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「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」 感想

この記事は

「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

間違いなく最高傑作

僕は実は「NARUTO-ナルト-」の映画って今作入れても3本しか見ていません。
最初が前作の「ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-」。
ここで感想記事をアップしましたが、個人的には面白いとは思えませんでした。
次にレンタルDVDで借りてみたのが「劇場版 NARUTO -ナルト- ブラッド・プリズン」。
現役の推理小説家である東山氏が脚本を務めたという触れ込みに気を引かれ、公開当時から見てみたかった作品を遂に視聴したのですが…。
好きな方には申し訳ないのですが、これまたピンと来ず。

この2作で「NARUTOの映画は肌に合わない」と感じたのです。
だから、本音を言えば今回も全く期待とかしていなかったのですね。
最後だから見たというのが正直なところ。

が、しかし。
「期待してなかったから」では決してありません。
鑑賞後の「面白い映画見た」感で心が満たされた傑作でありました!!
たったの3本しか見てないのに、断言しちゃいたい。
今作がシリーズ最高傑作であると。

ライバル心と恋心を絡めた問題の解決策が最高に美しい

僕が「NARUTO-ナルト-」にイマイチ乗り切れない理由の1つが「キャラの心情が理解できない」ことにありました。
原作第1部まではキャラの考えも単純明快で分かり易く、故に心情を理解し心から楽しめていたのですが、2部に入って様相がガラッと変わりました。
敵・味方(特に敵側の)関わらず、思想や考えについていけなくなってしまったのです。
どこか宗教めいた思考に囚われ過ぎたキャラ達が戦っているだけのように感じ、作品世界に入りきれなくなっちゃったんです。

だけど、この映画は単純明快。
完膚なきまでのラブストーリー。
大好きな子を恋敵から取り戻す為に戦うという分かり易くも感情移入しやすい物語だったので、本当に面白く感じました。
特にナルトの心情変化を分かり易くしてくれたのが良かったですね。

こと恋愛というのは、僕等の日常に照らし合わせてみればとても自由な訳です。
A君がBさんを長年好きだったとしても、いつの間にか別のCさんを好きになっていたと聞かされても「ああ、そうなんだ」と簡単に受け入れられます。
人によっては「Bさんへの想いはその程度だったんだ」とか落胆を覚えるのかもですが、よほどBさんに肩入れしてない限りはA君の心情の変化に対して嫌悪を抱く人は居ないのではないでしょうか。

但し、これが少年漫画になると話が変わってくると僕は考えます。
どうしても「一途な想い」を持つキャラの方が好感度が高く出る傾向がありますし、そういう主人公像が求められている気がするんです。
浮気性な主人公は嫌悪の対象に成りやすいかなと。

上の例えの場合、Aさんは浮気性とは言いませんよね。
Bさんと付き合っていて、その上でCさんを好きになったのならば浮気ですが、片思いのままだったならそうじゃない。
でも、少年漫画の主人公ともなると、これも浮気に含まれてしまいがちというのが僕の考え。

少年時代からずっとサクラを好きだったナルトがまさにこれに当たるんです。
読者としては10年以上も「サクラを好きなナルト」を見てきた訳ですから、この映画でいきなり「俺はヒナタが好きだ」とナルトが告白しても「は〜?」とナルトの変心を受け入れられなかった気がします。
勿論原作でもナルトとヒナタの恋愛絡みのエピソードの積み重ねはありました。
明言こそありませんでしたが、終盤にはナルトがヒナタの告白を受け入れたのではと取れるシーンもありました。

でもそれは違うと今作の序盤で提示されます。
鈍感なナルトは、一度はヒナタに直接「大好き」と告白されていたにも関わらず、その意味合いをずっと「LIKE」だと思い込んでいたと判明。
映画(の物語)開始時点で「実はヒナタを好いていた」という情報の提示があれば、ナルトの告白にも納得なんですが、そうじゃないからやっぱり「サクラへの気持ちはなんだったんだ」という思いの方が強く出てしまうのです。

このナルトの恋心に関する問題に非常に巧い落とし所が用意されていたこと。
これがこの映画の全てだったのかもしれません。
しかもこの答えをサクラに言わせてしまうあたり、ニクイ演出じゃないですか。

「ナルトがサクラを好きだと言っていたのは、サスケへの対抗心から」

サクラがサスケを好きだったので、同じようにサクラから好かれる事でサスケと並んだと思いたい。
だから、サクラを好きだと言い続けていた。

後付設定かもしれません。
本気で好きだったのに、作者の都合でそうじゃなかったんだよと変更されたのかもしれない。
でも、そんなことはどうでも良いんです。

ライバルへの対抗心に転嫁する辺り、凄い納得いったので。
サクラ自身がそれに気づいていたと言わせているから、悪く言えば「利用されていた」サクラも傷つかないと分かり、素直にナルトの恋愛に没頭出来ました。

実は本当の恋じゃ無かったサクラへの想い。
長い間自分を思い続けてくれたヒナタの直向きな愛に気遣せてくれ、改めて彼女について振り返れた幻術のシーンを経て、ナルトがヒナタを好きになるという流れ。
もう文句のつけようが無い位気持ちよく感情の流れに身を委ねられましたね。

クライマックスに持ってきても遜色ない告白を中盤に入れ込んでくれたのもグッド。
最終決戦を前にしたあのタイミングでナルトがヒナタに好きだと言っておくことで、よりトネリとのバトルが熱くなりました。
今までは「里の為」「仲間の為」に戦ってきたナルトが「ヒナタの為」「自分の為」に戦う。
恋愛劇である今作に相応しい動機が生まれ、それを鮮明にしてくれたという意味でも中盤での告白は大事なモノでした。

徹頭徹尾ナルトとヒナタのラブストーリーとして描かれた今作。
非常に分かり易く、感情移入も出来る素晴らしいシナリオでした。

終わりに

悲恋に終わるとずっと思っていたヒナタの恋心。
なんだかんだ言いつつナルトはサクラと結ばれるとずっと思っていたんですよ。
だから、原作最終話を読んだ時も「あらっ?そうなの?」と少々面食らいました。

ナルトは何故ヒナタを選んだのか。

その疑問の答えがきっちりと過不足なく綴られ、綺麗に最終話へと繋がっていく。
そういう意味でも「原作699話と700話(最終話)の間の物語」という文句に恥じない映画だったかなと。

個人的にはシナリオに大満足だったので、そこばかりの感想に終始しちゃいましたが、映像も面白いものでしたよ。
冒頭から絵に見入った位ですもの。
水墨画を動かしたような独特な映像で始まり、アクションシーンも迫力十分ですね。
3Dの使い方が抜群に巧いです。
違和感を覚えさせずに、3Dの持つ立体感を取り入れていて。
画面に奥行を持たせて、そこを縫うように疾走するカメラワークはスピード感を生み、同時に緊迫感と迫力を演出していた…。
なんて分かった風な事を書いちゃいますが、全然分かってませんw
まあ、早い話飽きる事無く楽しめるバトルアクションシーンが満載でしたよと。


兎も角です。
見て損は絶対しない映画というのが僕の結論。
「NARUTO-ナルト-」ファンは絶対に見ておくべきだし、そうじゃない人だって楽しめず筈。
最悪作品を知らなくても、大体は呑み込めると思います。
わざわざ回想をふんだんに盛り込んで「ヒナタが何故ナルトを好きになったのか」「どれだけナルトを好きだったのか」が分かる様な構成になっているので。
あとは簡単です。
ナルトがその気持ちに応える様を楽しめばいい。

好きな女の為に死力を尽くす男のドラマ。
前知識など必要ありませんよね。