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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

ただひたすらに残念な奴らの物語だった。「僕は友達が少ない」 第11巻 感想

ライトノベル

この記事は

「僕は友達が少ない」第11巻の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

初めてですよ。
発売日にここまでワタシの足を酷使させた御本は。

フリーザ様風にしようとしたんですが、かなり無理が…。
朝10時半頃に家を出て、近所の本屋に買いに行ったのですが、無事に買えて帰宅出来たのが午後3時過ぎ。
書店8軒。車を出してまで梯子して、ようやく買えました。

僕は友達が少ない (11) (MF文庫J)

僕は友達が少ない (11) (MF文庫J)

どうも情報が錯綜していたようですが、原因は不明(台風説など色々あるものの真偽は分からないので)なものの、全国的に入荷が遅れていたようですね。
都内であれば、秋葉原や池袋でも入荷が昼から夕方という状況であったようです。

あまりにも売って無くて「まさかどこも売り切れか!?」と戦慄。
「最終巻の部数を敢えて絞ることで我々に飢餓感を与える思惑か!?」と編集部に対する邪推でしかない考えを持ってしまいましたが、そうでは無かったようで…。

ともあれ最終巻の感想を。
事前に10巻の時の自分の感想を読み直してみたのですが、まあ、色々と勘違いしていたのかなと。
今でも「勘違い」はしてる可能性高いですけれども、少なくとも「理科目線の締め」で無かったのは確か。

ただひたすらに残念な奴らの物語だった。

「はがない」は「残念系青春もの」である。
その代表作である。
というよりも、「残念系青春もの」カーストの頂点に君臨していると言っても良いのかもしれない。
若しかしたら、実人気としたら"後輩"の後塵を拝してしまっているのかもしれないが、そもそもが今作のキャッチコピーだったわけだから、カーストの頂点としても異論はそうそう出ないと思うのですね。

あまりにも女子に魅力があって、その誰が小鷹というヒロインを射抜くのかということばかりに目が行ってしまってましたが、もう少しこの「残念」の部分を重要視しておくべきだったなと。

淡々と。
本当に淡々と流れるエピローグという名の、小鷹達3年生にとっての「高校最後の1年間」。
各話サブタイトルの尻にわざわざ「卒業日までの残り日数」を記載することで、この最終巻が何処に向かって進んでいるのかが明確になっていました。
この一言に向かってのカウントダウン。

「いい青春だった!」

最後の最後に小鷹が、高校生活を振り返って、こう述懐しています。
あとがきでこの一言の為に書いてきたと平坂先生が述べていますが、まさに…なんでしょうね。
小鷹にこう思わせる為の物語。

正直に言えば、ラブコメ面での決着の仕方は「なんじゃそりゃ」なんですよ。
10巻を読み終えた時と今では、僕の気持ちはガラッと変わっている。
なんでその道を選んじゃうの?と。
非常に残念に思う。残念な選択をした残念な子と見ちゃう。

でも、「残念系青春ラブコメ」を標榜するこの作品なら、こういう道しか無いんだなとも。
寧ろ読者が小鷹達の青春を見て、「残念な奴らだな」と思えないとならない。
そう考えると、小鷹と幸村の結末は、まさにねという"イベント"でしたよ。

滅茶苦茶尽くしてくれる健気で可愛らしい女の子と友達を天秤に掛けられて、多少の迷いを見せながらも後者を取っちゃう高校生男子なんて、残念の極みではないですか。
流石にこれは納得しかねる。
それ程友達が大事だったのかもしれないし、なんだかんだ言いつつ(交際後も理科を好きで居続けたのもあり)幸村をそこまで好きじゃなかったのかもしれない。
こんな感じで小鷹の気持ちを汲んだとしても、それでも承服するのは難しい。

隣人部の面々は大事だとしても、ここで幸村を選んだからと言って居なくなる訳では無いですし、卒業まで残り少ないとはいえ、学校外で会うことだって出来る。
幸村を選んで失うのは、約束を反故にしたことに対する信頼とクリスマス会を一緒に過ごせなくなる時間だけ。
いくらでも取り戻せるモノなのに…。
(友達の居なかった小鷹にとっては、「取り戻せるモノ」とは思えなかったのかもとは考えつつ…)

「本当に残念だ」。
そう思っちゃったから、思わされたから、もう僕の負け。
読者がどう想おうが、結局は当事者である小鷹が納得してれば、作品としてはそれが正解なんでしょうね。

残念な日々を送っていようと、小鷹本人が胸を張って「いい青春だった!」と言って締め括る。
「残念系青春もの」として、これ以上のハッピーエンドがあるかと問われると、僕は「無い」と答えちゃいます。
この選択のせいで、作中最も残念な存在になった小鷹が良かったと言ってるんですから、尚更ね。

終わりに

物語の中のヒーローが、誰もが納得する結末を用意してくれてる訳では無い。
今作にヒーローは居なかった。(幸村だけはヒーローと呼べる存在でしたが)
ヒーローになる素質だけは持った、しかし、どこか残念な彼らが紡ぐ残念な物語。

ドラマティックな展開も、心ときめくロマンスも、そこには無く。
現実の範囲内で起きうる出来事だけを、残念に過ごした彼らの日常を描いた物語。

傍から見て残念だろうが何だろうが、当人が「それで良かった」と言ってるのだから、素晴らしい掛け替えのない青春であったことは間違いない。
故に、なんだかんだありつつも最後まで清々しく楽しく読めた。
そういう作品でした。