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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

テーマがぼやけていた「ONE PIECE エピソード オブ メリー〜もうひとりの仲間の物語〜」

この記事は

「ONE PIECE エピソード オブ メリー〜もうひとりの仲間の物語〜」についての記事です。
好きな作品だけに残念に思えてしまいました。

はじめに

「ONE PIECE エピソード オブ メリー〜もうひとりの仲間の物語〜」が放送されました。
見たんですけれど、うん。
…うん。

正直言うと、かなり残念な出来だっとなというのが率直な感想です。
作画も動画も、なんか色々と残念過ぎでした。
完全新作というのは、勿論物語がという訳では無くて、作画面(等シナリオ以外の部分)がという意味だったんでしょうけれど、失礼ですがあれだったらTVシリーズの映像を再編集し、新規カットだけ描き下ろしとかの方が良かった気がします。
普段は作画面とかは気にしない性質なのですが、今回ばかりは気になっちゃいました。
作画監督が滅茶苦茶多かったところをみるに、結構急ごしらえだったのかもな〜と感じた次第。

この辺、フジテレビはやり方間違ってるなといつも思う訳ですよ。
「ONE PIECE」という作品をフジテレビが推したいのは、「STRONG WORLD」が大ヒット(ここはホームランと言うべきですか)した頃から顕著であって、あれから4年経った今も継続中で。
ここんとこは定期的に今回同様「土曜プレミアム」枠を使って2時間超スペシャルを放送しています。
ただ、ちょっと乱発しすぎなんじゃないかなと。
まだ3回目ですけれど、そう感じるんですよね。
ファンとして作品を推してくれるのは良いけれど、無暗矢鱈に弾数だけ放らせているだけにも見えるんです。

アニメ制作スタッフだって、毎週のTV放送もあるし、「ワンピ」関連のお仕事は他にも色々とあるでしょうしね。
年に2回ペースでの2時間超えの新作放送は、僕等の想像以上に大変なんではないかな。
人気が出ると分かるや、推しまくるのがフジ流な気もしますが、ちょっとは引く事もして欲しいと思うんですね。

さて。
今回は、このスペシャルの中身について書かせて頂きます。
物語面での感想は、やっぱりゴメンナサイ。
良いとは思えませんでした。
映画「エピソード オブ アラバスタ 砂漠の王女と海賊たち」以上に違和感を覚えたんです。

「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編」総集編として見た場合

先ず何と言っても2時間で纏めるには無理があるよねという事。
今回メインで描かれていた「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編」は、壮大な物語な上に色々と盛り込まれているエピソードです。
盛り込み量でいえば、「ワンピ」史上随一と言っても過言では無いと思うんですよ。

ウソップの下船から真の仲間へとなる物語。
フランキーの登場と過去、因縁の物語。
ロビンが抱えて来た闇と救いの物語。
そして今回のSPでメインテーマとして掲げられてきたメリー号との友情と別れの物語。

物凄く中身が濃くて、どれか1つでも欠けてはならない程物語の骨子にも深く深く関わってくる要素が最低でも4つも盛り込まれている。
更には1つ1つが感動ポイントを持っていて、特にロビンの「生きたい」(全てに濁音が付くんだけれど、パソコンでは再現不可なのが口惜しい)とやっぱり外せないメリーとの別れは涙なくしては見れない。
今回も見ていて、ちょっと泣きそうになりましたもの。
だから、既存ファンの方にとっては満足いくものだったかもしれません。
でもそれは、僕等が物語の全体像を把握しているからなんですよね。

総集編の目的って、僕は「新規視聴者獲得」がメインだと思っております。
原作が3億部にまで迫ろうかという空前の大ホームランをかっ飛ばしている「ワンピ」。
今更新規層開拓が可能なのかどうかは少々疑問符が付くところではありますが、でも国民全員が「知っている」訳では無いのは事実で。
やはりまだまだ開拓の余地は残されていると思うんです。

そんな層に見せるのが目的の総集編(と勝手に思っている)。
総集編だとしても、色々と端折り過ぎだったんですよね。
端折り過ぎて、チグハグしていた。
見ていて疑問を覚える個所が多いから、初見の方が感動ポイントで素直に感動出来たのかが甚だ疑問なんです。

それも当然の事で、このシリーズとんでもなく長いんです。
盛り込んでいる要素が多いから、長さも相当になるのは明白。
TVシリーズで言えば、第229話から第335話まで。
間に3話分番外編が挿入されているので、実質104話。
1話あたり正味20分で計算すれば、2080分ですよ。
前回の粗筋などを考慮したとしても、到底120分で纏められるとは思えない長さです。

なので、テーマを絞って編集するのが筋であり、今回はメリーがメインテーマになっていた。
筈なのですが、メリーの活躍はシリーズ終盤のみ。
そこまで描くには、やはり諸々を最低限でも描く必要性が出て来て、結果的に残念な構成になってしまっていた感がありました。
途中まで「エピソード オブ ロビン」だったと言われても信じられる感じでしたしね。
こうなってしまったのも、上にも書いたようにそれぞれの要素が物語に深く食い込んでいて、省略できないという「ウォーターセブン編」の特徴から来る事。

これでは新規層が食いつくのは、どうなんだろうと。
物語全体の流れは見ずに、数々の感動ポイントのみに食指が動いてくれる人はゲットできそうですが、1本の作品として物語全体を見られるとちょい厳しいと思えました。


「エピソード オブ アラバスタ」もTVシリーズで38話掛けて語られた物語を再構成していたので、違和感が強かったんです。
TVオリジナル要素が多かったアニメ版のアラバスタ編。
原作準拠で再構成すれば、尺も絞れたのでしょうけれど、それでも映画1本の尺に纏めるには足りなかったと感じた。
今回は、その比じゃない分量をほぼ同等の尺に凝縮。
テーマはぶれて見える(これは仕方ないのですが)し、ダイジェスト感が強いし…。
うんと、まあ、残念ではあったかなと。

ただこれは「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編」の総集編として振り返った場合の見解です。
本当にメリーをテーマにしたいならば、「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編の諸々を最低限でも描く必要性」は無いんですよね。

メリーを焦点に「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編」を見る

メリーを焦点に「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編」を見返した時、最も大事な事は、僕としてはルフィのブルーノ戦での台詞にあったと思うんです。

ルフィ「…おれには強くなんかなくたって一緒にいて欲しい仲間がいるから………!!
おれが誰よりも強くならなきゃ そいつらをみんな失っちまう!!!」

これは決闘直前のウソップがルフィに言った台詞に対する答えにもなってますよね。

ウソップ「使えねェ仲間は…次々に切り捨てて進めばいい…!!」(中略)「弱ェ仲間はいらねェんだろ!!!」

端的に「ウソップは一緒にいて欲しい仲間」であり、強くならなきゃ失っちまうというのも、ウソップ下船の要因にもなったフランキー一家との事を指してると思う。
で、このルフィの台詞は、メリーをも指しているんじゃなかろうかと。
この台詞1つあれば、メリーを主軸とした物語のテーマも浮き彫りになる気がするんですね。

「強くなんかなくたって一緒にいて欲しい仲間」を守りたいと思っている主人公の想いは重要です。
「自分が守ってやれば良い」と思っている。

だからこそ、メリーとの別れの際のルフィの涙にも「ただの船を失った」以上の悲しみが見て取れます。
ルフィはメリー号を「強くは無いけれど、一緒にいたい仲間」だと認識しているし、その上で「守れなかった事への懺悔」が現れている。

このシリーズで「強くなんかなくたって一緒にいて欲しい仲間」が指す2人の仲間。
ウソップとメリー。
メリーは失う事になったけれど、ウソップは取り戻せた。

メリーを描くならば、ウソップも一緒に描く。
ここをしっかりとされていたら、テーマもぼやけなかったのかなと感じました。

今回が「ウォーターセブン&エニエス・ロビー編」の総集編ならば、ロビンなどの部分は絶対に必要です。
描写不足は否めないものの、必要最小限には拾われていたので、もしこのような形だったならば問題無かったと思います。
けれど今回はそうじゃ無かったはず。
メリーの物語なのだから、メリーを語る上で不要な部分はばっさりと切った方が良かった気がします。
ロビンとフランキーについては全カットして、ウソップとメリーにだけ絞る。
ロビン達の部分を失くすのは骨の折れる作業ですが、折角ウソップが過去を振り返っているという構造を取ったのですから、ナレーションを多用して上手く捌けた気がしますしね。
(ウソップのナレで「政府にロビンが連れて行かれ、助けに行った」とかで済む話かなと)

終わりに

「ONE PIECE」に限らず、多くの作品では無駄な部分ってそんなに無いんですよね。
特にストーリーものは。
だから、総集編は難しい。

最初の「エピソード オブ ナミ」は非常に綺麗に纏まっていたと感じました。
そう考えるとアーロン編位の分量がギリギリセーフのラインなのかもしれません。
何にせよ、無茶な総集編は逆効果になりかねない気がするんです。
推したい作品が逆にそっぽ向かれちゃったら、嫌じゃないですか。

だから、完全新作が無難なんですが、それには総集編(リメイク)以上の制作時間が必要ですよね。
物語をゼロから構築する必要があるのですから。
そんな時間を与えずに、定期的に制作させているフジは、もうちょっと引いて欲しいなという願いです。
年1回くらいがちょうどいいのかもしれませんよね。
映画の代わりに。

駄文失礼いたしました。