからこそ、お父さんは許してくれたのでしょうね。

「本当にそこまでする価値のあることなのかい?」

脳内で反芻される父の言葉。
この父の問いに「イエス」と答えたから。
つまりは、娘自身が「自分のためになるから」という答えを出したから、お父さんは許したのだろうと解釈していました。

これを元に原作とアニメの違いを見ていきます。
お父さんがタミに言った言葉に注目します。

原作

先ずは原作から。

お父さんは感心しないな
他の事を中途半端に投げ出して部活なんて
それは本当にそこまでする価値があることなのかい?
(タミが答えあぐねている様を見て、溜息を1つ吐き)
だとしたらこれまで通り目の前の事にひとつずつしっかりと取り組みなさい
それが素敵なレディになる為の一歩だよ

一読した際はぶっちゃけよく分からなかったのです。
お父さんの真意を計りかねていました。
なんとなくですが、別の回想。
タミのバレエの発表会(?)を見ていたお父さんが「娘の楽しそうな姿を嬉しく想う」という部分から、
「娘の気持ちを第一に考えてくれる親」
  ↓
「娘がやりたい事をやらせてくれる親」
という論法から、上に書いたような結論に達した訳です。

やはり「それは本当にそこまでする価値があることなのかい?」という父からの問いに即答出来ていれば、拗れる事無くすんなりとタミはよさこい部に入部していたんじゃないかなと。
父の吐いた溜息が全てを物語っているように見えます。

結局「それが素敵なレディになる為の一歩だよ」という台詞が父の気持ちを分かり辛くしていたのかなと。
ここだけ抜粋すると、「名家の子女として、立派な女性になりなさい」と少し娘の気持ちを顧みないような感じにも見えちゃいますので。

アニメ

では、アニメではどうだったか。
同じくお父さんの台詞を抜粋してみます。

それは本当にそこまでしてやりたいことなのかい?
好きで始めた習い事を途中で投げ出す程
(タミが答えあぐねている様を見て、溜息を1つ吐き)
お父さんは感心しないな

「それが素敵なレディになる為の一歩だよ」という部分が削ぎ落とされ、内容も同じ意味を持ちながら、より「娘の事を考えている」感が全面に押し出された形になっています。
「好きで始めた習い事」という部分はマチの考えと近しい意味合いを持たせていますよね。
お父さん自身娘が「自分の好きで習い事や勉強をやっている」と考えていたと読み取れます。
もうこの時点で「娘の事が見えてない」のですが(汗
そこはお父さん自身「仕事が忙しくてあまりかまってあげられてない」と言ってますし、その状態が成長した現在まで続いていると考えれば、まあ、致し方ない部分でもあるかな。

兎も角、「娘の事を考え、娘の気持ちを大事にしている」事は分かり易く伝わってきます。

「どうしてもやりたいことなんです」と一言タミが言えば、あっさりと了承するんだろうなと想像出来るし、安易に想像出来るからこそ「父がどうして許したのか」をわざわざ語る必要性も無い。

うん。
分かり易く改変されているな〜と感じた点でした。

まとめ

漫画や小説と違ってアニメなど映像作品は、「相手のペース」でどんどん先に進んじゃうメディア。
録画したり、ソフトを買う/借りるなどしない限りは、戻す事も出来ません。
常に先に進み続けてしまうメディアだからこそ、より分かり易く改変する必要が高いのかもしれませんね。