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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

自ら岐路に立った「講談社漫画賞」の挑戦への期待

この記事は

講談社漫画賞についての個人的な意見を書いた記事です。
講談社は好きな出版社なのです。

これまでの事実

今年もまた去年に引き続き「講談社漫画賞」は、読者から大々的に受賞候補作を募っております。
以下募集要綱を抜粋します。

今回で38回を迎える「講談社漫画賞」では、昨年に引き続き、
読者のみなさまからも広くご意見をいただき、
選考の参考とさせていただくこととなりました!

漫画の質的向上をはかり、その発展に寄与するために設けられた同賞は、
優れた作品を発表した作家を顕彰し、毎年大きな話題となっています。

平成25年4月1日以降に雑誌・単行本などに掲載、発表された漫画のなかから、
斬新にして最も優れていると思われる作品をご推薦お願いいたします。

ご協力いただきました方には、選考結果をメールにて速報いたします。
(平成26年5月8日配信予定)

みなさまの、イチオシ作品をお聞かせください!!

皮肉という訳では無く、この中で謳われている「毎年大きな話題」というのはいささか大仰な気がします。
発表されれば確かにニュースとして漫画系サイト等々で伝えられますけれど、この受賞によって作品に何かしらの付加価値が付くかと言えばちょい疑問だからです。
具体的に言えば、人気の上昇・コミックスの売上増に繋がっているのでしょうか?
「このマンガが凄い!」ランクイン作品のように書店に専用のコーナーが設けられたり、大々的にPRになったりしてるようには思えないんですよね。
それは、小学館漫画賞も同じです。

やはり「身内びいき」が露骨に見えてしまっているからではないでしょうかね。
ネット上だけの話なのですが、そういう声はやはり大きい印象を持ちます。
歴史に反して、影響が少ないのが現状な気がしてなりません。

実際どうなのか、出版社別の受賞数を見てみましょう。

過去38年間で受賞してきた作品は全133点。
内訳は
講談社  107件
集英社   11件
小学館   6件
白泉社   5件
竹書房   1件
秋田書店  1件
文藝春秋  1件
新書館   1件
と比べるまでもありませんでした。

ここ10年程の受賞作品はこんな感じ。
これ以外の全受賞作品はwikipediaをご覧ください。

〇第28回(2004年〈平成16年〉度)
児童部門 「ウルトラ忍法帖」シリーズ:御童カズヒコ(コミックボンボン/講談社)
少年部門 「遮那王 義経」:沢田ひろふみ(月刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「のだめカンタービレ」:二ノ宮知子(Kiss/講談社)
一般部門 「バジリスク ?甲賀忍法帖?」:せがわまさき(原作:山田風太郎)(ヤングマガジンアッパーズ/講談社)

〇第29回(2005年〈平成17年〉度
児童部門 「シュガシュガルーン」:安野モヨコ(なかよし/講談社)
少年部門 「capeta」:曽田正人(月刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「おいピータン!!」:伊藤理佐(Kiss/講談社)
少女部門 「恋文日和」:ジョージ朝倉(別冊フレンド/講談社)
一般部門 「ドラゴン桜」:三田紀房(モーニング/講談社)

〇第30回(2006年〈平成18年〉度)
児童部門 「キッチンのお姫さま」:安藤なつみ(原作:小林深雪)(なかよし/講談社)
少年部門 「エア・ギア」:大暮維人(週刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「ライフ」:すえのぶけいこ(別冊フレンド/講談社)
一般部門 「蟲師」:漆原友紀(月刊アフタヌーン/講談社)

〇第31回(2007年〈平成19年〉度)
児童部門 「天使のフライパン」:小川悦司(コミックボンボン/講談社)
少年部門 「さよなら絶望先生」:久米田康治(週刊少年マガジン/講談社)
少年部門 「DEAR BOYS ACT2」:八神ひろき(月刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「IS」:六花チヨ(Kiss/講談社)
一般部門 「おおきく振りかぶって」:ひぐちアサ(月刊アフタヌーン/講談社)

〇第32回(2008年〈平成20年〉度)
児童部門 「しゅごキャラ!」:PEACH-PIT(なかよし/講談社)
少年部門 「最強!都立あおい坂高校野球部」:田中モトユキ(週刊少年サンデー/小学館)
少女部門 「君に届け」:椎名軽穂(別冊マーガレット/集英社)
一般部門 「もやしもん」:石川雅之(イブニング/講談社)

〇第33回(2009年〈平成21年〉度)
児童部門 「名探偵夢水清志郎事件ノート」:えぬえけい(原作:はやみねかおる)(なかよしラブリー/講談社)
少年部門 「Q.E.D. 証明終了」:加藤元浩(マガジンイーノ/講談社)
少年部門 「FAIRY TAIL」:真島ヒロ(週刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「潔く柔く」:いくえみ綾(月刊Cookie/集英社)
一般部門 「ああっ女神さまっ」:藤島康介(月刊アフタヌーン/講談社)

〇第34回(2010年〈平成22年〉度)
児童部門 「イナズマイレブン」:やぶのてんや(コロコロコミック/小学館)
少年部門 「ダイヤのA」:寺嶋裕二(週刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「海月姫〜くらげひめ〜」:東村アキコ(Kiss/講談社)
一般部門 「GIANT KILLING」:ツジトモ(原案:綱本将也)(モーニング/講談社)

〇第35回(2011年〈平成23年〉度)
児童部門 「ほんとにあった!霊媒先生」:松本ひで吉(月刊少年ライバル/講談社)
少年部門 「進撃の巨人」:諫山創(別冊少年マガジン/講談社)
少女部門 「ちはやふる」:末次由紀(BE・LOVE/講談社)
一般部門 「宇宙兄弟」:小山宙哉(モーニング/講談社)
一般部門 「3月のライオン」:羽海野チカ(ヤングアニマル/白泉社)

〇第36回(2012年〈平成24年〉度)
児童部門 「わたしに××しなさい!」:遠山えま(なかよし/講談社)
少年部門 「ましろのおと」:羅川真里茂(月刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「失恋ショコラティエ」:水城せとな(月刊フラワーズ/小学館)
一般部門 「ヴィンランド・サガ」:幸村誠(月刊アフタヌーン/講談社)

〇第37回(2013年〈平成25年〉度)
児童部門 「どうぶつの国」:雷句誠(別冊少年マガジン/講談社)
少年部門 「四月は君の嘘」:新川直司(月刊少年マガジン/講談社)
少女部門 「俺物語!!」:アルコ(原作:河原和音)(別冊マーガレット/集英社)
一般部門 「グラゼニ」:アダチケイジ(原作:森高夕次)(モーニング/講談社)
一般部門 「監獄学園」:平本アキラ(週刊ヤングマガジン/講談社)

個人的に納得出来るものも数多く受賞しているのですけれど「あのマンガは何故受賞してないのか」というのも多い。
ただこの辺は、憶測だけで話をしてはいけない部分でもあるかと。
若しかしたら、出版社・作家側で受賞を断っているケースもあるかもしれませんからね。
そう言った部分は表にはなかなか出て来ない話でしょうし、受賞を断るという事自体あるかどうか分からないんですけれども。

先程は「身内びいき」という言葉を使ってしまいましたが、適切では無いのも事実です。
この賞の発足経緯を見れば、講談社の漫画が受賞するのは当然であり、他社の作品が選ばれる事こそ稀有であるべきなのでしょうね。
小学館漫画賞も同じ。
やはり出版社の名を冠している以上は、その出版社から発行されている漫画が選ばれるのが筋な気もします。
故に「身内びいき」という批判めいた言い方は好ましくない。

ですが。
今後はこう言う事を言ってられなくしてしまったのが講談社。
なんたって一般から候補作を募っているんですからね。
この先も"一般に見てオカシイ程"講談社作品偏重のまま回を重ねていくと、いよいよ批判の的にされかねない。
僕ごときがこんな事言うまでも無く、そうなってしまう公算が高そうですよね。

ただ、本当の意味で
「漫画の質的向上をはかり、その発展に寄与するため」
の賞に変わろうとチャレンジをしている道中な気がしてならないんです。
一般からの公募はその表れではないかと。
だから講談社のこの試みは応援していきたいんですよね。

希望

今までよりもオープンな審査になって欲しいし、そうなるべき時期に差し掛かってきてしまったんではないかなと。
これまでは「講談社作品が受賞するのが当たり前」で良かった為、クローズドな審査手法でも問題無かった。
しかし一般から候補作を募っている以上は、これを公開して欲しいんですよね。
寧ろ公開しないと募っている意味が無い。

去年の事を忘れてしまったので、「お前何言ってんだ」と言われても仕方ないんですけれど、例えばランキング形式で前もって候補作を発表しても良いんじゃないかなと。
「読者から挙げられた作品を票数毎に順位付けし、各部門上位2〜3作の中から受賞作を選びます」という形式。
経緯が明確な為、結果講談社の作品が選ばれたとしても納得できます。
出来レースなんて声が出ても封殺しちゃえばいい。

募集要綱の

選考の参考とさせていただく

という部分に於いても「あくまでも参考である」という事が明確にアピールでき、かつ、「ちゃんと参考にしている」と示す事にも繋がる。

こうしてくれると、僕等としても参加意欲も湧きますよね。
自分が挙げた作品が世間ではどの程度の評価を受けているのか客観的に見れるので、推した作品が選ばれなくても文句は言えなくなりますし。
1つの声として反応されているんだという実感にもなる。

最終候補作と受賞作品だけを公表するのではなく、経緯までオープンにして欲しい。
そう思います。

あと欲を言えば、部門毎の対象雑誌をオープンにしてもらいたいかな。
同じ「別冊少年マガジン」連載作品でも「どうぶつの国」は児童部門で「進撃の巨人」が少年部門でそれぞれ受賞していたりと、少々おかしなことになっていますし。
こういった点まで講談社の都合が良い様に流動的に判断されちゃうと見做されるようだと、公正な賞とは言え辛くなっちゃいますからね。

選んでみた

ここまで書いてしまったんですから、僕自身のイチオシ作品を挙げなきゃですね。
これが案外難しい。
取り敢えずとして、少女漫画は読んでませんのでここは選べないです。
同様に児童部門も無理かな。

なので少年部門と一般部門のみで選考してみます。
先ずは少年部門。

候補作は
「七つの大罪」(講談社)
「暗殺教室」(集英社)
「ワールドトリガー」(集英社)
「銀の匙 Silver Spoon」(小学館)
「弱虫ペダル」(秋田書店)
かな。

上3作品は「連載開始間もない作品、かつ、勢いと面白さを兼ね備えていた」という理由。
下2作品は、連載開始から時間が経ってはいるものの、メディアミックスの話題性から。
内容については言うまでも無くですしね。
もう少し連載が進んでいたら「BIRDMEN」(小学館)も加えたかったですが、今回は見送り。

ここから1作品と絞り込むって大変ですね(汗
ううううん。
「七つの大罪」かなあ。「ワールドトリガー」も捨て難いけれど。

続いて一般部門。
「はねバド!」(講談社)
「ワンパンマン」(集英社)
の2作品。
新規開拓が殆ど出来てない分野なので非常に少ないです。
甲乙つけがたいけれど「はねバド!」に一票。
プロローグが終わって、さあここからが本番という時で、今後ガンガン面白くなっていきそうな気配で一杯なんですよね。


どっちの部門も講談社の作品になってしまったのはただの偶然です。

終わりに

受賞作だけ見て判断するのは早計。
今年の経緯や結果から「アンケート意味ないのでは?」と考えてはいけないと思うんです。
来年以降も一般から候補作を募り続けてくれて、少なくとも5年。
5年後くらいに、2013年からの受賞作を比較して漸く判断出来る事かなと。
今までの慣習を捨て、変わろうとされている「講談社漫画賞」。
良い意味で変わっていってほしいな〜。

という事で、一票投じてきます。