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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」 第9巻 感想

この記事は

「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」第9巻感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

なんとか追いついたよ最新刊。
今年の2月から読み始めたこのシリーズですが、4か月かけてなんとか9巻発売までに既刊を読めました。
残念な事に仕事の都合上発売日には読めませんでしたけれど、今日漸く念願の新刊を読破。

簡単ではありますが感想を。
ちょっと気を抜くと「空音がどれだけ可愛かったのか」に終始してしまう為、気を引き締めて書きます。

リスタートに相応しいテーマ。

だったなと。
霞先輩に操られて七重島に降り立ち、スタートさせた第1部。
操られていた事を知り「自らの意志」で「自らの足」でスタートさせるべく、スタート地点からやり直した第2部。

改めて重護が自分の考えで七々々を救うために島へと戻るまでの決意がしっかりとあって、その道程を楽しく読みました。

なんていうのかな。
今回の重護の悩みにしたってそうなんですけれど、人の悩みの多くは答えなんて無いじゃないですか。
正確に書けば「ただ1つの明確な答えが無い」。
算数や真実じゃないんだから、答えが1つとは限らず、人の考えの数だけ存在する。

これを認める事って大事だと思うのですね。
答えの無い問いに対して作品として「答えは1つしか無い」という「答え」を提示されちゃうと白けちゃうんですよ。
とたんに薄っぺらく思えちゃうというと言いすぎかな。

価値観も考えも違う色々なキャラが居るのに、答えが1つしかないなんてありえないですし、そうされるとキャラクター性が薄っぺらく見えちゃうというか。
有り得ないでしょと。

色々な答えを提示した上で、では主人公がどのような自分なりの答えに辿り着くのか。
思い悩むキャラクターのエピソードを楽しむ上には、「色々な答えの提示」が出来てるかって大事なんです。

9巻には主に2つ「悩み」がありました。
「七々々殺害事件を解決したい動機」。
重護が思い悩むように、それは本当に七々々の為を想ってなのか。
自分自身のエゴの為なのか。

天災はしっかりと答えを出していた。
「七々々殿のために事件を解決するわけでは無い」。
仕事と割り切った故での答え。
シンプルですよね。

霞はもっとシンプル。
「私は私の為に七々々を救いたいと思っている」。
重護の悩みを聞いたら鼻で笑ってたのかもですね。
そんなことで悩んでるのかと。
エゴで何が悪いと胸を張った答え。

もう1つが結婚騒動に纏わること。
家族の為に自分を犠牲にしていいのかどうか…。
空音の格好良さが存分に発揮されいていた部分ですね!!!

元気いっぱいの弾丸娘。
元気といえば八重歯。
元気といえばアホっ娘。
正しいと思ったことは、何にも考えずに即行動に移す。
それでいて、妹キャラだから、主人公に懐く。
堪らなく可愛いです。
犬みたいで。

そしてアホの子だから誰よりも純粋で、誰よりも白い。
清々しく、故に格好良い。

雪姫が分からないって言ってた総護の正義に関する話は、個人的にとても心に響きました。
感銘を受けたんです。
凄く分かりますよ、分かります。
純粋な正義への憧れは、こういうことだな〜と。

空音を格好良いと思えるのならば、総護の言葉に共感出来ると思うな。
逆に言えば、総護の言葉に共感出来るからこそ、空音を格好良いと思える。

閑話休題。
結婚騒動に関しては、最終的には「空音は正義」というたった1つの正しい答えが提示されてましたが、そこに辿り着くまでに色々な「答え」があって、やはり1つではなかった。
ユリシーズの答えは確かに重護に影響を与え、しっかりと意味を成していましたしね。

色々な人の様々な異なる答えに触れて、それで自分自身の答えを改めて出す。
葛藤する重護の物語を描いた9巻は、故に面白く感じました。

今生霞は重護の味方なのか、敵なのか

リスタートを切るにあたり、第1部のある意味ラスボス的立場にいた彼女との対決は、いわば必然だったような気もします。

その対決で、しかし、霞が気になる事を言ってるんですよね。

「七々々が救われた時、私がいなかったら何の意味も無い」

不思議な台詞です。
重護は、七々々を救ったら、七々々が消えてしまうと考えている。
戦場も同じ考えだし、彼方もそう言っている。

地縛霊が無念を晴らしたら成仏して居なくなる。

確かにその通りなのですけれど、でも、霞は違うのかもしれない。
いや、違うのでしょう。
いつか七々々と再会できることを信じているのだから。
その「いつか」とは、当然七々々が救われた後でしょうし。

七々々が救われた時、七々々が消えるのならば、霞が生きていようと死んでいようと七々々にとってはどちらでも同じです。
でも霞にとっては違うようです。
未来を知る霞だからこそ。
七重島の秘密を知っているであろう彼女だからこそ。
七々々を救う事と七々々が消える事はイコールではないのでしょう。


少し話を変えます。
結局のところ七々々は誰に殺されたのでしょう。
最有力容疑者は肆季でしょうか。

ネガカナこと「天地陰陽の風水盤」を守護していること。
ネガカナと契約していること。
首の後ろに犯人と同じ龍の痣を持っていること。(ネガカナに身体を支配されている時のみ)

以上より、レプラコーンとしてネガカナに操られた肆季が七々々を殺した…と推察出来ちゃう。
けれど、これはオカシイ。

順番が間違ってますよね。
肆季とネガカナの間の契約は「七々々を部屋から出さないこと」。
七々々が殺されて、幽霊として幸せ荘202号室に現れてから、初めて意味を持つ願いです。
七々々殺害後に契約してるのなら、レプラコーンとして七々々を殺害出来ません。

勿論契約の意味を別に見出す事も出来ます。
「生前の七々々を何らかの理由で一か所に閉じ込めたかった」から契約をした。
これなら、契約後にレプラコーンとして七々々を殺害できます。
でも多分違う。

肆季が七々々を部屋に縛り付けたのは、七重島の秘密を隠したいから。
秘密は幸せ荘の102号室にあり、そこは遺跡になっている。
遺跡が出来たのは、七々々が幽霊として202号室に現れてからのお話。
肆季が七々々が殺される前にネガカナと「七々々を部屋に縛り付けたい」という契約を出来るわけがないんです。
因みに、七々々を縛り付けるのは、そうする必然があるからなんでしょうね。
例えば、遺跡の維持には七々々が幸せ荘に居る必要があるから…とか。
七々々が遺跡から一定の距離離れただけで、七重島の秘密が明るみになってしまう仕組みならば、納得出来ちゃいます。

あからさまな容疑者である肆季だからこそというのもあり、僕は肆季では無いと考えます。
だから、もう1つネット上で考察されている方が本命ではないかと。

つまりは、龍ヶ嬢七々々真犯人説。

9巻で才兎が言っていました。
「生前の七々々がコレクションを隠したがっていた」と。
しかし、その願いは却下され、その直後に殺されたと。

七々々を殺したのはレプラコーンで間違いは多分無い。
ただ、それを間接的に願ったのは七々々自身じゃないのかな。

遺跡を作って、そこに宝を隠したい。
その契約の代償として、「龍ヶ嬢七々々の身体」が支払われたのならば?

これもネット上の考察まんまですけれど、今のネガカナの身体が本物の七々々の身体。
202号室に居る七々々は、七々々の魂だけれど、生霊のようなもの。
しかし、魂と身体が遠く離れてしまうと七々々は本当に死んでしまう。

これが七重島の秘密であり、肆季が「七々々を202号室に縛り付けている」理由ならば…。
七々々を死なせたくないけれど、七々々の願いも叶え続けたい。
秘密を守りたい。
秘密を知った人間をレプラコーンとして、七々々の親友として殺しに行く。
人類最強が相手だから、誰も敵わない。


で、問題。
今生霞は重護の味方なのか、敵なのか?

この考え通りなら、やりようによっては、七々々を生き返らせる事が可能となります。
霞は生きた七々々と再会出来て、上で挙げた台詞にも意味が通ります。

しかし、親友の為に本気で殺しに来る人類最強との死闘が必ず待ち構えている。

霞はその死闘に勝てないから、重護に託した。
重護が死ぬかもしれないと理解しながら。

重護が救ってくれる可能性に掛けているので、敵とまでは言えないですが、微妙な感じです。
ただまあ、正義ではあるんでしょうね。

「目の前の一を救うためなら、その他の全てを平気で切り捨てる。
なぜならその救いたいたった一つのモノが、俺にとっては他のどんなことより尊いモノだからだ。
だから俺は、俺の信じる正義を行い、他の者から悪と罵られることを何とも思わない」

本当に総護が総括してくれているエピソードですよ。
霞にとって救いたいものは七々々で、七々々を救うためには重護を切り捨てるのに躊躇ないと(笑

その為の対価も支払っているようですしね。
重護を七重島に送るべく、発狂してもおかしくない辛苦に耐えていたと語ってますから。

空音ほどではないにしろ、彼女もカッコイイ。
そんで、もしこの先、霞が重護を利用していた(重護が死ぬかもしれないと分かっていながら、それを告げずに、送り出した)と重護が知るような展開になっても、重護は許すんでしょうね。

カッコイイ女の子の手助けをしたいから。
ユリシーズや空音にそうしたように。


この先どう展開するのかは分からないですけれど、今後の伏線的な使い方がされることが多そうなエピソードだったなと。

まとめ

元気いっぱいで、ちょろくて、アホっ子で、八重歯な空音がレギュラーになってとっても良かったです。

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金9 (ファミ通文庫)

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