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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

「冴えない彼女の育て方」 第0話の意図を本気で考える

この記事は

「冴えない彼女の育て方」の記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

ノイタミナ枠で開始された「冴えない彼女(ヒロイン)の育て方」。
女の子可愛いな〜という力だけで視聴出来るアニメになってますが、今回はこの作品について。

初回から視聴してたくせに知らなかったのですが、初回は「第0話」という位置づけだったのですね。
所詮、すべては戯言なんだよ」のヨークさんに教えて頂くまで知りませんでしたし、多分教えて頂かなかったら気付かずにいたんじゃないかな。

で、どうもお話自体も原作では4巻あたりのエピソードだったようです(ごめんなさい、ちょっとうろ覚え)。
この第0話についてヨークさんと話したのですが、僕は
「(0話のような構成は)時折あるそんなに珍しくないことなんじゃないですか」
というような事を返しました。

最初にある程度の方向性を提示した上で、時間軸を巻き戻してゼロからスタートさせる。
視聴者としては、どのような経緯で0話の関係性に落ち着くのかを後追いする形になる構成は、まま珍しくないと思ったからです。
今作もそのような作りになっているだけで、その為だけに第0話があったのかと。

でも、改めて考えてみて、違う結論に達しましたので、ちょこっと纏めさせて頂きます。
あくまでも「原作を未読の人間から見た場合の意見」として。

「冴えない彼女」ってどの子?

原作を知らない僕にとって、視聴前に1つ大きな疑問がありました。
「冴えない彼女」ってどの子の事なんだろう?と。

公式サイトを見れば、wikipediaを見れば。
原作を知らなくたって、ちょっと調べればすぐに分かる事なんですけれども、それすらしなかった僕には分からなかったんですね。
番宣も殆ど見なかったですし。
取り敢えずキービジュアル(↓)は見てましたが、あのイラストだけでは誰が「冴えない彼女」なのかピンと来なかったんです。

ツンデレっぽい金髪ツインテの子か、クールっぽいロングの子か。
ダブルヒロイン制なのかな?とか。
この2人のうちどちらかなんじゃないかな…とか。
深くは考えませんでしたが、そんな事を想いながら初回放送日を迎えました。

もう少し「冴えない」って部分に目をとめて、キービジュアルを見ておくんでしたね。
一番奥にいる目立たない子がそうだったとは…。

第0話の意味って、一も二も無く登場人物の紹介であることは自明です。
Aパート冒頭の倫也による不自然で説明的なワザとらしい人物紹介で示されていたように、各キャラのプロフィール、立ち位置、キャラ同士の関連性を描いていく事が目的だったと言えそうです。
(ちなみにこの自己紹介の下りは、第2話アバンのメタ表現を見る限り、敢えてこういう不自然な作りにしたんでしょうね〜)

件の倫也の登場人物紹介ですら唯一触れられなかった恵ですが、しかし、だからこそ、この0話は彼女を紹介するために作られていたような印象を受けました。
なんていうか。

兎に角画面に映らない。
台詞も少ないし、芝居も描かれない。

英梨々ら他の3人のヒロインズが倫也を巡って喧々諤々と画面を盛り上げている中、隅っこの方で1人スマホを弄っている。
1話丸々使って恵の「冴えない」部分をこれでもかと描いておき、しかしながら、「倫也を巡る輪に入れない」という他との差別化をすることで、特別な位置に置く。

何の事前情報を持たない僕のような人間でも、作品を見ていく上で最も大事な「冴えない彼女」が誰なのかが分かるお話になっていました。

何故第0話は必要だったのか?

少し論点を変えてみます。
では、何故その第0話は必要だったのか?

「冴えない彼女」を紹介するため?
そうだったと思われます。
しかし、それは「第1話」で充分なんです。
普通は。

どんな物語だって最初が存在し、誰だってなんの事前情報も無いんですから。
この作品の原作だってそうですよね。
最初は誰が「冴えない彼女」なのか、原作第1巻を読む前の読者は誰1人として知らなかったはずです。
(表紙カバー絵などで読む前から分かってたとかは無しでw)
じゃあ、何故アニメではそれが出来なかった…しなかったのか。

ちょっと飛んで第2話を見てみます。
この2話のAパートを見てはっきり理解したんですが、今作の基本演出として「恵を目立たせない」というのがあるみたいですね。

通常キャラが芝居をしている時は、そのキャラを中心に置いて絵コンテが切られる事が多いです。
喋っている時は口元…顔を見せる。
動いている時は、動きを見せる。
当たり前のことですけれど、恵の場合は「映さない」事で一貫していました。
少なくとも第2話Aパートまでは。

コーヒーショップでのカットの一部を載せてみます。

全て恵が喋っているのですけれど、彼女は映ってないか(上2カット)、ピンボケ(下2カット)してるか。
取り上げた部分を簡単に書きますと…

  1. 後ろのテーブル席の男性と注文を間違いまくりのおっちょこちょいウェイトレスのやりとりに目が行くような演出になっている(左上)
  2. 倫也を画の中心に置き、見えない部分で恵を喋らせている(右上)
  3. 左上とほぼ同じアングルで、しかし口元は変わらず見せずに、後ろの2人のやりとりと恵の芝居をほぼ同程度に扱っている(左下)
  4. 手前の女性客にピントを合わせて、喋りつづける恵をピンボケで映し続けている(右下)

恵の台詞は基本OFF台詞(口パクが見えない映像に声優さんが台詞をあてている)。
ここまでOFF台詞の多いキャラは今までいたかなって位、口パクが見えないし、そもそも姿が見えない(笑

こういう風に「普通はありえない」描写を積み重ねることで、恵の冴えなさ・ステルス性の高さを表しているんだな〜と。

だから第1話も恵は映らない。
画面に出て来ない。
そもそも登場時間も短く、Bパートの終盤でちょろっと出てくる程度。
それでも印象的な1カットさえあれば視聴者に存在を植え付けられるのだけれど、それすら上記の演出プランの為出来ない。
顔が映ったのは僅か1カットだけで、しかもかなり小さい。

第0話が無くて、素直に第1話から始まっていたら、「冴えない彼女」が誰なのかの紹介が出来てないんですよね。
第2話でようやく出来ている。

アニメの構成にした時、第1話で恵の紹介が出来ないから、第0話を先ず視聴者に見せたのではないか。
ステルス性能の高い女の子を"メインヒロイン"に於いてるからこその特殊な事例だった気がします。

まとめ

お話が進むと、第0話のように恵はポニテになるんですか、そうですか。
こういうところも彼女が「冴えない」とされちゃう一因になるんでしょうね。
二次元の女の子は滅多な事では髪型を変えませんから。(髪型変えると見分けがつk)
個人的にはショートボブの女の子って大好きで、恵もとても似合っていたから、この髪型を維持して欲しいな〜。

それはさておき。
話数のナンバリングに規則がある訳でも無く、第0話が「第1話」になっていてもおかしくはありませんでした。
けれど、敢えて「第0話」という通常は存在しない話数を設定したという事は「なくても問題無い話」とも言えるかと。

確かに無くても問題は無いです。
2話まで視聴すればいいのですから。
が、不特定多数の視聴者を相手にするTVプログラムに於いて、このような考えは一種の賭けです。

詩羽のように取り敢えず3話まで見てくれる視聴者ばかりならば良いですが、1話切りしちゃう人も居ます。
原作を知らない視聴者も居る。

「最初の掴み」である初回はやっぱりどんな作品にだって大事で、先ずは初回で「どのような話なのか」を知ってもらう必要がある。
制作サイドが「1話見ても何も分からなかった」と思わせるよりかは、「1話でどんな作品なのか大体掴めた」と思わせたいと考えても不思議ではないのかなと。
少なくとも僕は「1話でどんな作品なのか大体掴めた」と感じれる1話の方が好きです。

予め作品について知っている人は第1話から視聴すれば問題無いし、そうでないならば第0話から視聴する。
勿論原作ファンが0話から見ても問題は無いんですが、彼らからすれば「第0話は無くても問題無い話」と言えると思います。


「第0話」は、本編を楽しむ上で視聴しなくても問題は無い話数。
その特別な話が何故作られたのかと考えたら、「冴えない彼女」恵を紹介する為であったのだろうと。
第1話の中だけでは冴えない恵は、演出上紹介出来ないという特殊な事情も手伝っていた。

前情報無しだった僕にとっては、「あって良かった」第0話だったのかなと今になって改めて思った次第です。