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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

【ネタバレあり】「劇場版 名探偵コナン から紅の恋歌」が最高傑作レベルな理由を徹底考察

この記事は

「劇場版 名探偵コナン から紅の恋歌」の考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

面白すぎる

今作は本当に面白い。
既に2度鑑賞しましたが、全然飽きない。
それどころか3度目の鑑賞まで考えちゃうほど。

どうして、こうも面白かったのか。
徹底的に考察してみます。
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犯人名など詳細なネタバレを含みますので、ご注意ください。
作品の感想はこちら。
nuruta.hatenablog.com

ミステリが最高に面白い

やはり「コナン」の核はミステリなんだと改めて痛感した次第です。
今回脚本には大倉崇裕さんを起用。
青山先生が大倉先生原作のドラマを視聴して、指名されたのが縁。
今回の映画に先んじて、TVシリーズ829話「不思議な少年」も担当されてました。

この大倉先生の書いたミステリが実に面白い。


トリックこそ無いのですけれど、フーダニット(犯人当て)と倒叙モノの複合型だったと言えます。
静野監督の特徴として、映像に伏線を仕込むことが多く、今回も映像にしっかりと伏線が張ってありました。

1つは言うまでも無く、「爆破犯」の指輪ですね。
海江田藤伍が最初に紹介された際にしっかりと指輪が描かれており、「爆破犯」が彼だとすぐに分かる仕掛けになっています。
(恥ずかしながら僕は二度目の鑑賞でようやくこの伏線に気づいたのですが…)
一応いつもの「真犯人さん」の姿で正体を隠してますが、隠しきれない大きな特徴的な指輪が正体を露骨に表しているんですよね。

こうやってみると、事件は一見倒叙物のように見えてきます。
そう思わせているのが、もう1人の「犯人役」関根康史ですね。
犯人しか知り得ない様な迂闊な発言をし、そうそうにコナンと平次に睨まれてしまいます。
この発言「剣で撲殺」は、非常に分かり易かったので、多くの方が初見で気付かれたと思います。

この2人の「犯人」が既に分かった状態で物語が進むので、倒叙形式のように見えます。
関根の追い込み方もしっかりと考え抜かれており、中盤でその推理が披露されてたことも今作が倒叙物と思わせる仕掛けになってました。

大倉先生は倒叙型ミステリの「福家警部補シリーズ」(フジテレビでドラマ化されてましたよね)を認めており、倒叙型ミステリを知り尽くした作家。
「不思議な少年」も倒叙型でした。

今作は倒叙型なのか?
いや違うんです。
面白いのはここから二転三転させたことです。
倒叙からいっきにフーダニットに転調させた手腕ですね。


先ずは、「2人目の犯人」である関根を海江田に爆破させることで、犯人候補から消去します。
更に、海江田が真犯人に嵌められて爆死。
こうして犯人役を2人とも「抹殺」することで、倒叙型ミステリから一転フーダニット形式のミステリに変わります。

上手いのは、1から推理を組み立て直す必要性が無いことですね。
海江田が爆破を行っていたことから、容疑者が阿知波1人に絞り込めるからです。
物語はいっきにクライマックスへと雪崩れ込めるという訳です。


また、伏線の2つ目はさり気なく描かれていました。
犯人はどうやって和葉のメールアドレスを入手できたのか?
作中では触れていませんでしたが、これは謎の1つです。

これも、ちゃんと阿知波が「知った瞬間」が描かれてるんですよね。
和葉が決勝進出を決めた次のカットで、阿知波が和葉のエントリーシートを見ます。
そのシートにはしっかりとメールアドレスを記載する欄があり、和葉が書き込んでいることが分かります。

大会主催者側だからこそ知り得た情報。
これもまた、阿知波が犯人である証拠になります。


敏い人であれば、指輪の件から阿知波が真犯人であると開始早々に気づけたかもしれません。
けれど、爆破犯も殺人犯も判明してしまうことから、本作が倒叙ミステリであると思わされてしまうんです。
そうなると作者の術中に嵌ったというもの。
阿知波はただの被害者なのかとなる。
トリックと言うなれば、観客に倒叙ミステリだと思わせることこそがトリックと言えるのかもしれません。


最後に、名頃殺しの真犯人暴きというおまけつき。
動機が「空廻っていた」という「コナン」得意のパターンに綺麗に落とし込まれ、事件は居た堪れない感情と共に帰結します

アクション

この事件を核にして、アクションに必然性を生んでいるのが今作の大きな特徴。
無意味な派手さだけを求めたアクションシーンじゃないんですよね。


何故、TV局爆破が必要だったのか?
全ては、皐月の指紋の付いたかるた札を燃やし、大会を中止させるため。
その為に爆破が仕掛けられたのだが、海江田はこれに失敗。
未来子の思いがけない行動によって、かるたが守られてしまいました。

最初のアクションシーンは、犯人側にとってはミスであったのですが、こうして生まれたのであって、物語には必要だったという説得力があります。


もしもTV局の爆破でかるたを燃やせられていたら、この後の事件は無かったのでしょう。
失敗したからこそ、皐月杯決勝戦会場の爆破事件が計画されてしまった。
阿知波は名頃殺しの真相を全て自分と共に燃やし尽くす計画を立てた。

どうしても愛する妻を犯人にしたくなかったのでしょうね。

わざわざ決勝を舞台にしたのも、名頃の得意札6枚に合せる為。
「6人の犠牲者」が必要だった為であり、やはりミステリの為にアクションがあったと分かります。

感想の方でも書きましたが、脱出の方法は二度とも見事でしたよね。
TV局のコナンは、TV局ならではの巨大アンテナをスケボーの助走面代わりにしての脱出。
平次の脱出シーンは、犯人の爆弾を利用した「天国へのカウントダウン」のオマージュ。
(その後落ちそうになる和葉を助け出した平次のシーンは、人魚編のオマージュかもですね)

脱出の方法もしっかりと練り込まれていたり、ファンサービスを入れ込んだりと、非常に見応えのあるものでした。

恋愛要素

こちらもミステリにしっかりと絡んでいたから、面白い。

なんといっても和葉の頑張りですよね。
紅葉と和葉に因縁を作って、平次の取り合いというラブコメシチュエーションを作る。
未来子を負傷させたりと、和葉が「大会に出場しなければならない」ように追い込んだ上で、シチュエーションを用意。

決勝戦が2人の対決になる説得力を作っていました。


そして、動機にも恋愛要素を仕込むという芸細っぷり。
阿知波の犯行動機も亡き妻に捧げる愛だったのもそうですが、5年前の名頃の行動がね。
名頃の初恋の相手が皐月であり、皐月を恥ずかしめんが為の行為が悲しくも裏目に出てしまったという悲恋。


オチにはちゃんと新一・蘭のラブコメも仕込み、恋愛がミステリに大きく絡んでいました。

総括

「劇場版コナン」のウリは大きく3つあります。
先ずはミステリ。
ここが面白くないと、作品そのものが面白くありません。
しっかりと面白いミステリが芯となっているかどうか。
今作はそれを十二分に満たしている。

2つ目はアクション。
映画ならではの派手で爽快感のあるアクションシーンは、やはりあって欲しい。
スカッとした映像を見たい。
静野監督はそれを得意とする監督なので、アクションシーンは毎回凄い。

今回は、そのアクションに必然性をしっかりと持たせている。
また、バリエーションも工夫され、過去作のオマージュまで散りばめている。

3つ目は恋愛。
殺人ラブコメという今作。
恋愛要素は必須です。

平次と和葉を主軸としたラブコメを展開しつつも、ミステリの大事な要素である動機にも悲恋をしっかりと絡ませている。
事件に見事に花を添えていて、必要な要素として成り立っています。


ミステリ・アクション・恋愛。
大事な3要素が密接にリンクしているからこそ、今回のバツグンの面白さが生まれたのかなと。


3度目。
行こうかな。