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「とある科学の超電磁砲S」 10話:美琴の帰りを妨げる上条さんという漢の残酷さ

この記事は

「とある科学の超電磁砲S」10話の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

展開知ってても、上条さん登場にはやっぱり泣きそうになる。
だって、彼は本当に「光」でしかないですもの。
どん底の暗闇に1人で放り出された美琴を唯一照らす事の出来る光。
彼女の笑顔が、それを雄弁に物語っている。

でも、上条さんのこのタイミングでの登場は、美琴にとっては物凄い皮肉になっていたとも感じました。
これは原作では感じなかった思い。
この感じ方の差が今回の唯一の原作とアニメの違いでしょうか。

上条さん登場

何度も何度も繰り返し語られる、「美琴の場所」。
彼女がホームとしているのは、黒子、初春、佐天。
更にはそこに春上も加わるのかもしれません。
そんな仲の良い・絆で結ばれた友人たちの輪の中です。
アニメで確立された、(少なくとも「妹編」の頃の)原作には無いホーム。
帰る場所。

自分一人では抱えられなくなった苦しみを癒してくれる場所。
そんな場所に「帰ろう」とする美琴の姿を描いていました。
これで、長かった苦しい時間は終わりを告げた…。
辛い妹達の死の瞬間や一方通行への恐怖などを回想させ、その後に黒子達の暖かな台詞を持ってきた意図としては、こんな感じなのだと思うのですね。

上条さんと出会ってなければ、このまま本当に終わっていてもオカシクナイような演出。

でも、上条さんと出会ってしまった。
ホームに帰る前に、黒子ら「ホーム以外の人物」に出会ってしまった。

地獄はまだまだ終わっていないよと暗に告げている様で、美琴にとっては辛い出会いにも思えるシーンになっていたな〜と。
実際終わって無い事は僕らには分かりきってはいるんですけれどね。
原作には無かった見方が演出されていて、上条さんに残酷さが少しだけ見て取れましたもの。
相変わらずニクイ兄さんです。

他の見方としては、「美琴のホームは、黒子達以外にもあるんですよ」という事でしょうか。
結局美琴が胸の裡を曝け出せる相手は、黒子達では無いんですよね。
それは、既にはっきりと描かれている事実で、だからこのまま黒子らの元に戻っても、彼女の気が完全に晴れる事は無かったんじゃないかなと。

美琴が抱え込んだ苦悩を全て吐露できる唯一の人物。
それが上条さんで、そういった意味では、彼もまた美琴にとっての「帰る場所」。

今回の流れでの上条さんとの出会いは、そんな2つの意味合いが見て取れました。
さて。上条さんトークはここら辺にして、あとは次回以降にします。
以降は、今回のサブタイトル「原子崩し」こと麦野について書いてみます。

麦野が勝てなかった理由

学園都市第4位の実力者である麦野。
ランキングこそ美琴より1つ下ですが、潜り抜けた修羅場の数・実戦の回数は、美琴を大きく引き離していると思われます。
美琴が色んな相手と戦うようになるのは、主にこれからですしね。

その分、若しかしたら麦野の方が美琴よりも実戦では上かもしれません。
普通にやれば勝てた可能性がある。
けれど、負けてしまったのは何故か?
どう考えても、彼女の性格に問題がありますよねw

他者を常に下に見ていたから。
これが最大の敗因でしょうかね。

そこでフレンダを引き合いに出して、美琴と麦野を比較してみます。
フレンダをどう見ていたか?

美琴。
フレンダを「認めていた」形ですよね。
手強い厄介な相手として、フレンダの事を認めていた。

彼女ならば、きっとこうしている筈。
あそこにも罠を張っている筈。

ちょっとした信頼を寄せていたように見えました。
アバンで爆弾人形を1体見つけた時も、まだまだ設置してあると信じたでしょうし。
麦野から逃げる際も、必ず導火線が引かれている筈と信じた。
敵を信じた訳です。

一方の麦野は言わずもがな。
自分の仲間なのに、失策ばかりを責めたて、フレンダの事を見ていませんでした。
美琴とは比べるべくも無く、フレンダの戦闘法や性格を熟知していなければならないのに、全くその辺考慮していなかった。

フレンダの戦闘手段をどう活用されようと、自分ならば楽に対処できる位に思っていたのかもですよね。
普段から。
仲間のフレンダすら常に見下していたように思えてなりません。

これがそのまんま結果に出てしまったように映った戦いでした。

麦野が"生き残った事"は重要

これはとっても重要。
今回のアイテム戦。
アイテム側は美琴をやっつけようと躍起になってましたけれど、美琴にしたら全然違いました。
厄介な邪魔者位の認識で、「目的さえ達成できれば、相手から逃げても問題無い」という考えで常に行動していました。
必ずしも倒す必要は無かった訳で。

特に死なせるような事は今回特に・特にしたくなかったと思うんですよね。
敵対者とはいえ、自分の蒔いた種に関わった人間にはこれ以上命を落として欲しくなかったと考えていたんじゃないかなと思うから。

落ち行く麦野を助け出そうとした美琴。
美琴ならば、どんな時であろうと助け舟は出したと思うけれど、今回に限ってはそんな本来の優しさからくる行為よりも、「自分のせいで死んで欲しくない」という気持ちの方が強かったように見えました。

だから、麦野が生きていて誰よりもホッとしたのは、命を狙われた美琴だったのかもです。
もし麦野がこの戦いで命を落としていたら、それこそ美琴の心が壊れていた可能性だってありそう。

そんな訳で、布束の生死がすんごく気になるんですよ。
一体彼女はどうなっちゃったんでしょう。
五体満足で居て欲しいです。

終わりに

ここまで来ると、いよいよこのシリーズもクライマックス!!という感じですね。
その後、やはりまだ話数が残りそうなので、オリジナルが来るのか。
はたまた以前コメントで頂いた様な「学芸都市編」が来るのか…。
いや〜気になる。

その前に、多分上条さんの漢気に爆泣きする事になると思いますがw
(原作読んでいる時は泣いたw)