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「ちはやふる2」 太一VS佐々戦に集約された「競技かるた」の強さの描き方

この記事は

「ちはやふる2」の考察?記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

似たような論考の多い当ブログ。
今回も同じような事を言ってみます。
という事で今回はアニメ「ちはやふる2」。

いや〜マジで面白いですね。
1期も最高でしたが、2期も引き続き素晴らしいという言葉しか出て来ません。
熱いドラマとコミカルな笑いが絶妙のバランスで配されていて、飽きが来ないのが強いですね。
あっという間に30分が過ぎていきます。

そんな傑作アニメの第4首「ひつにはつげよ あまのつりぶね」を先日視聴しました。
えと。全然リアルタイム視聴出来ていないのは仕様です(汗
なかなか見る時間が取れず、2,3週遅れで録画分を再生しておりまして…。

まあ、だから今更第4首を視聴したのですけれど、もうこれが絶品。
部長として部員を牽引してきた太一にスポットが当たった回ですね。
白波会の先輩であり、「格上」の選手である坪口さんが顧問を務める朋鳴高校かるた部の部員・佐々鈴香と太一の試合。

これがもうね、この作品の「かるたの見せ方」を凝縮したような素晴らしい試合だったのです。

競技かるたの強さとは

競技かるたの強い・弱い。
正直に言えば、競技をした事のない僕からすれば理解不能な事。
何を以て強いと言うのかが分からないというのが本音です。
しかし、そこはこの作品を視聴する事で少しずつ理解出来てきてはいます。

強さ…先ず思いつくのが速さですね。
これはお正月のニュース番組で時折取り上げられる競技かるた大会の映像を見ても、察する事の出来る部分。
一番分かりやすい部分ですよね。

あっという間。刹那の瞬間に取札を取りに行く素早さは、強さの一つと言えます。

もう一つが、太一最大の武器である記憶力。
百首覚える事は勿論、どの札が詠まれたのかまで把握し、場に並べられた札の位置から決まり字まで、兎に角全てを暗記する。
佐々の敗因となった部分であり、これも作中で描かれていた事なので、分かりやすい。

速さというのは、「単純な腕の振りの速さ」は当然として、「読手が札を詠み始めた瞬間から動き出すまでの速さ」もあって、太一の速さは、後者に因る所が大きいのでしょうね。
記憶しているからこそ、誰よりも早く動きだせて、そこに腕の振りの速さが加わっていく。

とまあ、こんな事は以前も何度か書いたことがある気がします。
今回の試合は、この一歩先を行っていたかなと。

独特なルールを利用した強さの表現

競技かるたのルールの一つに、「取札が含まれていれば、何枚弾いてもOK」というのがあります。
これは、作中でも説明がありました。
結構独特のルールに思えるのです。

例えば、遊びでカルタをやった場合。
詠札と違う取札に触れてしまった場合、お手つきとしてミスした子にはペナルティが課せられちゃいます。

勿論競技かるたにもお手つきがありますが、こんな単純なルールでは無く、もう少し込み入っています。
取札以外に触れたから、即お手つき…という訳では無く、上記の場合もOKなようです。

きちんと詳しいルールを抜粋させて頂きます。

競技かるた(百人一首)のルール
(2)おてつき

 まず、自陣の札が読まれた場合に、自陣にある他の札をさわってもおてつきにはならない。
同様に、相手陣の札が読まれた場合に、相手陣にある他の札をさわってもおてつきにはならない。
 だから、はらい手の取り方では、取ろうとする札の近くの札も一緒にはらってしまうことがあるが、これはおてつきにはならない。
 おてつきとなるのは次のケースである。
A.自陣にある札が読まれたのに、相手陣にある札に触れてしまった。
B.相手陣にある札が読まれたのに、自陣にある札に触れてしまった。
C.空札が読まれたのに、相手陣にある札に触れてしまった。
D.空札が読まれたのに、自陣にある札に触れてしまった。

試合終盤、佐々さんの取った戦略はとても合法的なのですよね。
空札と太一側の札が詠まれない場合は、全て自陣に札がある事になるので、その自陣の札を全て払えばいいのですから。

この時点では、太一が枚数的に有利とはいえ、結構不利な状況であったかなと。
太一も当然佐々側の札が詠まれた時に、佐々側の札全てを払っちゃえばいいのですが、距離的にはやはり不利ですからね。

それでも太一が勝ったのは、上にも書いたように記憶力で圧倒的に勝っていた事。それによる始動の速さに因ります。
そして、凄かったのが、佐々側の札を全て払わずに取札のみをピンポイントで取った点。
ただ単純に全てを払うよりも、ずっと凄い事。
しかも敵陣にある札を取った。
佐々が「自分の札を全て払えばいいや」と待ち構えているにも関わらず…です。

これ、太一と佐々の実力差を明瞭にしていた点かなと。

とはいえですね、ピンポイントで取札のみを高速で取りに行くというのは、既に作中で描かれていた事ではあります。
クイーン・若宮詩暢の得意としてた取り方ですね。

だから、この試合での太一の描き方が殊更新しかった訳では無いのですが…。
それでも、競技かるたの強さの描き方の全てを集約したような試合だったなと思うのです。

まとめ

競技かるたの強さ。
記憶力・速さ、そして正確さ。
全てを詰め込んだ太一と佐々の試合。

非常に分かりやすく描かれていて、競技かるたに於ける強いとはどういう事なのかが分かる試合だったな〜と。
強さの表現として他にも千早の耳の良さとかも描かれていますけれど、そういう特殊能力的な物では無く、誰でも習得できる点という意味でも、理解しやすく分かりやすいですね。