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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

「いなり、こんこん、恋いろは。」最終回に見る原作改変の良かった点と悪かった点

この記事は

TVアニメ「いなり、こんこん、恋いろは。」の記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

「いなり、こんこん、恋いろは。」のアニメ。
やっぱり10話だと本当にあっという間に感じますね。
気付いたら1回もこのアニメの記事を書いてなかったので、最後に書いておきます。

天照様に着目したシナリオ

原作をベースとして、アニメとして再構成していたシナリオ。
原作のタッチに寄せつつアニメ用に起こされたキャラデザ。
原作ファンとしては満足いくものでした。
声にも違和感ありませんでしたしね。

ただ、最終回とそこまでの流れについて少しだけ意見がありますので、これについて書きます。
先に言っておきます。
原作と大きく変更されていたのですが、これを理由に「駄目だった」「悪かった」という意見ではありません。

そう。原作とアニメでは大きく異なるので先ずはこれについて触れます。
天照様に着目してみますね。

原作の展開。
東京への修学旅行内のイベントとして組み込まれていた環境学習(掃除)。
ここで桃山さんの告白の件で、いなり達が観月(かんげつ)さんから糾弾されます。
そのやり方に怒りを覚えたいなりは、無意識で力を解放。
プレハブ小屋の中でやりとりをしていた為、力の影響で小屋が倒壊。
皆死んじゃう…という大ピンチの最中、天照様が時を止めます。

このままだと皆死んでしまう。
それを防きたくば、力をうかに返還する事。
さすれば、自分の力で数分間時を戻しましょう。

天照様からいなりに突き付けられた選択肢。

この事態に陥ったのはいなりの未熟故。
自業自得の上、人間の命が天秤に掛けられてしまった。
いなりに選ぶ道は1つしか残されてませんよね。

脅迫とも言えるかもしれませんが、この件で天照様がしたことって筋が通っていました。
人間が神通力を持つ事を良しとしてなかった天照様。
いなりから有り余る力を「いなりの意志」で手放させるには、うってつけのシチュエーションを利用したに過ぎない。

天照様が、嫌味とかイジメでこんな事をしてる訳ではありません。
その証拠に、うかといなりをこのまま別れさせるには忍びなかったのか、この直後2人を逢わせて、ちゃんと「お別れ」をさせています。


さてアニメの流れ。
いなりとうかの絆により強い印象を持たせるような改変だったかなと。
いなりの暴走をうかが止め、それによって力を使い果たしたうかをいなりが救う。
原作でも「神通力を手放してもいいかも」といなりは述懐しているんですが、より強く「いなりの意志による返還」となるようになってました。

誰に言われるまでも無く、自分の意志でうか様を救いたいという気持ちから返還させる。
1つの作品の最終回としては、原作よりも盛り上がってましたし、2人の絆のドラマとしても際立っていました。
その代り「ラブコメ」の要素は薄くなってしまいましたが、これは致し方ないのかもなと。

原作は、どこまでいっても「ラブコメ」です。
いなりと丹波橋君2人のラブコメを中心とした作品であり、いなりとうか様の絆の物語は作品を彩る1要素に過ぎません。
過ぎないと言っても、大事な大事な要素ではありますが。
ただ、原作でもまだまだ2人は付き合うとかには至ってません。
少なくとも最新コミックス収録分までは、全然そこまでいってない。

「付き合う事も無いまま終わらせるラブコメ」。
悪いとは言いませんけれど、締りが悪いですよね。
どうせなら2人が付き合うシーンでクライマックスを迎えた方が綺麗です。
「付き合わせるには、原作を大きく改変しないといけない」。
原作の先の展開をオリジナルでやらないといけません。

原作ファンの心情云々を無視すれば、1つのアニメ作品としては綺麗に終われるけれど、ただし、これをやると2期とか作れなくなってしまうという欠点もあります。
なので、ラブコメを薄くしてでも、絆の方にスポットを当てたのは理解出来るし、良かったとも思えます。
中途半端にラブコメで終わらせるより、しっかりと絆の物語を描き切ってくれた方が清々しいです。

そんな訳で、この改変はなるほど〜という感じで見ていたのですが、よくよく考えると「ん?」と首をかしげたくなることもありました。
はい。
天照様の行動が意味不明になってしまったかなと。

天照様の目的

天照様の目的はあくまでも「2人の為」であるはずですし、ここはアニメでもそうだったと思っています。
神と人間は違う。
2人の関係の継続は、互いの為にならない。
だから、絆を切りたい。
勿論、うかをどうこうする気はありません。
それどころか、うかを救いたいと考えている。
2つの考えは「いなりがうかに神通力を返す事」で達成でき、これが天照様の行動原理ですよね。

いなりが神通力を使い続ける事で、うかが消滅してしまうという事実を把握している。
また、いなりが神通力を返したいと願えば神通力が返還されると知ってもいる。

消えかけているうか。
うかを救うために神通力を返すと決意したいなり。

天照様が天岩戸を閉ざし続けて、いなりがやろうとしている事を阻害し続ける理由がどこにも無いんですよね…。
寧ろいなりに手を貸して、早く神通力の返還が行われるようにするのが筋。
最終話で「必死にうかを助けようとするいなり」というシーンを描きたかったのかもですが、ちょいと強引過ぎたかなと。

天照様の行動に矛盾が生じていた気がします。
人間(いなり)に近づきすぎたうかに灸を据える為という目的にすり替わっていて、原作でこういう意図が全く無いかと言えば嘘になるんですが、それにしても無理矢理感がありました。

終わりに

最終回が大事なんてことは、わざわざ書く必要も無い事です。
ラストの天照様の矛盾した行為によって、最終回のシナリオ全体に無理が生じ、結果作品全体にややマイナスになってしまったかなと。
あくまでも「やや」ですけれどね。

完結してない作品の締め方って難しそうだなと改めて感じた最終回でした。
テーマをずらした点は個人的に良かったのですが、そのせいで、少々おかしな点を生んでしまったのかなと。
うん。
続きは是非見たいので、2期あれば良いなという思いを書いて、結びとさせて頂きます。