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アニメ「ニセコイ」考察 原作との比較で見える"過剰演出"の意図

この記事は

「ニセコイ」の考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

アニメ「ニセコイ」を何度か見返しました。
至る所にシャフトだな〜と思わせる演出が見られたのですが、その中の1つに「過剰な舞台装置」というのがある気がします。
「化物語」とかでもそうなんですけれど、家とか普通じゃないですよね。
派手というか、前衛的とでもいうか、奇抜というか。
構造そのものが特徴的でどこか誇張された町並みを舞台としている点。
それが最近のシャフトアニメの画作りの傾向になってる気がしてなりません。

今回は原作との比較を行い、何故誇張されなければならなかったのか考え、纏めてみました。

表現を誇張する意味

先ずアニメは回数が定まっているという点が大事かと。
アニメ「ニセコイ」は2クールでしたっけ???
調べてないので不明ですけれど、10回以上26回以下って感じでしょうか。
兎に角回数が少ないので、キャラクター描写はやや大袈裟にすると効果があります。
原作で描かれているような細かい描写の積み重ねをしなくても1度の誇張した表現で補えちゃうので。

だから、キャラクターを描く為に、演出も原作以上に派手に大袈裟にしているのかなというのが僕の考え。
これが前提にあるのではと仮定して、以下進めて行きます。
原作とアニメの5つの比較検証を始めます。

検証1:楽の料理


1話Aパート冒頭。
楽が組のもんにたいして、朝食を作っているシーン。
いきなりド派手な演出で、吹きましたw
「どこの一流レストランの厨房?」とツッコみたくなるほど大きな厨房で、エプロンに身を包んだ楽がイタリアンを作っていました。

一方原作はと言えば、いたって普通。
普通の家庭のキッチンで、普通に調理。

でも、出来上がった料理は何故かどっちも和食という共通点(笑
楽が作っていたステーキやパスタはどこへ行ってしまったのかw
作ってた料理が無い時点で、冒頭の調理シーンは全てイメージのようなものと解釈してOKではないでしょうか。
ここからは、まるでプロの料理人のごとき腕前を楽が持っていると伝わってはきます。

実際に楽の料理の腕は評判であり、それは今後も随所で活かされる点。
楽というキャラクターを表現するにあたり、料理上手というのは外せない項目。
原作より派手に仰々しくする事で、より伝わりやすくなっています。

検証2:楽の家


こちらは、上記シーンの直後ですね。
見て頂きたいのは、大勢のヤクザさん…。ではなくて、部屋の広さ。
1話終盤でもよく分かりますが、楽の実家が原作以上に広く大きくなっています。
親父の部屋とか、もはや落ち着かない位ごてごてっとした趣味の悪い部屋でした。
町でも有名なヤクザの元締めという設定ですが、原作以上にその強大さが窺い知れる設定になってますね。

ちょいとアニメ2話のネタバレ気味の話になってしまいますが、千棘の実家であるアメリカンギャングとの間で本格的な抗争が起これば、この町がただでは済まないという話が出ます。
楽と千棘のニセコイは、そんな「戦争」を未然に防ぐという名目があるのですが、この説明により大きい説得力が生まれているなと。
物凄く豪奢な家に住めるレベルの組なんですから、組員も相当数いる事が予想できますし、その影響力もとんでもなく大きそうです。
そんなヤクザさん達とアメリカンギャングが全面的にぶつかったら…。

余談ですが、このような部屋になったのはワンシーンになるべく大勢のヤクザさんを描く為というのもあったのかもですね。
上記カットに関しては。
わざわざ中二階的な部分(?)を備えた洒落た部屋にすることで、ただ単純に広い部屋にするよりかは近い距離のカメラ位置から大勢の人間を描けるので。
でっかい部屋だと俯瞰した絵になって、それはそれで大勢の人間を描いた時の迫力が出せませんしね。

検証3:千棘がアクロバティックに飛び越えた学校の塀


千棘と楽のファーストコンタクト。
こちらはちょっと分かりにくいですし、間違ってるかもですが、塀の高さに注目してみました。
アニメの方が学校の塀が高く見えます。
原作ですと楽が手を伸ばせば楽に届くくらいの塀。
アニメだとギリギリ届くかどうかな位に見えます。
そう見えるだけなのかもしれませんが。

もしアニメの方が高い塀ならば。
千棘の運動神経の良さが分かりますよね。
単純に高い塀に上る方が運動能力を要するとすればのお話ですけれど。

実際千棘の運動神経はちょっと異常な程。
ゴリラ女と楽から呼ばれていたように、腕力も同年代の女の子よりも遥かにある。
彼女の身体能力の高さがよりハッキリと見て取れるシーンですね。

検証4:千棘の腕力


千棘の腕力ついでにもう1つ。
原作は鉄アレイ。アニメではドラム缶。
どちらも楽に向かって投げつけていますが、一般的には鉄アレイよりもドラム缶の方が重いと言えます。
派手さも増し、千棘の腕力も印象付けられる。

ここもまた誇張な表現によるアニメ式キャラクター描写と言えるのではないでしょうか。

検証5:楽達の通う高校


最後はアニメのカットのみです。
学校ですね。
なんか、校舎には全く見えない建物ですが、楽達の通う高校です。

原作では普通の校舎なんですが、アニメでは派手というか奇抜というか…。
シャフトの描く建物っぽい校舎になってます。

んで、この学校ですが、どうもかなり広大な敷地があるように見えます。
これも実際確証が掴めている訳では無いんですが。
校舎もやたら大きく見える気がするんですが、僕がそう思い込んでるだけなのかもしれません。

もしも仮に学校が原作以上に大きかったら。
そこにどんな意味があるのかと言えば、楽のペンダントが見つかるまでの日数ですね。
探していた時間が放課後だけとはいえ、見つかるまでに10日弱(2人が出会って11日目に楽の手元に戻る)かかっている。
ちょいと掛かり過ぎだったりするんですが、学校がそれに見合う程大きいのであれば…。
いや、それでも苦しい…かな…。
落とした場所の大体の見当は付いていたので…。

まぁ、でも、ここも原作の補間という意味合いでは機能している気が致しますね。

終わりに

2話を目前にして、1話を振り返ってみました。
基本的に原作から描写が大袈裟になっているアニメ版ですが、しっかりとした演出的意図があってこそなんではないかなと思う次第です。