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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

アイドルアニメのキャラデザは必ずしも「美少女アニメ」の主旨に沿わなくてもいいのではないか

この記事は

アイドルアニメのキャラデザに関しての記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

「Wake Up, Girls!」を見ていて、引っかかった事がありました。
キャラクターデザインに関してです。
他のアイドルアニメである「THE IDOLM@STER」と「ラブライブ!」を引き合いに出して書いていきます。
テーマは、「アイドルアニメと萌え系統のキャラデザに関して」です。

本稿では、アニメ作品としての「Wake Up, Girls!」をこの表記そのままに、作中のアイドルグループを WUG とさせて頂きます。
また、「THE IDOLM@STER」を以下「アニマス」と呼称します。

萌えアニメ内の美少女の定義

萌えアニメ。
美少女アニメとも言われてますけれど、文字通り「美少女」が大勢出てくるタイプの作品群の俗称です。
一口に「美少女」と言ってもキャラクターデザインはアニメーターや原作者(漫画家、イラストレーター等)の色が出てくるので様々ですが、「美少女」と多数の視聴者が認識出来る範囲で共通している。
ではでは、そんな「美少女」な彼女達は作中ではどういう認識をされているんでしょう?
我々の感覚と同様「美少女」と認識されているのでしょうか。

アニメ「けいおん!!」の場合。
軽音部に所属するHTT5人は、僕等からすれば全員が「美少女」です。
それだけでなく、和、憂、純などもそうですし、3年2組のクラスメイトの殆どがそう。
みんな等しく「美少女」に見える。
けれど、作中では必ずしもそうではないんだと推測できます。

主人公の唯を取り上げてみます。
彼女の外見を表する言葉として出てくるのは、僕からしたら「かわ唯」。
これ以上無いって位可愛い生物なんです。
けれど、彼女を作中の人物が「可愛い」と評しているのは、僕の記憶では憂くらいでしょうか。
憂にしても顔だけでの評価というより唯のダラダラっとしたキャラクター性含めての総合的な評価な気がします。
純粋に顔だけで「可愛い」、「美人」という評価って無い気がします。
作中世界観での唯は「普通の顔の子」という評価なのかもしれません。
あの世界に於ける平均的な顔立ちと推測できます。

では、美人(や可愛い)ってどういう顔なのといえば、代表者は澪になるのかな。
ファンクラブが出来る位ですから、澪は「美人」な部類に入ると思われます。
同じく3年2組の岡田春菜。
わざわざ公式設定で「美人」(BD8巻特典より)とされているのですから。
僕等から見れば大して変わらない彼女達も彼女達の世界の中では違いがあるのでしょう。

なので、一概に「登場人物みんな美人・美少女」という決めつけは出来ません。
更にいえば「美少女アニメ」という架空の作られた世界観に生きる人物なので、出てくる少女の大半が可愛くても問題は無いのでしょう。
これを念頭に置いて頂いて…。

アイドル像解釈あれこれ

「アイドル」と言っても、色々な解釈が可能です。
各作品では、どういう「アイドル」を描こうとしているのか。
これについて考えていきます。

そこで、「Wake Up, Girls!」の立ち位置について見てみます。
劇場版と1話を見た限りの印象ではありますが、この作品は上記2作品とは一線を画すアイドル像であると思っております。
どこまでもリアルなアイドルを目指している節があるんですよね。

アイドルグループとしてのWUG結成の理由が「金づるになるから」と非常に俗っぽいものでした。
あくまでもお金の為にスカウトをし、オーディションを敢行して、真夢を無理にでも引き入れようと画策。
デビュー曲に関しても「安いから」という理由で演歌にしようとしたり、兎に角零細事務所というリアルさを描いていた。

TVシリーズ1話に至っては、脛に傷がありそうな男まで絡んでくる始末。
声がフリーザ様だったので十中八九間違いなく筋ものでしょう。
現実の芸能界は、そういう人らが必ず裏に居ると言われてる位ですし(実際は知りませんが)、そういうとこからもリアルな世界観を築こうという姿勢が窺えます。

「夢のようなキラキラした世界に生きるアイドル像」を排し、どこまでも泥臭いリアルを追及しているのかもしれません。
(とはいえ、「現実のコピー」ではなく、根底にはフィクションであると明示した世界観ではあるのでしょうけれど)

そんな「Wake Up, Girls!」と最も掛け離れているアイドル観を持つのが「ラブライブ!」でしょうか。
この作品に於けるアイドルは、芸能人の事ではないですよね。
ネットアイドルとでもいうのかな。
スクールアイドルもそういった類に含んで良いと考えているのですが、ようは素人の女の子達。
何処にでも居そうな普通の女の子達が、アイドルグループを結成して、学校存続のために頑張っていた物語でした。
「何処にでも居そうな普通の女の子」っていうのは、器量が悪いという意味では無いです。
中には美人さんも居るでしょうし、可愛い子だって居る筈。
普通の子も居る事でしょう。
そういうのをひっくるめて「何処にでも居そうな普通の女の子」がアイドルをしている作品です。

では、「アニマス」はどうでしょう。
「Wake Up, Girls!」の延長線上に居ます。
アニメ「Wake Up, Girls!」の世界で言えばI-1クラブと同等の存在ですね。
芸能界に生き、芸能界で磨かれているアイドルグループ。
それが「アニマス」で描かれているアイドル像です。プロアイドルとでもいえばいいのでしょうか。
ただ一つWUGと決定的に違うのは、リアルさは求められていない事ですね。
黒井社長のような裏で汚い手を回す輩も出てきますが、基本的には「夢のようなキラキラした世界に生きるアイドル像」を軸としています。
更に、アイドルとしての実績も違いますね。
まだまだ結成したばかりのWUGとは違い、765プロオールスターズの面々は、最初から「プロのアイドル」だったという点。
1話よりもっと前の時間軸で、既にオーディションやらなんやらが行われ、厳正な(?)審査を乗り越え、また、いくつかの仕事を熟したプロ達だった。
そして、「アニマス」はそんなプロ達が生き抜く世界を描いていたという点。
見過ごせない差ではないでしょうか。


ここまで書いたのですから、現実のアイドルについても定義を纏めておきます。
アイドルは顔だけで選ばれている訳では無い。
だから、中には器量がお世辞にも良いとは言えない人も居ます。
男女関わらず「普通の器量」をしたアイドルがプロとして活躍してたりします。

なので「アイドル=器量良し」という考えは暴論です。
ですが、「一般人よりも可愛い・美人・格好良い」というのが、大抵の方の中で共通しているアイドル像ではないでしょうか。
なのであくまでもこの考えを元にしていきます。

「器量の良くない少女」が出て来ない不自然さ

何が言いたいのかと言えば、僕等視聴者から見ても「器量の良くない少女」が出て来ないのは何でだろうという事です。
少なくとも上記3作品には居ません。
出て来ない。
隅から隅までモブの中を探せばいるかもですが、台詞が与えられるキャラは基本皆「美少女」なんですよね。

こういう「器量の良くない子」というのは、アイドルアニメには重要な意味があると思うんです。
先程無理矢理纏めた現実のアイドルと一般人の差と同様に「アイドルの特別さ」を簡単に描けるという意味で。
他のモブキャラよりも器量という点で特別秀でていて、故にアイドルを出来るんだよという分かりやすい基準になる。
でも、実際はそういう子は見かけない。
これが「Wake Up, Girls!」を見ていて最も引っかかった点です。

ただ、これを回避する…疑問に思わせない事も出来て、その実例が「アニマス」と「ラブライブ!」なんですよね。
1つずつ持論を書いてみます。
最初は「ラブライブ!」から。

先程も書いたようにこの作品のアイドルは、スクールアイドルと呼ばれる「何処にでも居そうな普通の子」達の集まりです。
何らかの審査や選抜を潜り抜けて来た訳では無くて、「スクールアイドルになりたい」という一心で集まった(集められた)子達。
器量は関係無いんですよね。

そんなアイドル観に「けいおん!!」のルールを当て嵌めても問題無い訳ですよ。
僕等からしたら、μ'sのメンバーも音ノ木坂学院の生徒達も皆一概に美少女に違いない。
やはり器量の悪い子って居た記憶がありません。
非常に不自然ではあるんですけれど、「ラブライブ!」の世界観では、それが平均的な器量なのかもしれませんよね。
作中でμ's全員が「美少女」とされていないので、μ'sのメンバーとそれ以外の音ノ木坂学院の生徒達の間に"差"が無くとも問題はありません。
誤解を恐れずに書くならば、μ'sの中にも「器量が余り良くない」子がいるかもしれません。

続いて「アニマス」。
こちらは「ラブライブ!」と違ってプロのアイドルであって、現実同様基本的には器量良しの子ばかりが描かれていると言えます。
なのに、やはり(視聴者から見た)器量の悪い子って居ないんですよね。
何故居ないかと言えば、作品が描いている世界が芸能界だから…で大方の決着は着くのではないでしょうか。
更にいえば芸能界の中でもアイドル達しか描いていないので、キャラクターが皆美少女・美女・イケメンでも不自然とは言い切れない。

どちらの作品も素人のゲストキャラやモブの女性も皆基本的に顔が良いので、不自然さを完全に払拭は出来ませんけれど、定義された「アイドル観」(設定)で和らげているんです。

さてさて「Wake Up, Girls!」。
劇場版に松田が町中にほっぽり出されて、スカウトをするシーンがあります。
突然アイドルの卵をスカウトして来いと社長に尻を叩かれ、途方に暮れつつも目に付いた子に声を掛けていました。
この時、松田は何を基準に声を掛けたのか?
ストーリーが進むと「オーラがあるかどうか」という要素が加わってきましたが、初期の段階では見た目しかありませんよね。
松田基準の「アイドルに相応しい見た目」をクリアしてるかどうか。
闇雲に声を掛けていた可能性も否定できませんけれど、基準があるとすればこんなところでしょう。

とすると、彼にスカウトされた少女達が一様に美少女だったことも割と納得する事なのですが…。
それにしても器量の悪い子って居なかったのが引っかかるんです。
この作品がリアル寄り…つまりは「フィクションの美少女萌えアニメ」とは異なった世界観、かつ、芸能界でプロとしてやっていくアイドルを描こうとされているからです。
真夢のクラスメイトも何人か出てきましたが、器量の悪い子って居なかったですし。
松田がスカウトする際に「彼がスカウトするのを止めた子」を描いたり、作中で台詞で言わせたりしてたらまた違ったんですけれどね。
とはいえ「けいおん!!」同様作中世界観点では「普通の子」が混じっている可能性も考慮しないといけませんので、決めつけは出来ない点。

まとめ

萌えアニメに特に顕著ですが、器量の良くない子ってあまり出てきません。(勿論全てに当て嵌まりはしませんけれど)
アイドルアニメもこの系統に属している以上、美少女ばかりなのは無論の事ではあるのでしょうけれど…。
作品の性質とか考慮した上で、それではいけない事もあるんではないでしょうかね。
場合によっては、あまり器量の良く無い子も必要だったんではないか。
考え方が最悪ですが「アイドルの引き立て役」にも使えますし、または、そういう子がトップアイドルに上り詰めるという物語にしても面白いと思いますし…。
色々と「使い道」はある気がするんですよね。

「Wake Up, Girls!」には、今後そういうキャラが出てくると良いな。