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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

「少年ジャンプ」で本格ミステリが上手くいなかいのは、努力が描けないからではないか

この記事は

「ジャンプ」とミステリの関係性について再度考える

以前こんな記事を書いた

nuruta.hatenablog.com
この中で、ミステリ漫画の利点として、僕はこう結んでいます。

全盛期の「金田一」が「マガジン」の売上を支えていた理由として、一つに「真相当てクイズ」があったと思っています。
これは、「週マガ」誌上で行われていた(今でも時折やってるようですね)もので、問題編終了時に「犯人・トリック・特定の理由」等が設問され、それに全て正解すると豪華賞品が貰えるというもの。


当然これは毎週きちんと「週マガ」での連載を追っていないと参加できない企画です。
立ち読みなどでも参加できない事も無いでしょうけれど、選択式では無く記述式の答案である為、なかなかに難しい。
やはり「週マガ」を毎週ちゃんと購入して、じっくり取り組むべき企画だったように思われます。
だから、コミックス派には絶対に参加出来ない「週マガ読者限定の特典」と言っても過言では無いのです。
で、この「真相当てクイズ」、一番多い時で48000通もの応募があったそうです。(93年「悲恋湖伝説殺人事件」)


「金田一」がドラマ化で本格的にブレイクしたのが95年の事。
その2年前、まだまだ「無名」と言っても良い位の時期に叩きだした記録。
当時のマガジン読者は、夢中になって謎解きに興じていたのでしょうね。


以降平均で1万通程度の応募は毎回あったようで、この企画は、雑誌を読ませるのに一役買っていたと考えられる訳です。


やはり「ミステリ」には、人を惹き付ける魔力があるんじゃないかな。

この記事では「DEATH NOTE」などを含めてますが、「ジャンプ」でミステリをやりたい場合は、なんらかのフィクションを織り交ぜる必要性があるんだと思います。
少年漫画らしい要素を盛り込んでみないと「ジャンプ」読者は読んでくれないのかなと。

近年は特にそう感じるんですよね。
フィクション要素を盛り込んでない作品で成功例が少ない。

スポーツものでいえば「SLAM DUNK」、「ROOKIES」あたりはフィクション要素が皆無ですが、珍しくヒットした例でしょう。
「ジャンプ」でスポーツといえば「キャプテン翼」や「テニスの王子様」、「黒子のバスケ」など能力やそれに準じた「あり得なさ」を"多分に"含んでいないと成功は難しい。

ミステリが「ジャンプ」で成功しないのは、そんなところにも起因があるのでしょう。


だから、本格ミステリは成功していない。
ここでいう本格とは、フィクション要素を出来るだけ排除したミステリ漫画です。
故に「デスノ」も「ネウロ」も当てはまらない。

当てはまるのは「人形草紙あやつり左近」、「少年探偵Q」など。
最近でいえば「学糾法廷」とか一部の作品ですね。

さて、他にも「ジャンプ」で本格ミステリが難しい理由があります。
1つは、アンケシステムとの相性の悪さ。

アンケートシステムとミステリ

1クール3ヶ月で早々に切られてしまうことのある「ジャンプ」で、「金田一少年」のような長編ミステリに主軸を置いた本格ミステリは難しいです。
「金田一少年」では、1つの事件に10話前後使っています。
長いものになると15話。短くても8話ですね。
最初からトリック、犯人、動機を練りこんで作っているため、最初から大体の連載回数が決まってきます。
これが長編ミステリの特徴でしょう。

では、例えば13回で完結する想定の長編を考えて連載したとします。
ですが、あまりにもアンケートの結果が悪く、12回で連載の打ち切りが決まってしまいました。
すると、想定していた「事件の最終回」が描けなくなってしまいます。
一度走り出した長編ミステリを途中で構成を変えて短くするのは、大変困難を要する作業です。

トリック解明の途中で「俺たちの謎解きはこれからだ」で終わりかねません。
これは笑えません。

流石に極端な例ではありますが、「いつ打ち切られるかわからない少年ジャンプ」に於いて、「連載回数がある程度決められている長編ミステリ」は相性が悪いとしか言えません。


僕が記憶してる限り、これに挑戦したのは「あやつり左近」の最初の事件だけですね。
全10話の長編を連載し、以降は短編に切り替えたのは、こういった相性の都合もあったのかもしれません。

「学糾法廷」も駄目だった。

故に「名探偵コナン」のようなマンガが「ジャンプ」には相応しいのかなと。
適度なフィクション設定。
短編主体のミステリ。

「ジャンプ」でやるにはフィットします。
でも、失敗した。
「学糾法廷」です。

学糾法廷 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

学糾法廷 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

小学生が弁護士や検事として、学校で起こったさまざまな事件を解決するという「適度なフィクション」を盛り込み、「短編主体のミステリ」だったにも関わらず、打ち切られてしまいました。
それこそ上の例のように「犯人はお前だな」で打ち切られてしまうという超展開。
解答編はWEBでという打ち切りでした。

絵には小畑先生。
内容だって、特別悪くはなかったと思うのです。
最後の結末とか、凄く練られていたし。

それでも、アンケートを送っていた世代には響かなかったのでしょうね。
なぜ打ち切られてしまったのか、色々と理由はあるのでしょうけれど、僕としては「主人公に成長要素がないから」駄目だったのかなと。

友情・努力・勝利

「ジャンプ」の掲げるスローガンですけれど、最近は「努力」が疎かになってる節があります。
特訓シーンを極力避けたり、最初からある程度強かったり。

昔に比べて薄くなってる感は否めませんが、然しながらちゃんと盛り込まれている要素ではあります。


努力するというのは、成長をするということです。
「ジャンプ」の主人公たちはみな一様に成長しています。
剣心だって、黒子だって、みんな新技を身に着けるべく特訓した。
成長したんです。


ですが、本格ミステリの場合、この努力を描けません。
主人公の探偵役が最初から「頭が良い」からです。

事件の謎を解くために奔走する・推理を働かせるのも努力と言えなくもないですが、それによって主人公が成長する訳ではありません。
それ以前に、事件を解決するための推理の過程を普通は努力とは言いませんしね。

「ジャンプ」に限らず、成長する主人公を置いたミステリって読んだことがないんです。
推理小説にまで範囲を広げれば、もしかしたらあるかもしれません。
けれど、マンガでは見たことがありません。

基本的には、「観察眼・洞察力・推理力」に長けた天才が事件の謎を解くのがミステリですからね。


これが「ジャンプ」で本格ミステリが続かない最大の要因なのではないかな。

師匠と弟子

だから、こんな感じのマンガを読んでみたい。

適度なフィクション設定。
短編主体のミステリ。

加えて、成長する主人公。

主人公は駆け出しの探偵少年。
謎解きをするのは、少年の師匠である探偵。

探偵の下で修行を積んで、1人で事件を解決できるように成長を描いていく物語。


…僕が知らないだけで普通にありそうな気がしてきたw
てか、「探偵学園Q」じゃん。
id:b204638さんにコメントいただけるまで気づかなかった。

「探偵学園Q」にもっと明確な成長要素を持たせた感じ。
究ほど謎解きが出来ない初期設定にして。
こんな感じのマンガなら「ジャンプ」でも本格ミステリが続けられるんじゃないかなと思った次第です。