Mangaism

アニメ、漫画の感想や考察を書いてます

「マンガボックス」を使ってみて、有料化に関して考えた

この記事は

「マンガボックス」の記事です。
ちょっと触ってみました。

「マンガボックス」

12月4日に発表された「マンガボックス」。
DeNAと講談社、それと一部報道を見る限り小学館も絡んでるみたいですね。
今後関わってくる出版社が増える可能性があるようですが、主にDeNAと講談社が共同で制作・配信が始まった無料の漫画雑誌アプリ。
編集長を務めるのは漫画原作者の樹林伸氏。
元「週刊少年マガジン」の編集者にして、多くの漫画原作・原案を手掛け、小説やドラマ脚本も書かれている凄い人です。
一体何人キバヤシさんはいるんだろうかと云う位、多くの作品を手掛けてます。

余談ですが、ざっと挙げてみますと原作・原案として
「金田一少年の事件簿」、「サイコメトラーEIJI」、「Get Backers-奪還屋-」、「エリアの騎士」、「神の雫」、「BLOODY MONDAY」、「アソボット戦記五九」等々。
これらの作品で使われているペンネームは全て樹林氏。
一部は実姉である樹林ゆう子氏との共同ペンネームというのも有名かな。
昔(まだちゃんとブログとしてご本人が書かれていた時代だったような?)「天樹征丸日記」にて「金田一」の原案を一緒に作ってると書かれてたような気がします。

脚本家としては「ピッキングトリオの事件簿」(ネプチューンが主演した単発2時間ドラマ。懐かしい)とか「リモート」も全話担当されていたかな。
キムタク主演の月9ドラマ「HERO」のスタッフクレジットに名前を見つけた時は驚きましたが。

他「東京ゲンジ物語」等小説多数、歌舞伎の脚本からDEENへの歌詞提供等々。
密かにコピーロボットでも開発して使ってるんじゃなかろうかと思う程、多才で多くの仕事を熟している隊長ですね。
この一方で本業のミステリー調査班の仕事もされているんですから本当に凄いです。


脱線しまくったので本線回帰。
一応スマホ、タブレット用アプリということなのですが、PCからも閲覧できるようになってます。
んで、先程導入してみました。
お目当ては「高遠少年の事件簿」。
昨日11日に第2話が公開されたのを機に、いっきに3話まで読みました。

で、ちょいと触ってみましたのでアプリの感想込みで記事を書いてみます。

無料だやっほーいと喜んでばかりはいられない

今まで漫画アプリって試した事無かったんですよね。
スマホの小さな画面で漫画なんて読めるんだろうかという疑問が大きかったのですが、意外と問題無く読める物ですね。
ただ、これは画面の大きさに因るのかもしれませんけれど。
僕のスマホは4.7インチ。
前の機種に比べれば大きいのですが、最近では標準かな?
ディスプレイが小さめのスマホだと台詞を読むのに若干苦しいかもしれないなと思いつつも、触れ込みにもあったように雑誌感覚でサクサクッと読めます。

左右にフリックするだけで次の漫画へと順々に移行していって、しかも配信が始まってるかどうかが一目瞭然。
下の画像はスマホのスクショです。

カラーになっている漫画が配信済みを現していて、モノクロの漫画が配信前と大変分かりやすくなってます。
普通の雑誌と違って、同一日に全作品一斉配信ではなく、水曜を起点にして順次配信という形式を取っているらしく、このような見た目になってるんでしょうね。

無料で読めて、しかも有名な作家がラインナップされている。
新人発掘にも力を入れていくつもりらしく、広く持ち込みを募っていたりします。
ここからフレッシュな新人の大ヒット漫画が生まれるかもしれませんよね。
そういう意味で前途は明るそうですし、漫画を好きな僕としては凄く良い企画だな〜と思ってます。

けれど、やっぱり商売である以上は利益を上げていかないと、長く続けられないみたいです。
これは樹林氏もツイートされています。

創刊時のニュースでは、以下のように触れられています。

引用元:DeNA、週刊マンガ雑誌アプリ「マンガボックス」を創刊

電子書籍化、単行本化した際には、アプリ内のストアで購入できるほか、あらゆるチャネル(KindleストアやKoboなど他社のプラットフォーム)でも販売し、「マンガボックス」単体のサービスにおいて事業収益化を測る方針とのこと。

ちょっと前(といっても6年前。あれからそんなに経つのか…。)も無料の漫画雑誌が配布されていたものの、1年持たずに休刊という憂き目に遭ってました。
無料というのは読者からしてみれば嬉しいものですが、仕掛け側からしてみれば大博打です。
採算が取れないと、読者にとっても最悪な結末が待っているので他人事ではありません。
無料だやっほーいと喜んでばかりはいられないんですよね。
好きになった漫画が休刊・配信終了を理由に途中で打ち切られてしまう可能性がある以上は。

ここについても自論を少しだけ書かせてもらいます。

樹林氏の理念

編集長である樹林氏の考えが凄く共感出来るものでした。
一連のツイートを引用させて頂きます。

また、上記の記事内でもこのような事が書かれてました。

同サービスの編集長に就任した樹林伸氏は、「この話をもらったときに、僕がやらないで誰がやるんだと思った」と語る。
「コンビニや書店で立ち読みが難しくなり“タダ読み”できない時代になり、多くの人から漫画に触れる機会が減っている現状を、どうにか打破したいと感じていた」とのこと。
「マンガボックス」は「従来の立ち読み部分を補ってくれるサービスになればいい、マンガ業界全体の底上げになれば」と意気込みを見せた。

「人は中身のわからないモノに金を出さない」というのは、長年"売る側"に携わってきた方だからこその説得力があります。
僕もやっぱり中身の分からない物は簡単には手を出しませんし、多くの人が同じなんでしょうね。

で、コンビニでは無いですが、中身を魅せる工夫は色々見かけます。

1つ。
公式サイトでの第1話無料配信。これは多くの出版社・雑誌が取り入れていますよね。

1つ。
折り込み広告での1話無料公開。
近年コミックスに挟まっているペーパーを活用して、1話全ページを載せている広告を見かける頻度が高くなってきました。
これも中身を知ってもらいたいという出版社の工夫の一つでしょうね。
短所を挙げるとすれば「文字が小さくなってしまうこと」ですけれども(汗
例として、「月マガ」連載中の「FIRE BALL」の折り込み広告を。

縦幅19cmのB6サイズのコミックスの中に、6ページ分も載っているという小ささです。
読めないことは無いですが、割と疲れます(汗

1つ。
店頭での試読。
基本的にシュリンクや紐で縛っていても、1冊だけ立ち読み専用として店頭に並べている本屋さんが増えている印象です。
雑誌でもコミックスでも見かけますね。
この間は1巻まるまる読めるようにしている本屋までありました。
コミックスの場合、1話だけとか冒頭10数ページだけっていう本屋が多数を占めているところ、1冊丸ごとというのは僕自身初めてで驚きました。
こういうのは本屋さん側の努力なのかな?
出版社の営業さんが絡んでいるのかもしれませんけれど。

樹林氏の理想は、最後のものが近いかもしれませんね。
流石にこれをやっているコンビニは見かけませんけれども。

なにはともあれ、「無料で読んでもらう」という方針は絶対だと読み取れます。
無料にしつつ、有料にもする。
なかなか難しいですけれど、既に氏の中にはアイディアがありそうです。

んで、僕も触ってみて思った…アイディアとまでは言えない事があります。

触ってみた上での持論

このエントリの冒頭で僕は「マンガボックス」に触れたこと無い方からしたら変に感じる事を書きました。
第2話の配信が開始されたので、3話まで読んだ…と。

これ、実際に触ってみて知ったのですけれど、最新話配信と同時に「次回配信予定の話」までいっきに読む事が出来ます。
でも当然条件はあって、「友達に情報を共有」すること。

ツイッター、LINE、Eメール等々。
スマホから発信できるあらゆる情報発信ツールを使用できるようになっているらしく、僕はツイートしようと思いました。
まあ、結果から書けばそのツイートがあまりにも宣伝くさくて止めてしまったのですけれど…。
止めたのに読めちゃったんですよね。

ちゃんと宣伝した事を確認するのは難しいのかもしれませんけれど、これじゃ全く意味がありません。
宣伝もせずに3話を読んでしまった僕が言うのもなんですけれど。
本当の意味で「無料」になってしまっている。

宣伝という「有料」行為を読者にお願いしているのに、読者はそれをしなくても「報酬」にあり着けてしまうのですから。

この辺技術的にはどうなんでしょうね。
分かりませんけれど、解決できるかどうかは問題では無くて、この「バグ」を利用しちゃえばいいんじゃなかろうかと。

僕はアプリを利用する前は「次回最新話を有料で先行して読める」ようにすれば良いんでは無かろうかと考えておりました。
無料公開の1週間とか2週間前の時点で、課金を行えば先行して読む事が出来る。
面白い漫画ってどうしても続きを早く読みたくなるものですから、こういうのはアリだと思うんです。
若しかしたら、既に同様のシステムを取り込んでいる漫画アプリがあるかもしれません。

こういう考えの下アプリを触ってみて、「宣伝すれば次回を読める」と知った時は「なんだ。ダメか」と何故か落胆したのですけれど…。
上記のような穴があるんなら話は別ですよね。

宣伝による無料先行公開はこのままで。
ただし、無料の範囲を限定してみる。
次回全ページではなくて、冒頭数ページに。
全ページ見たければ、例えば50円とか100円とか小学生でも払える程度のお金を課金させる有料コンテンツにしてしまう。
そんなの嫌だというなら大人しく1週間待てば良いだけの話ですから、損する人間は出て来ない。
あくまでもいち早く先を読みたいという人だけが得をするんですから。

週刊雑誌が250円前後の時代。
1作品1話100円というのは高すぎるのかもですけれど、基本無料という事を考えれば安いのかなって。
流石に100円程度で「高いから読みたいけれど有料には手を出さない」という人も少ないでしょう。
変に広告を挟まれるよりかは、こういった事で一部有料化を試みて、利益追求される方が良いです。

あくまで素人の一意見ですけれど。

終わりに

「高遠少年の事件簿」の続きが気になります。
3話が8ページしか無かったんですもの〜。

恐らく「金田一」の短編と同程度の分量でしょうから、連続殺人にはならないと思いますが…。
あまりにも凄惨な殺人(「「血溜之間」殺人事件」を見た限り、こういう直接的な描写はNGかと思ってたんですが、掲載誌の差だったんですかね)ですが、これ自体トリックな気もしますね。
「鬼火島殺人事件」方式か、はたまた有名なマジック(「露西亜人形殺人事件」でも描かれたアレ)の応用なのか…。
ううむ、気になる。

あと最後に宣伝せずに3話を読んでしまったお詫びを。
ツイートもここで書いても、あまり意味は無い気もしますけれど、やらないよりは良いという事で。
「マンガボックス」公式です。
ここで漫画を読む事もアプリをDLする事も出来ます。