Mangaism

アニメ、漫画の感想や考察を書いてます

はじめの1巻 「三ツ星カラーズ」・「盤上のポラリス」・「サマーソルトターン」

この記事は

3タイトルのコミックス第1巻感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

読んだ事無いけれど、興味がある。
読んでみたいけれど、中身が分からないから手が出せない。

知らない漫画の第1巻を買う時って、多かれ少なかれ誰しもが抱える感情ですよね。
そういう人達の最高の味方なのが
マンガ一巻読破さんですね。
少なくとも僕にとってはそういうサイトなんです。
昔からちょくちょく読ませて頂いていました。
カテゴリーやジャンルに囚われず「第1巻」というだけで購入されて、ご自身の言葉で感想を書き続けている。
なかなか出来る事じゃありませんから、それだけに「購入する際の1つの指針」に十分になり得ると考えています。

で、今回の記事ですが、ようは真似です。
「マンガ一巻読破」さんの真似です。
真似です。
大事な事なので3回言いました。

昨日3作品の第1巻を購入しましたので、そのレビューを書いてみます。
順番に

  1. 「三ツ星カラーズ」
  2. 「盤上のポラリス」
  3. 「サマーソルトターン」

因みに、「盤上のポラリス」と「サマーソルトターン」は「月刊少年マガジン」で連載を追っています。
「三ツ星カラーズ」も「電撃大王」の連載を2話程読んでいました。
「内容を知った上で買った」…つまりは「コミックス購入前からある程度作品を好きだから買った」のです。
それを踏まえた上での感想となります。

尚、ネタバレしまくってますので、「この感想読んでから、前知識なしで1巻を楽しめる」作りにはなっていないという本末転倒なレビューとなっています。

※以下、作者名は敬称略とさせて頂きます。
※データ上の初版は、第1巻発売日では無く、奥付記載の初版発行日です。
※評価は最高☆5つ。それぞれ「物語そのものの面白さ」、「キャラの魅力」、「絵の丁寧さ・上手さ・読み易さ」を表します。

「三ツ星カラーズ」

作者 カツヲ(「月刊コミック電撃大王」連載)
出版社 KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
初版 2015年4月27日
ジャンル 日常 萌え コメディ

アメ横、公園、動物園、上野の街を守るため日夜(嘘、夕方まで)駆けまわるのは
結衣、さっちゃん、琴葉の小学生3人娘。
そう、それが我らが「カラーズ」!

上野の街を守る正義の味方ごっこをしてる女子小学生3人組が無邪気に・生意気に街の大人達と交流しつつも、元気よく駆け回る姿を淡々と描いていく日常コメディ。

帯を賑わすのは「かわいい」という言葉。
「かわいい」の全面押しといい、絵、作風、ついでに連載誌から「苺ましまろ」を真っ先に想定しがちです。
実際「苺ましまろ」のファンならばすんなり入っていける漫画に思えます。
逆にファンだからこそ楽しめないという意見もあるでしょうけれども。

個人的にこういう書き方はしたくなかったのですが、他に考え付かないので書いちゃいます。
「ましまろの正統後継」作品の1つであると感じるんです。
キャラ作りとかシュールな作風とか、似ていないとする方が難しい位。
オリジナリティとしては希薄ですが、そういうジャンルと思えば気にならずに読めちゃいます。

線が丁寧かつシンプルなので、非常に読み易く、それでいて萌え要素も十二分に孕んでいる。
「かわいい」に偽り無しであり、キャラ作画的な満足度は非常に高いです。

キャラに関して触れていきますと、カラーズ3人それぞれ特色が出ていて、三者三様の異なる魅力が発揮されています。
中でも突出してたのが琴葉。
常に帽子を被っていて、黒髪ロング。
大人しく清楚な雰囲気を醸し出す少女なのに、どす黒いというギャップ。

「やってみたかった」という理由で、何の躊躇も無く友達の頭を踏みつけるという歪みっぷり、半端有りません。
衝撃でした。
だが、これが良い!!
日常ものの弱点は、「起伏が無さすぎて読んでいて暇を覚えがち」な点。
各作品、とことんキャラ萌えやギャグで凌いでいるから面白さを保てているのですが、今作の場合は、この琴葉のキャラに委ねられている点が大きい。(と感じます)
彼女の黒さが、ギャグとしても作用し、話に起伏を与えてもいる。
それでいて、琴葉自身「嫌なキャラ」にならない様に、きちんと「可愛い少女」として成り立たせているバランスも心地いい。
コメディとしても楽しく読める一翼を確かに担っておりました。

最後に背景について触れておきます。
日常もの、特に場所が特定してある場合は、背景描写ってとても重要です。
「キャラが生きている」ように見せるには、背景にリアリティがあればあるほど良いと思うのです。

今作で言えば、現実の上野の街並みを再現していればいるほど、カラーズの3人が実際に上野に居るような錯覚を覚えやすい。
「こち亀」なんか好例ですよね。
浅草の街並みの再現率が高くて、本当に両さんが存在しているかのような存在感を放っています。
そういう意味で今作の背景は上野の街を紙面にしっかりと再現されており、その中で駆けずり回る少女達の存在感に現実味をプラスされていると感じました。

続刊は間違いなく買い続けます。

物語 ☆☆   
キャラ ☆☆☆☆ 
☆☆☆  
総合 ☆☆☆  

三ツ星カラーズ (1) (電撃コミックスNEXT)

三ツ星カラーズ (1) (電撃コミックスNEXT)

「盤上のポラリス」

作者 原作・木口糧 作画・若松卓宏(「月刊少年マガジン」連載)
出版社 講談社
初版 2015年5月15日
ジャンル チェス 青春

長崎の離党に住む椿一兵は、ある日出会った病弱の転校生・氷見崎ひめに導かれチェスを始める。
「勇者になって冒険したい」という夢を捨てきれない一兵は、チェスという冒険に魅了され―。

少女に、ライバルに、チェスに。
ボーイ・ミーツ青春活劇。

チェスを知らなくったって問題無い!!
だってこの漫画は、一兵少年の青春譚なんだから。
少年漫画のワクワクが詰まった「ザ・少年漫画」なんです。

チェスなんて知りもしなかった一兵が、ひめに出会ってチェスを知り、素人ながらも我武者羅に上を目指す。
ライバルとなる天才少年レンと出会い、彼に触発されながら夢を追う。
元気いっぱいの少年が、直向きにまだ見ぬ冒険に旅立つというのは、もう王道プロットです。

この手のプロットだと主人公の勢いって大事ですよね。
脇目も振らずどんどんと前へ前へという姿勢だと、話にもスピード感が生まれて、加速度的に面白さを跳ね上げていくので。
一兵は、まさにそういうキャラ。
威勢の良い小学生男子達の中でも殊更元気な一兵は、夢を定めたら一直線。
ひめと約束したチェス界の頂上での再会を目指して頑張る姿に魅せられ、ドンドン読み進めちゃいます。

ちゃんと障害があるのも良いんですよね。
世界最大規模の盤上競技といっても、チェスを嗜んでいる人って周りに中々いません。
僕の周りには1人も居ないですし、町中でチェス教室的なものも見たことが無い。
ましてや小学生。
人口の少ない小さな島に住む一兵の周りに居る筈も無く。
この手の競技で対戦相手がいないというのは、滅茶苦茶な障害となります。
それをどう乗り越えていくのか…。
わざわざ長崎の離島を舞台にしたのですから、序盤の見所はココになるんじゃないかな。

この先、長崎から全日本へ、やがては世界を舞台にしていくのでしょう。
なんたってチェスは「競技人口7億人とも言われる世界最大規模の盤上競技」なんですから。
一兵が世界相手にどう成長して行くのか注目したいとこです。

まだまだ駆け出しの第1巻だから、心の底から最高に面白いとまではいかなかった。
ですが、一兵の勢いが強い分、グングン面白くなっていくだろうという期待感が持てます。

物語 ☆☆☆  
キャラ ☆☆☆  
☆☆☆  
総合 ☆☆☆  

盤上のポラリス(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

盤上のポラリス(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

「サマーソルトターン」

作者 原作・井龍一 作画・保志レンジ(「月刊少年マガジン」連載)
出版社 講談社
初版 2015年5月15日
ジャンル 水泳 青春 恋愛

かつて神童と褒め称えられた天才スイマーも高校生になると凡人に成り下がってしまった―。
タイムが伸びず、水泳を止めてしまった水野泳一郎は、14年間想い続けた幼馴染の古谷ハルに告白するも、呆気なくフラれてしまう。
「他でフラれたからって あたしに告ってくんなよ!?」と。
そんな傷心の泳一郎の前に、暑苦しい男・海老名江洋が立ち塞がる。

泳一郎の自称ライバル・江洋が現れたことで、一度はフラれた水泳と再び向き合う泳一郎。
高校生男女4人の青春と恋愛劇。

青春と一口に言っても色々ある。
元気いっぱい猪突猛進な青春もあれば、ちょっぴりほろ苦い青春模様だってある。
一度は挫折し、好きだったものを手放した少年が1人の好敵手との出会いで再び前を向くのだって、青春の1ページ。

構造的には「盤上のポラリス」と似ているのですが(因みにこちらの方が連載開始は先)、切り口が異なるとこうも違ってくるのかと。
特にライバルの描き方が違います。

「盤上のポラリス」のレンは、彼自身がちょっとした闇を抱え込んでしまったタイプ。
早熟の天才には見られがちな描写ですけれど、どこか周りを見下し、冷めているんですよね。
歪んでしまっていると言っても良いかも知れません。
それを「真っ直ぐ」な一兵が良い意味で影響を与えて、彼を変えていくのでしょう。
影響作用が主人公⇒ライバルの構図。

今作では、主人公の泳一郎がレンに近しい立ち位置にいます。
流石に主人公なので歪んではいませんが、とことん覇気が無い。
やる事を無くし、恋も破れ、ゼロからのリスタートを後押ししたのが自称ライバルの江洋。
正反対にライバル⇒主人公となっている。

どちらもやがては相互的に影響し合っていくのでしょうけれど、序盤の関係は正反対。
すると、物語の勢いもやはり正反対。
こちらはどこか緩やかで、静かな出足。
復帰した泳一郎がゆっくりと泳ぐように、少しずつ前へ進んでいます。
この辺恋愛模様を作品の中心にドカッと座らせているので、ある意味当然と言えるのかもですが。
キャラの心情描写に重きを置いているので、派手なアクションとか速い動きは控えているのかな。
どもあれ、恋愛作品として見れば、物語の静けさにも納得いきます。

そう。恋愛もの。
男主人公目線なのだから、ヒロインが可愛いとそれだけで恋愛モノは面白味が違ってきます。
僕は保志先生の描く女の子が好きなんでしょうね。
見た目が可愛い。

ショートカットで見た目通り勝気な面を持つハル。
健康的な小麦色の肌に金髪ポニテという「元気」が服着て歩いているようなルカ。
キャラのイメージをイメージ通りにビジュアル化した女の子達が可愛い。
お話的に大きな見所がまだまだ無いけれど、ヒロインの魅力がそれを補って余りある。

総括しますと、話はまだまだこれから。
但しジャンルとの相性が良いので、決してつまらない訳では無い。
(つまらなかったら、そもそも買ってない)
恋愛モノとして女の子の魅力は〇。
1巻レビューでは禁句化もですが、1巻だけで判断しないで欲しい作品でしょうか。

物語 ☆☆   
キャラ ☆☆   
☆☆☆  
総合 ☆☆☆  

サマー・ソルト・ターン(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

サマー・ソルト・ターン(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

終わりに

東京都稲城市は若葉台駅から歩いて5分ほどの所に、超大型書店「コーチャンフォー」が出来ました。
北海道を本拠とする書店の本州初進出店らしいですが、最近のお気に入りの書店であります。
車で片道1時間以上かかるので、そうしょっちゅう行けないのが残念なんですけれど。

コミックスの売り場だけでも、かなりの広さがあるので本当に楽しいんですよね。
月に1度行っては、新しい漫画との出会いを求めて彷徨っています。
今後も新たな出会いにワクワクしながら、また同じように第1巻が溜まったらこの手のレビューを書いてみたいです。