アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

It's an "ENTERTAINMENT"!!「ONE PIECE FILM GOLD」 感想

この記事は

ONE PIECE FILM GOLD」感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

いきなりネガティブなことを言うようですが、初め僕は最速上映に行くつもりはありませんでした。
ここのところ仕事で疲れが溜まっていましたし、明日(というかもう今日ですが)土曜も私用で朝早いこともあり、体力的に無理だなと。

別の休みの日に、ゆっくりと鑑賞すればいいや。
そう考えていたんです。

ところが、何気なく近くの映画館の上映スケジュールを覗いたら、なんと鑑賞料金が1100円じゃあ〜りませんか。
何故に?と思いきや、日付変わって23日がその映画館のサービスデー。
深夜0時上映でも適応されて、サービス料金だった訳ですよ。
気付いたら、予約してました。はい。

疲労もお金には勝てなかったようです。
お金って凄い。

金って凄い。

GOLDって凄い。

うん。
ウマイ コト ツナガリ マシタネ。

ただただ楽しい。
ある方向に突き抜けた。極限まで高められた。
これぞエンターティメントだ!!!!!!!!!!!って映画でありました。

「ジャンプ」33号での映画特集記事内での尾田先生のこのコメントが、この映画の全てを語っていたんだなと、見終わった今になって実感しました。

ワンピの魅力

色々とあると思うのですよね。
何を重視してるかは人によりけりでしょうけれど、ざっと思いつく限りを挙げてみます。

先ずは、何と言ってもキャラクター。
実に個性的かつ癖のあるキャラクターばかりが登場するのがワンピの魅力の一。
キャラクターを追ってるだけでも楽しい漫画ですよね。

そんなキャラクターの魅力を更に高めるドラマ性。
これも魅力の1つ。
主に重たい悲劇的な過去を持ってたりして、数々の「泣きのドラマ」を魅せてくれました。
キャラクター達に厚みが生まれる要因になってますね。

更には、不可思議な能力を備えた者達も居る。
悪魔の実
無限にも思える能力者を作り出せるこの夢のような設定は、ワンピの象徴とも言えます。

そんな能力者達でも手が届かず、深い霧の奥に眠ったままの秘宝"ワンピース"。
ワンピースとは何か?
この最大の疑問をはじめ、至る所に張り巡らされた伏線と謎。
先が気になって読むのを辞められない。
連載が開始され20年に迫ろうかと言う長期連載にも拘らず、前代未聞の発行部数を刷り続けている由縁と断言してもいいんじゃないかな。

数々の魅力溢れる謎を包み込む何でもアリの世界観。
およそ人類が想像出来るあらゆる事象を可能とする世界は、これもまたワンピの魅力であります。
ルフィ達が訪れる島々は、どれ1つとっても同じような島はありません。
全てが個性的。
そんな世界でのルフィ達の大冒険に胸を躍らせなきゃ、どこでワクワクするんですか。



大きく取り上げてみるとこの"5大要素"として纏められる…と言うのが僕の考え。
で、この映画は繰り返すようですが、エンターティメントなんです。
まさに「ジェットコースターのような楽しさ」。
それが追求されて、それだけに絞られた1本でした。
5つの要素のうち、ある2つに絞った映画。


キーワードは「ジェットコースター」ですね。

ジェットコースターと中弛み

なにかの映画の感想にも書いたことがあるんですが、どんな作品にも大抵中弛みと呼ばれる部分があります。
どちらかと言えばネガティブな表現として使われていますが、作品にとっては必要な部分であることが多いんですよね。

退屈を覚え、中弛みしてるなと感じるのはどんな場面か?
答えは一つでは無いですけれど、持論を言えば「キャラが歩みを止めた時」が中弛みする場面と思っています。

主に主人公が、物語のラストへと至るランニングを止めて、ふとその場で立ち止まってしまう。
立ち止まっては、後ろを振り返ったり、悩んだり。
時には「逆走」しちゃったり。
シナリオ的には、グイグイと走り続けて勢いを付けつつも、ラストスパート前に一呼吸入れる…的な。

ようは緩急ですよね。
シナリオに波を作って、最後に向けての「タメ」の部分。
大きな波を起こす前の引き潮。

キャラクターの内面が描かれる事も多い為、物語的にも厚みが出せるし、クライマックスを否応なく盛り上げる為の準備にも使える。
ついつい「中弛み」と一言で悪い意味合いで使っちゃいますが、シナリオ的には大事な要素でもあると考えます。

さて、話を戻して、では、ジェットコースターとはどんな乗り物かという話ですよ。
全てがそうとは言いませんが、ジェットコースターには「中弛み」って無いですよね。
何言ってんだと思われるかもですがw

強いて言うならば、最初でしょうか。
初めの頂点に向けてゆっくりとコースターが昇って行く時間帯が「中弛み」。
直後に続くスリリングでスピード感いっぱいのクライマックスをより効果的に演出する時間帯です。
あえてスピードを殺し、ゆっくりと時間を掛けて昇る様は、客の恐怖を駆り立て、高揚感を増します。

「GOLD」も全く同じ。
テゾーロがゆっくりと舞台までの階段を上がるオープニングシーン。
あれだけが「中弛み」。

あとはもう目まぐるしく・激しい展開をただただ楽しめばいい。
ルフィは止まりません。
最初から全力全開。
暴れて、楽しんで、食って、走って、戦って。
全く止まりません。
最後の最後まで走り続ける。
だから、シナリオ的な中弛みは存在しません。
派手で単純に楽しい映像の連続でいっきに最後まで見せられます。


故に、ドラマ性も謎も無いんですよ。
キャラクターのドラマは、確かに大事だし、この漫画の大切な要素。
だけれど、敢えて…敢えてオミットしている。
入場者特典の巻七七七にも収録されてますけれど、尾田先生はテゾーロのドラマを詳細に設定されています。
けど、本編には殆ど描かれてませんでした。
これは、22日付のデイリースポーツの記事で触れられてもいました。

悪役のボスとなるギルド・テゾーロの人生はA4用紙7枚にびっしりと書き込まれた。

注目すべきはテゾーロの悲劇的な過去や部下たちとの出会いは、設定上、詳細に作り込まれているにもかかわらず、映画内で事細かに語られることがない、ということ。
櫻田氏は「設定を生かしてしまうとテゾーロの映画になってしまう。
尾田さんはブレない。
あくまでも、ルフィたちの活躍を描きたいんです」と説明する。

「テゾーロの人生をめいいっぱい作って、どれだけ捨てるか。
捨てつつ、どれだけいいものを入れていけるか。
"材料"がたくさん出てきて、その1番いいところだけを使って"料理"してください、と。
僕らもプレッシャーでした」

キャラクターの背景描写は、キャラの魅力を底上げできるし、物語的にも重厚さを持たせられる。
けれど、スピード感は確実に殺されます。
展開は一旦ストップし、「中弛み」になりやすい。
今回は、それを嫌ったのでしょうかね。
設定した上で、オミットしている。
但し、映画内の短い描写だけでもテゾーロの半生が推察出来て、それだけで彼のキャラを引き立たせても居たので、そこは料理として凄かったという事なのでしょうね。

ドラマ性を省くという事は「泣きのドラマ」も無いという事。
見終わってカラッとした楽しさだけが残った理由の1つですね。


キャラクターの魅力と言う点については、微妙なところ。
個人的にはカリーナを気に入ったので、ここは「あった」としたいところなのですが、それ以上に印象に残った「残り2つの要素」の影に隠れちゃったとも感じるし。

「残り2つの要素」。

即ち能力者と世界観ですね。

「ワンピ」って誤解を恐れずに言えば、この2つの要素を含めれば成立しちゃうんですよね。
これまで見た事も無い島を出して、そこに新しいタイプの能力者を敵として君臨させる。
ルフィ達をその島に誘えば、あとはルフィが敵を倒してくれますから。

でも、本当に本当にそれだけだと、やっぱりつまらない。
それじゃ3億部なんて達成出来ない。

尾田先生の凄い所は、世界観に用いたアイディアやギミックをしっかりと物語に絡めてくる点。
今回の映画で「面白い」と思えたのは、まさにこの点でした。
テゾーロの能力「ゴルゴルの実」。
誰でも超一流のスナイパーに仕立てる能力。
彼の触れた黄金は、全て彼の意志で操れるという恐ろしい能力。

この能力をグランテゾーロという舞台にしっかりと組み込んでいました。
物語の冒頭。
船に入る麦わら一味に降りかかる「黄金の雨」。
これまで本当に色々な「世界」を見せられてきた僕は、これも単純に「黄金の島」を演出する装置の1つに過ぎないと見過ごしていました。
だからテゾーロの罠と知った時はビックリしましたよ。
自身の支配する世界で、どんな相手も自然に自分の支配下に置けるというこのギミックには舌を巻きました。

更には、グランテゾーロには当然あってしかるべき機構を利用したどんでん返しにも本当に感動。
ゴルゴルの実の支配からの脱出の理論とも自然と絡められていて、説得力がありました。

新しい島のギミックをテゾーロの長所と短所に活かしていて、「ただ物珍しい島を舞台にした」だけで終わらせない点がとても凄かったですね。
(他には、タナカさんの倒し方。これも能力を逆手に取った説得力のある倒し方で素晴らしいなと)

やはり、単純なパワー勝負にならない「ワンピ」に於いて、敵の強さや倒し方に説得力があるかないかって大事です。
作品の持ち味である能力者と世界観をしっかりと絡ませて、自然に強さを表現し、納得のいく逆転劇を描き切った点は、この映画のジェットコースター感を確かに際立たせていたと感じます。

終わりに

乱暴に纏めちゃうと、「ルフィ達がムカつく悪役をしばき倒してくれるスカッとする映画でそれ以上でもそれ以下でも無い」となります。
原作のような重厚で泣けるスト―リーとかは無いので、そういうのを評価の軸にしている人にとっては、「薄っぺらい」という印象しか残らないかもしれません。

けれど、これは間違いなく映画館で見るべき映画。
頭をからっぽにして、映画ならではのスケールで描かれるカタルシスいっぱいのアクションをお腹いっぱい堪能する。
そういうスタンスで目一杯楽しんで欲しい映画でしたね。


ところで、ルフィがアンラッキーになったのはファンサービスか何かですか?(笑
「ついてね〜〜〜」って言って欲しかったなw