Mangaism

アニメ、漫画の感想や考察を書いてます

あだち充最高傑作は「虹色とうがらし」に間違いない

この記事は

4年くらい前に書くと言っていた「虹色とうがらし」の記事です。


休みますと舌の根も乾かぬうちに

前の記事でも言及しましたが、伯父になりました。
ブログ再開します。
再開は、来週からと考えていたのですが、今日から早速再開します。

最初は「虹色とうがらし」。
ネタバレを含みます。
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感想

あだち先生と言えば野球漫画。
恋愛、スポーツを絡めたら天下一品。
展開が物凄く早いのも特徴です。

「H2」とか高校3年間を34巻で纏めてますからね。
しっかりと試合を描写して。
野球漫画の中では一番好きです。

こと、あだち漫画の中というと、「H2」を抜いて、僕は今作を推します。

全11巻。読みやすい。(おや?手元に10巻だけ無いぞ…どこ行った…汗)
そして、冒険・謎・ラブコメがぎっしりと詰まっているんです。

遥か遠い未来のお話。
いきなりこれが伏線になっています。
時代考証に口出し無用なんてあだち先生らしい作者注が入るものの、しっかりと物語の謎の根幹に絡んでくるから凄い。

遠い未来、偶然「江戸」と名付けられた時代。
集められた7人の異母兄妹。
みんな一癖も二癖もある兄妹たちで、力を合わせて次々と事件を解決していく。
そんな7人の中に1人だけ、血の繋がらない兄妹がいることが分かって…。
兄弟はそれぞれの故郷をめぐって、母親の墓参りをする旅に出ることになります。

道中、命を狙われながらも、絆を深めていく7人。

果たして誰が赤の他人なのか。
本当に他人と呼べるのか。


そもそもが顔も名前も知らず、唐突に「今日から兄妹だから」と告げられたようなものの7人。
物語開始時点で、6人は既に長屋で一緒に暮らしていたんですが、そこに7人目の主人公・七味が加わります。
最初は戸惑いもあった。
けれど、旅を通じ、事件を解決しつつ、仲を深めていくと、血の関係とかどうでもよくなってくる。


最終決戦は、本当に手に汗握ります。
ラブコメ的にも最終決戦です。
妹の為に。
愛する女の子の為に。
七味が悪党一味を相手に大立ち回りを見せる。
何度読んでも、この展開には痺れますね。

1話が凄い

くどいように未来の話だって云うんですよ。
冒頭でも最終ページでも。
ただ単に江戸という名前が偶然だって。

これが物語にどう絡んでくるのか。
意外でもなんでもないのかもしれないけれど、一読目に物語の全体像を知った時は本当に驚きました。
成程ねと。

こうまで堂々としていて、それでいて、気づかせない技量。
いや、若しかしたら、気づかないのは僕だけなのかもしれないけれど。
兎も角、凄い設定を考えたなと。

7人の異母兄弟

血の繋がってないのは誰か?
本当の7人目はじゃあ何処へ?

ハッピーエンドに向かって、そして、あだち先生らしい「死」を効果的に使った切なさもあって、どこか余韻に浸れるラストになっています。
この辺も物語の謎解きに絡んでいるので、一緒になって考えながら読まれる事をお勧めします。

終わりに

あだち先生の得意とするスポーツではありませんけれど、しっかりとした家族の絆、そしてラブコメが込められている。
更には早い展開ですね。
全く無駄の無いストーリー展開に、練られた時代考証。
非常に面白い作品ですので、未読の方には手に取って頂きたい作品です。