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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

総集編はこうあるべき 「劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜」

映画

この記事は

「劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

「劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜」の鑑賞に行って参りました。
流石の面白さ。
完璧な総集編ですね。

個人的に「良い総集編」と「ダメな総集編」

総集編ってテーマをどう絞るかで面白さが決まる気が致します。
全12話のアニメの場合、1話あたり正味20分として240分。
これを90〜100分弱に収める。
(ちなみに「ユーフォニアム」は13話)
TVシリーズの段階で脚本も度重なる推敲の末に出来上がるんじゃないかなと想像されます。
例え原作があっても。(ほんの一部原作を「脚本」にしてる作品を除けば。「コナン」の原作回とか)
この過程で贅肉って削ぎ落とされて、必要な肉と骨だけで構成されているはずなんです。

それを総集編という題目の元、更に肉を落としちゃう。
落とさないとならないから大変な作業に違いありません。
言うなれば活きの良い骨人間を作るかの如く(意味不明)。
ホネホネロック。

うん。
ブルック(by「ONE PIECE」)のような活きの良い骨を作るには、作品の骨子をしっかりと見定めた編集が大事になるのかなと素人ながらに思う訳です。

ユーフォニアム」とは全然関係無いのですが、最近面白いなと感じたのが次の動画です。
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の登場人物・一色いろは(高1)の早口「○○無理です」を集めたものです。

いろはのこの早口部分大好きなんです(笑
久々に聞きたくて動画を漁ってたら、このようなナイスな動画に出会えたわけです。

んで、当時は意識してなかったので全く気付かなかったのですが、これ「いろはに焦点を当てた『俺ガイル』の総集編」としても成立してると知りました。
主人公・八幡(高2)への気持ちの変遷がこれでもかと詰め込まれてるんですよね。

世の中にはこんなに素晴らしい記事が。
リンク先の記事さまの

  1. シーン5
  2. シーン9
  3. シーン14
  4. シーン20
  5. シーン28

が上の動画で編集されているものと同様のシーンに当たります。

始めは「好きな人がいるので」と本気の拒絶。
八幡としては口説いてるつもりは毛頭ないので、あまりにも心外な返しになっていますw
それが徐々に…八幡と同じ時を過ごしていくと変化していきます。

「なんですか口説いてるんですかごめんなさい無理です好きな人がいるので」
  ↓
「なんですかそれ口説いてるんですかごめんなさい狙いすぎだし気持ち悪くて無理です」
  ↓
「もしかして今のって口説こうとしてましたかごめんなさいちょっと一瞬ときめきかけましたが冷静になるとやっぱり無理です」
  ↓
「もしかして今私の事口説いてますかごめんなさい年上結構好きですけど無理です」
  ↓
「なんですか傷心に付け込んで口説いてるんですかごめんなさいまだちょっと無理です」

八幡への好感度鰻登りです。
アニメ2期では最終的に"まだ"無理な状態にまで惹かれていることが分かります。

わずか24秒の動画ですよ。
24秒でいろはの1クール掛けて描かれた心の変遷が見事に凝縮されていました。
実に本編を見たくなる「素晴らしい総集編」です。

「俺ガイル」はいろはの恋心を主軸とした作品じゃないので、これを「俺ガイル」の総集編として素晴らしいかと言われるとそれはまた別のお話になります。
しかし、テーマが絞られており、「いろはの恋」として見ることで総集編として成り立ちもするんです。
これとは真逆な感想を持ってしまったのが、「ONE PIECE」のTVスペシャルです。

過去に記事にしちゃいましたが、纏めるとこんな感じです。

色々と盛り込まれた「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編」(TVシリーズ104話・約2080分)を2時間に纏めるには無理がある。
テーマを1つに絞っている筈なのに、シリーズの盛り込み要素全てに手を付けてしまった為に、ただでさえ足りない時間が余計に足りなくなってしまった。

こんな感じでしょうか…。
言いたい事の全てはリンク先の駄文に書いてますので、ここでは省きます。
総集編としてテーマを絞りきれていなかったのが、僕が面白くないなと感じた最大の理由でした。

ユーフォニアム」の場合

さて。
ユーフォニアム」です。
僕が見た限り、主人公である久美子とメインキャラの1人である麗奈を中心にした構成でした。
「2人の関係性の変化」がこの総集編のテーマと思えました。
このテーマだったと仮定して、今回の映画が総集編としてどう素晴らしかったのかは、冒頭とラストの2つのシーンに凝縮されていました。

TVシリーズの1話の冒頭を映画でも最初に持ってきていました。
中学時代のコンクール。
久美子の居た吹部は、ダメ金を獲得。
仲間と喜ぶ久美子の横で1人悔し涙を流す麗奈。
そんな麗奈の気持ちが理解できない久美子は、正直に口に出してしまう。
2人の間には確かな溝があり、重たい空気が支配するという始まり。

ラストは、またしてもコンクール会場の合格発表直前。
高校1年生となった久美子は、冒頭と同じく部の仲間たちと緊張しつつも、発表の時を待つ。
久美子の隣には、中学時代同様麗奈がいる。
正真正銘、全国切符の金を獲得。
麗奈は涙を流し、久美子と共に喜びを分かち合う。

初めと終わりを同じ状況にすることで、「2人の関係性の変化」が際立っていました。
もう少し詳しく映画全体を起承転結で纏めてみます。

「2人の関係性の変化」に着目しますと、冒頭のシーンはまさに「起」です。
本気で全国を目指す麗奈とダメ金でも納得しちゃう久美子が描かれ、2人の噛み合わなさを示したスタート。

「承」は、久美子が流れで麗奈を祭に誘ったシーンでしょうね。
秀一の久美子への好意の流れは一見彼女達のドラマには不要に映りますが、久美子が麗奈を祭に誘うシーンを描く為の前振りとして必要です。
葉月が振られちゃうシーンまでセットにならざるを得ないのは、葉月にとっては酷ですけれど。
祭の日に一緒に山を登り、麗奈の告白を聞いた久美子。
2人の仲は急激に進展します。

「転」は、本来の意味であれば再び久美子と麗奈の仲に溝が出来るシーンがあれば、そのような物語が相応しいのでしょう。
けれど、そうではないですね。
承を受けて、結に繫げる為に、久美子が麗奈の気持ちを真に知る必要性が出てきます。
挫折を知り、悔しさを知り、そこでようやく初めてダメ金で悔し泣きをしていた麗奈の気持ちを知る。

この後のソロパートを巡る麗奈と香織の戦いは、久美子と麗奈の関係性がはっきりと変わった事を分かり易く示す為のシーンですね。
中学時代までの久美子だったら、あそこで麗奈に向けて拍手なんて送らないでしょうから。

先輩の最後のチャンスを尊重するか。
麗奈の実力を優先するか。

どうすればいいのか分からず、重たい空気のまま流れに任せ「何もしない」を選んだ多くの部員。
中学の頃の久美子も空気を読んでしまっていたのではないかな。
そうはせずに1人立ち上がって拍手を送ったのは、麗奈の気持ちを真に理解出来たからなのだと。

そして「結」。
同じ構図で、しっかりと身体を寄せ合い手を握り合う2人は、まさに結論に相応しいシーンです。
ココに至るまでの過程がちゃんと物語に乗っているから、結論としてしっかりと成り立っています。


この割りを食って、みどりや葉月らメインキャラが脇役になっていたのは致し方ない点ですかね。
夏紀先輩とかあすかとか晴香とかTVシリーズで良い味を出していたキャラ達もこの映画だけでは全然キャラ立ち出来てませんでしたが、しょうがないんです。
葵とか存在そのものがオミットされてしまったのは、ちと残念ですが、仕方ありません。
テーマを語る上では見せる必要性の低い部分ですので。
それはもうTVシリーズを見て下さい、そちらで確認願いますというのが総集編なのですから。

ただ、細かい部分を拾っていけば、葉月の成長が北宇治高校吹奏楽部のレベルアップを示してもいました。
初心者の葉月は、物語冒頭では北宇治高校吹奏楽部の演奏のダメな点が分かりませんでした。
何がどうダメなのか分からず、久美子らに聞いていたんです。

これは分かります。
僕も「分からない側」なので。
耳が良かったり、リズム感があったりすれば、冒頭の演奏が「どう下手なのか」分かるのかもしれません。
でも僕はそうじゃない。
分からないんです。
ギリギリ麗奈のソロと香織のソロの「差」に気づけた位です。
これも家のTVの音響では気づけず、今回初めて映画館の素晴らしい音響によって気付けた位なのですけれど。
分からないからこそ、葉月のような存在って有り難かったんです。

僕と同じように分からなかった葉月。
だけど、最後のコンクールの演奏。
久美子達低音パートの演奏を聴いて、夏紀先輩とハイタッチを交わします。
「やった!!出来た!!」という部分。
(恐らく)久美子が一度は出来ずにダメ出しを喰らって挫折した部分なのでしょう。
本番までにしっかりと出来るようにしてきた久美子の努力がこのハイタッチからは「分からない僕」にも伝わってきます。
と、同時に葉月の成長が見て取れます。
この時には、葉月は「分かる側」に居るんですよね。

「分からない」から「分かる」に変わるのは、吹奏楽の練習に明け暮れる事でも成し遂げられると思うのです。
いっぱい努力して、頑張って「分かる側」に成長したのでしょうね。
そんな「分かる側」になった葉月も仲間の演奏を聴いて感動して「吹部に入って良かった」的な事を漏らしかけています。

北宇治高校吹奏楽部の演奏が「分かる側」になった葉月を通じて、「ちゃんと合奏として纏まっている」と僕にも伝わってくるんです。
久美子の物語と共に大切な北宇治高校吹奏楽部の物語。
こちらも葉月の何気ないシーンをピックアップすることで、ちゃんと描き切っていたなと。

うん。
面白かったです。

まとめ

久美子が可愛い。