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「とっても!ラッキーマン」 ラッキーマンが最強キャラクターだと思えない

この記事は

「とっても!ラッキーマン」の考察めいた記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

ネット上で時たま見かける最強議論。
漫画界の全キャラの中で最強は誰かという議題に上る数々のヒーロー達。
その中で必ずといっていい程エントリーされるのがラッキーマン。
ガモウひろし先生の「とっても!ラッキーマン」の主人公・ラッキーマンが最強の俎上に載ってくるのは何故なんだろうと前々から疑問でした。
最強と言える程のキャラクターじゃないんではないかなと。

ラッキーマンが最強とされる根拠について考える

ラッキーマンは確かに作中では最強ですし、何より強さの根拠が分かり易いから、こういった議論ではランクされ易いのかなと。
ラッキーで勝つ。
魔法とか能力というのは、同一作品内では強弱の比較が安易なのですが、作品の垣根を超えるととたんに難しくなります。
その作品独自の力なので、基準を作り辛いんですよね。
但し、絶対比較できないという訳では無くて、方法ならいくつかあると思います。
代表的なのは、破壊対象から推定・比較する方法。
どんな作品でも登場し得る普遍的な物体を破壊できるかどうかで強さの上下を見極めるというもの。
これは、単純な腕力に訴えるキャラにも適用できます。

例えばですね。
漫画Aの主人公A君は、その技の一撃でコンクリートのビルを3棟倒せる。
漫画Bの主人公B君は、その技の一撃でコンクリートのビルを5棟倒せる。
としたら、B君の方が強いんじゃないかという目算が立てられます。
あくまでも1つの指標が立てられたというだけで、もっと総合的な見地から結果を出す必要性はあるでしょうけれど。

でも、これが使えないのが最強議論。
この世で最も硬いダイヤモンドなんて豆腐のように破壊できるでしょうし、惑星の1つ2つ片手間で爆破させる事も出来るでしょう。
考え得る破壊対象の最上位を楽々破壊できちゃうから、比較しようが無いんですよね。

更にいえば、直接的な攻撃力に訴える技を持たずに最強と呼ばれる人らは、もうどうしようもない。
具体的には「BLEACH」の藍染惣右介とか。
完全催眠のように非直接的破壊技を用いるキャラを同じ土俵に上げるのは無茶が過ぎます。
「BLEACH」の中でどれだけ具体的に「(盲人を除いて)どんな相手にも必ず通じる」と説いても、作品の垣根を越えれば、それは殆ど意味を失くすからです。
催眠なんて絶対に効かないというキャラが他の漫画に出てきたら、もうこれだけで優劣付けられなくなりますから。
作品の垣根を越えた絶対的な比較対象が存在しないからどちらの能力が上かという議論に答えを出せません。
作品が異なる訳ですから相対評価も出来ませんしね。

そもそもが無茶な比較で、だからこそ、こういった議論が白熱するんでしょうけれど、ラッキーマンは「比較の必要の無い強さ」を持つキャラの1人ではあります。
どんな相手でも、どんな攻撃であっても関係無い。
ラッキーで何とかなるから。
相手を選ばないんですよね。
理屈とか独自設定とか全てを無効化する究極の力の1つ。
ラッキーというのは分かり易く、かつ、相手を選ばないという意味で最強に挙げ易い力かなと。
運というのは、全ての世界観で共通する概念ですからね。

こう考えてみると、ラッキーマンが最強と呼べるのかもしれません。
少なくとも、最強を決める場に居るのは必然とも言えそうです。

が。
それでも僕は、ラッキーマン最強説に異議を唱えたい。

最強と思えない理由

ラッキーマンのラッキーは2つの要素に支えられています。
1つは、幸運の星の光を浴びているかどうか。
雲などで星が隠されてしまうと、ラッキーマンは簡単に弱体化しちゃいます。
胸のマークも大吉から徐々に大凶へと変化して、運が無くなっていくのが見て取れます。

2つ目は、会長のヒーローパワー。
これが無いと力…ラッキーマンで言う所の運が弱まってしまうらしいです。
逆に会長からパワーを貰うと、幸運の星の光が無くても大吉に戻れるほど。
直接貰えば特吉のゴールデンラッキーマンにもなれます。

で、作中では主に1つ目がネックになってます。
星を隠されて弱体化されたり。
大宇宙に行ったときには、星の光が届かなくなり死に掛けたり。
兎に角幸運の星に左右されちゃうんですよね。

力の源が自身の体内に無い時点で、かなりの弱点を晒している事になります。
この時点で、最強議論に挙げられるキャラクター達には不利です。
例えば「DRAGON BALL」の悟空など瞬間移動、高速移動出来るキャラが、ラッキーマンを連れて幸運の星の影響が及ばない地へと移動したら、それだけで負けてしまいます。
ラッキーマンって「敵の攻撃を全く受け付けない」訳では無くて、真面目に受けてしまいピンチになることも多いですから。

幸運の星の影響外に出るのが難しいのならば、戦闘時間を長期化させればよい。
ラッキーを一度に使い過ぎると「空吉」という運を使い切った状態になるし、体内の変身用ラッキョウが消化されると変身が解除されるし。
正直弱点は多い。

そうそう。
幸運の星の破壊というのは先ず不可能でしょうし、やるべきではないのかなと。
あの星自体が幸運に守られていて、絶対に破壊できない仕様に決まってますし。
攻撃が倍返しされそうです。

唯一気をつけなければいけないのは、幸運の星と合体する∞大吉バージョンにしない事でしょうか。
ラッキーマンが正義の心を持って戦うと決意するとこの状態になり、こうなると無敵です。
弱点が無くなっちゃいます。
ラッキーが尽きる事も無いでしょうし、ラッキョウが消化されるという自然現象もアンラッキーと見做され起きなさそう。
最大の弱点を取り込んだに等しい上に最強体にもなる。
この状態の時だったら、間違いなく最強と呼んで差支えないとは思います。

まとめ

どんなキャラクターでも1度や2度の敗北はありますし、弱点だってあります。
それをして「負けたことがあるor弱点があるから最強に非ず」とは言えません。
けれど、力の源が外部にあるのならば…。
それは同じ弱点でも致命的になると考えます。

ラッキーマンは、そういう致命的な弱点を持つ典型的なキャラクター。
故に僕は彼を最強とは思えないんです。