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「ソード・オラトリア」 第9巻 感想

この記事は

「ソード・オラトリア」第9巻の感想記事です。
ネタバレを含みます。

読んだ

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア」第9巻を読みました。
あとがきにあったように、第2部の締めということらしいですね。
剣姫・アイズの過去回想と本編8巻のアイズ視点で構成されていました。

その感想記事となります。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9 (GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9 (GA文庫)

主人公アイズの入団当時

アイズの過去というのは、描かれるべくして描かれる事であって、けれど、意外だったのは核心の部分は本編で明かす構想とのこと。
彼女の本当の過去…。
両親に何があったのか、悲願とはなんのことか、彼女の"正体"は―これらについてはこの外伝では明かされないのですね。

これまでの描写からすると、母親が精霊で、父親がヒューマンなのかなと考えているのですが、どうなんでしょう。
さておき、そこは伏せたまま、では過去のどのあたりが描かれるのかと思ったら、入団当時の様子でしたね。

あとがきにもありましたが、孤独なアイズがファミリアを得るまでが描かれていました。
レフィーヤじゃないですけれど、実際に過去を読んでも、今のアイズからは想像出来ないキャラクターをしてたのですね。
今以上に危うさを秘めた子供として、その中にも歳相応の部分もあって…。

子供の居ない僕が言うのも変ですけれど、手が掛かるほど子は可愛いと聞きます。
言うこと聞かない抑制のきかない子だったかこそ、一層リヴェリアにとっては可愛く映ったのかなと。

種族の垣根を越えた愛情の様子も、現代の村で「ハーフが多い」という描写と合わさって説得力を持たせていた気がしますね。
うん。

実にらしく、実に微笑ましい母娘愛を読ませて頂きました。

本編11巻での決断。

非常に後味良く、かつ、テンポよく読めたのも、構成の妙があってのことだったのかなと。
今と昔を交互に描くことで、だれることなく、また、当時と今のアイズの心境を重ねる事で「彼女の成長」をも浮き彫りにしていた風に感じました。

今も孤独を感じ、また、黒い復讐の炎に身を燃やそうとするも、自制する心があり、帰る場所がある。


ただ、まあ、こうして彼女の心情を読むと、本編11巻での決断がどれ程の重さだったのかも分かりますね。
モンスターに守られる人々。
そうした「世界」との接触。
今回の村でのことが無かったら、本編11巻でアイズが同じ決断を下せていたのか…。

無理だったような気がしてきますね。
迷いなく「彼女」をその剣のサビにしてしまっていたんじゃないかな。
ベルが立ちつくそうと、それを振り切ってでも。

アイズの中で揺らぐモンスターの定義。
それを揺らせたからこそ、あの時の決断があったのかなと。

読んでなくても差支えない事でしたが、今回読む事で、また違った意味で本編を補完できるというのは、外伝ならではの利点だと思いました。

終わりに

さて、次巻から第3部ということなのでしょうけれど、物語はいよいよクライマックスへと入るのかなと想像しております。
その前に読みたいのは、11巻の裏側ですよね。
ベル達の前に姿を現すまで、ロキ・ファミリアはどう動いていたのか。
何故あの場に現れる事が出来たのか。

そこはきっと描かれるのかなと。


クノッソスを攻略し、イヴィルスを掃討した後なのか。
はたまたその前なのか…。


2部で主要キャラの過去を描いて、敵の包囲網を狭めて…あとは攻めるだけの部分まで来てる気がします。
一先ずの10巻を期待しつつ、9巻の感想を終わります。