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アニメ、漫画の感想・考察

「境界の彼方」第6話が何故笑えたのかをクソ真面目に考察する

この記事は

「境界の彼方」の記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

第6話「ショッキングピンク」が個人的に大当たりでした。
滅茶苦茶笑えました。
「笑えた」という意味では、今年見た全てのアニメの中で一番好きな回と言っても良い。

なので、ちょっと何故笑えたのかをクソ真面目に検証してみます。
とはいえ、笑いというのはそれこそ人それぞれツボが違うもの。
6話にしたって「全く笑えなかった」と真逆の感想を持たれた方もいらっしゃるはずです。
なので、いつも以上に独り善がり的な視点で書きます。

ギャップが生む笑い

ギャップというのは、どんな作品でも大事な要素だと思うんですけれども、今回は第6話の笑いに活きていたという解釈で進めてみます。

僕が感じたのは、これまでの作風とのギャップですね。
生きるか死ぬかという妖夢との戦いを軸とした作品だけに、作風は非常にシリアスです。
秋人も未来もバックに描かれた背景が暗く重いもので、それが余計に作品全体を重苦しくしています。
普段の秋人の変態性や未来の「不愉快です」という口癖、博臣の変態性等々、重くなり過ぎないように上手にバランスが取れているので、そこまで重くは見えないのですけれど。

6話で笑えたのは「シリアスだけれど、シリアスすぎない点」という微妙なバランスが保たれていたからですね。
この間映画見てきたばかりなので名前出しちゃいますが、「まどマギ」みたいなドシリアス作品で今回のような話があっても、間違いなく笑えませんもの。
特に(「まどマギ」で)4話がこのような回だったら…。
登場人物が死んでしまうようなレベルでのシリアスバトルがこれ以前にあったら、こういうコメディ回は笑えないかな。
過去回想で唯が死亡してますけれど、こういう過去での死はノーカンという事で。

シリアスすぎてもダメだけれど、逆にコメディ色が強くても、これまたダメですね。
例えば、最初からおバカな妖夢退治路線だったら。
すなわちコメディ要素が色濃かったら、今回の話で笑えたとしても「そこそこ」レベルだった気がします。
大笑い出来たとは思えません。


人死にが無い程度のシリアスバトルで、コメディ色がそれ程強く無かったから。
だから、この6話での唐突なコメディ回に落差を感じ、笑える下地を与えられたと思うんです。

逃げ道を塞ぐ事の大切さ

妖夢の攻撃が非常にバカバカしい。
これも笑えた一因。

普通の物理的攻撃だったら、先ず笑えません。
キャラクターが傷つく姿を見せられても、笑いにはなかなか転嫁できない事ですしね。
例外は当然ありますけれども。

そこいくと、クサイっていうのは凄く絶妙な攻撃手法です。
誰だって臭いのは嫌ですもの。
で、この設定が素晴らしいのは、同時に逃げ道を封鎖している点ですね。

途中何度か未来たちが諦めかけた様に「倒した際の報酬が高いから」というのは、倒す事に拘り続けられる点ではありません。
挑み続けることで死ぬことは無いけれど、臭い攻撃を受け続けるデメリットの方を優先してもおかしくないから。
特に思春期の少年少女からすれば、臭いと思われる事の精神的ダメージは深いものでしょう。

また、逃げ道が用意されていると途端につまらなくなるんですよ。
相手せずに逃げれば良いじゃんと思うと、「バカバカしい事に真剣になってる」という構図が単純に「馬鹿な事に真剣になってる」だけになるんですよね。
言葉も悪いですし、何より単語選びが適切じゃない気もしますけれども、要は芸人がする事を見て笑える事に似ているんですよね。

芸人が「頭の悪い行為」をしてもケタケタと笑えるのは、それは笑いを誘う為に敢えてやっているという事が分かっているからです。
そうではなく、素で「頭の悪い行為」をしてる人が居ても、笑えないですよね。
「諦めれば問題無い」という逃げ道が残されている状態で、それでも挑み続けるのは「単純に頭の悪い行為」です。
笑えません。
逃げれば良いだけじゃんと素に返ってしまうんです。

「妖夢を斃さない限り臭いが消えない」というのは、この逃げ道を50%程封鎖しています。
50%だと、それでもまだまだ逃げる事は出来るんです。
他の解決策、例えば作中でもあったように、結界を作るなどして臭いを外部に漏らさないよう工夫するとか。
やろうと思えばできちゃうから、逃げ道はまだ残ってる。

残り50%をどうやって封鎖していたか。
凄いな〜と感嘆しちゃう点。
2段構えで残りの半分を埋めていました。

1段目は、美月をこの「被害者」にした点ですね。
未来達が半ば強制的に巻き込んでしまったという弱みを突く事で、美月を放って自分達だけが逃げるという選択肢を潰しました。

それでも、臭いに我慢できなくなったところで2段目。
異界士の誇りを持ち出してくる訳ですねw
そりゃ、こんな攻撃しかしてこない妖夢に良い様にやられっぱなしだとプライドも傷つきそうです。
あまりにも臭過ぎて、頭にも来る事でしょうね。
取り敢えず人として、やっつけないと気が済まないという気持ちになっちゃうのは自然ですし、そのタイミングで出してくるので非常に納得出来る事。

こうして2段構えで残りの逃げ道を塞ぎ、今回のバカバカしい妖夢退治を笑える作劇にしていました。

ツッコミを許容している点

視聴者にツッコめる要素を入れてる点も大きいかな。
1週間の特訓の中身とか、1週間で歌上手くなり過ぎとか、色々あるんですけれど…。
一番のツッコミどころは愛ですね。

一体いつ着替えたのか…。
途中まで制服姿で皆の頑張りを見守っていたのに、いつのまにか衣装を着てる点も然ることながら、中盤に言っていた「妖夢ですしおすし」とは何だったのかというねwww

"人間の"女の子にしか興味の無い妖夢という事だったのに、妖夢の愛が「切り札」になっている点が非常におかしい。

クライマックスのアイドルダンスシーンは、そんなツッコミどころが多く、これも笑えた点でした。
ツッコミどころも無く、普通に歌って踊っていたら、そこまで笑えてなかった気がします。

引き込まれたアバン

笑いとは直接関係ないんですが、構成も「話に引き込まれやすい」ものになっていた事も関係ありそうです。
アバンが謎だらけなんですよね。

何故シャワーを浴びているのか。
シャンプーだかボディソープが切れた事に、美月がイラついているのは何故なのか。
美月から距離を取っている未来達の意図は何なのか。
脱ぎ捨てられた衣装は何か。
ヤキイモは何故踊っているのか。

時系列的に
Aパート⇒Bパート⇒アバン
という構成を取っていた今回、最後まで見る事でこのアバンの謎が解ける仕掛けになっていました。

冒頭で数々の謎を提示し、そこに食いつけば、謎を解こうと集中して見入る事となる。
ながら見で感情を大きく揺さぶられる事ってあまりありません。
集中してこそ、感情は大きく刺激されるもの。

謎に食いついた僕にとっては、この点も笑えた事に繋がりました。

まとめ

この記事を書く為に、何度か6話を見返したのですが、まあ、当然初回ほど笑えなくなっていきますね。
笑いはやっぱり初見が一番大きいと個人的には思ってますので。

で、ダンスシーンばかり見返してるという…。
所詮僕は、あの妖夢と同類という事なのでしょう(笑

結局のところ、今回の妖夢に滅茶苦茶親近感が湧いてしまったから、この妖夢無双が気に入り、面白おかしく視聴出来たのかもしれません。