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「とある科学の超電磁砲S」 16話:敢えて表情を描かない2つの演出について考える

この記事は

「とある科学の超電磁砲S」16話の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

久々の感想です。
遂に妹編完結!!!!!!!!!!!
今回は、表情に感動しましたので、それについて。

ミサカ妹の表情が感動的だった

ミサカ妹の表情がすんごく感動的でした。
一方通行の言葉に、顔を曇らせるミサカ妹。
伏線は、第11話だったかな。
「美琴にとって自分達は疎ましい存在なんだ」と美琴の何気ない言動から判断していたシスターズ。
そこをズバリ指摘されてしまったので、この時の事を思い出していたと思うんです。

でも、目の前の美琴は認めてくれた。
自分達の「存在」を。

驚きの中には、心からの歓喜が詰まっていたんでしょうね。
口ではモルモットだの死ぬためだけに生まれてきただの言っていますが、美琴だけには認めて貰いたかったはず。
本物を殺害しに行くような美琴が最初思っていたような行動を微塵も取らなかったのは(そういう命令が下ってなかったからというのと)美琴を決して恨んだりしてないから。

幼い姉妹に「姉というのは妹のわがままを聞く義務がある」と言っていたのも可愛らしいです。
自分の精一杯の我儘を聞いて貰いたいが為という気持ちがあったのかなと思う。
今後も一緒に生きて欲しいという我儘。

事件後のこのようなお願いを出来たのも、全ては美琴に認めて貰えたからですね。
美琴のあの場でのあのセリフに、ミサカ妹は感動したのでしょうね。
全てのドラマが凝縮されたような素晴らしい表情。

敢えて表情を描かない2つの手法

表情を見せて、感情を表現するのとは反対に、敢えて表情を描かない手法もありますよね。
今回、これが2度使われていました。

1度目は一方通行。
上条さん渾身の一撃を喰らいながらの回想兼心象風景的映像。
ここに彼の「正義」が描かれていましたが、この回想内の一方通行の顔は、黒塗りでした。
唯一描かれていた口からでしか、表情を推し量れない。

2度目は、美琴。
ラストの上条さんに初めて「御坂」と名前で呼ばれた事が相当嬉しかったのでしょうね。
黒子のリアクションとセリフから、どんな表情をしていたのか推測するような描かれ方。
(これは原作からそうだったと思います。)

敢えて描かない演出的意図としては、視聴者の想像力に任せるというのがあると思います。
割と定番の演出ですしね。
例えば、美琴の「見た事も無い顔」。

顔を真っ赤にしているのか。
蕩けた様な甘甘な表情だったのか。
若しくは、嬉しいけれど、今までの妹達の事を想って、どこか切なさが混じったような複雑な表情だったのか…。
エトセトラエトセトラ。

見る人によって「こういう顔だったらいいな」という考えは違ってくると思います。
はっきりと描かれると、製作サイドに考えを決められちゃうという側面が出てきてしまいます。
そうじゃなくて、もっと自由に想像力を掻き立てて余韻を楽しんで欲しいという意図があるんではないかなと。

今回のレディオノイズ編を
「上条さんというヒーローに惚れた美琴の物語」
と見るか、はたまた
「最悪な実験の被害者にされた妹達とそれを救おうと奮闘する姉の悲壮なる戦いの物語」
として見るか…。
それ以外の物語として見るのか。
色々な見方が出来る様なシリーズでしたから、余計にこのような視聴者に委ねられた締め方はピッタリだなと感じました。


美琴の描かれない表情にはこんな意図があったんじゃないかと思いつつ、しかし、一方通行の方は少し違った気がします。
基本的には同じ理屈だとは思うのですが、描かなかったというより描けなかったという感じが強そう。

表向き「人形だから」という事で、妹達を殺しまくっていた一方通行。
その裏では、「皆と仲良くしたい」から誰も歯向かって来れない程の圧倒的な力を欲していた。
でも妹達はその過程の「具合の良い相手」に過ぎず、ここはどう美化しても正当化できない事かなと。

一方通行は、殺しや相手を傷つける行為を楽しんでいる訳では無く、そういう行為をしたくないから…というのは分かっても、妹達を「殺しても問題の無い人形」として相手してたのは事実。
勿論そう思いこまないとやってられなかったというのはあるんでしょうけれど。

単純な悪役では無く、ある意味美琴と似たような境遇だったと分かった反面、正当化できない殺人行為もしていた。
どんな表情をしてれば納得出来たのか、僕自身思い描けない。

悲劇の主人公然とした悲愴感溢れる顔とも違うし、殺人を楽しんでいるような悪役面はもっと違う。
美琴とは違った意味で描けない表情。
描かない方が良かった部分では無いかなと思うんです。
ニュアンスが微妙に違うだけだとは思いつつ、2つの描かれなかった表情の意図はちょっぴり違ったんじゃないかな。

終わりに

次回から新展開ですね。
予告を見る限り、次回はオリジナル?

特典小説は持ってるけれどまだ読んでない僕にとっては、ここからは全話オリジナルになりそう。
今までと違った意味で楽しみですね。