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アニメ、漫画の感想・考察

「スタードライバー THE MOVIE」 最終回後の物語に思いを馳せる

この記事は

「スタードライバー THE MOVIE」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

感想「どのような総集編だったのか」

先ずは感想から。
と言いましても、基本的には総集編であるので、物語に関して事細かに感想を述べる事は今回はパスして…。
「どんな総集編だったのか」について、思った事をつらつらと。

今作を形作る上で最も大きな要素は何かといえば、僕は青春劇にあると思っております。
タクト、ワコ、スガタ。男女3人の友情と愛情を中心とした青春群像劇が"骨"ではないでしょうか。
とはいえ、そんじょそこらの普通の青春では無く、サイバディを使ったロボットバトルを並行して進めるという特殊な青春ですけれども。
そこに「巫女達の悲劇のドラマ」や「タクトの物語」等の"肉"を付け足し、「サイバディとは何か?」・「綺羅星十字団とは?」等作品を彩る謎という名の"服"を着せている。

これらの要素が混然一体となって「スタードライバー 輝きのタクト」というTVアニメシリーズが出来ていたと解釈します。

この作品を劇場アニメ化したのが今作です。
シリーズ全25話・約550分を150分に凝縮する作業で、切り落とされた部分はどこかといえば、真っ先に"服"が脱がされていました。
この映画で"作中の謎にスポットが当たるような部分"は悉くカットされていたのです。
だから、TVシリーズ視聴時に覚えていた作品に対する疑問。
特にシリーズ序盤に思っていた「理解出来なくてついていけない」感はゼロでした。
これは、僕が既にTVシリーズを視聴し終え、物語の全体像を把握しているからという事実を差っ引いても、分かり易い物語に構成されていたと感じます。
分かりやすくなった分、物語にやや奥行きが無くなった事もまた事実かとは思いますが、150分という短時間(映画1本の上映時間としては長い方ですが、TVシリーズを考えると短い)の作品としては、致し方ない事だったかなと。
これはもうTVシリーズをきちっと見直してくださいという事なのでしょうね。

んで、"服"を脱がせただけでも、まだまだでっぷりとしている。
もっとスリム化させる必要があります。
そこで、"肉"であるキャラのドラマ部分を極限まで削ぎ落としておりました。
ストーリー進行上どうしても必要となってくる4人の巫女達のドラマを中心に残して、他は結構バッサリいっていたかな。
特に主人公であるタクトのドラマパートは本当に最小限でしたね。
トキオの過去とか綺麗さっぱり落とされていて、父子の確執という部分も殆ど描かれずでした。
巫女関連でも、マリノのドラマパートもほぼカットされており、メインストーリーを進める上で無くても支障の無い部分の削ぎ落としという点では徹底しておりました。

こうして、"骨"とストーリー進行上必要最低限の"肉"が残りました。
結果、タクト達3人の青春劇という作品の顔とでも呼べる面がTVシリーズ以上に分かりやすく前面に出ていたかなと思いますね。

このような点を好きで視聴していたファンにとっては、満足行く劇場版。
逆にそうでは無い、今回削ぎ落とされた部分が目当てで視聴していたファンには、ややがっかりな出来だったのかもしれません。

個人的には、割と満足しております。
上映時間が長かったり、やや間延び間はどうしても感じましたけれど。
それでも満足した。
何故か?
「最終回のその後の物語が語られたから」ですね。

最終回後の物語

御存知の通りTVシリーズでは、タクトがザメクを破壊して、スガタを救い出したシーンで終わっております。
ラストに字幕で「人生という冒険は続く」とあり、彼らのその後がこれまで通り続く事は示唆されてましたが、映像は無し。
やっぱり映像で見たかったのです。

それが今回新規カットという形で初の映像化。
これが嬉しかった。

主な新規シーンは3つ。(だと思う…)
一つは冒頭の新宿での市街戦。二つ目は中盤の島での3人の一日。
三つ目が、エンディングロール中の街中で再開するタクトや巫女達。
(ミズノのシーンや、終盤の「与えられた役を演じるのが」とスガタが呟く昼食シーン等、細かい点で描き下されたりしてますが)

二つ目は、作品の"骨"の更なる強化ですね。
楽しそうな3人の姿を新しく描く事で、青春劇としての側面を強めていました。

残りの市街戦と再会に関して、妄想含めて書いていきます。

最終回後の世界はどうなったのか。
ここから考えてみると、一つ確かなのは綺羅星十字団は滅んでいないという事ですね。

終盤タクトに加勢したカナコら主要メンバーは、恐らく十字団を抜けたかしたと思うのです。
そもそも彼らにサイバディを使って世界をどうこうしたいという「悪者」としての野望は無かったですし。
仮に抜けていないとしても、サイバディを悪用する事が無いよう取り締まる組織として運用している気がします。

ただ、そうじゃない連中も当然含まれていそうだという事はトキオの件からも明らか。
そういうサイバディを悪用し、世界を手に入れたいとか考えている連中が、サイバディを使って悪さをし始めた…と考えるのがスマートそうです。

最終回後の世界は、ワコの封印が解除された事で、現実世界に進出する事が可能となったサイバディを使って悪事を働く連中が出てきたという事ですね。
南十字島から出て、その侵攻は本土にまで波及。最早誰もがサイバディの存在を知る世界になったのかなと。

そんな連中から町を・国を・星を守るために、タクト達が奔走しているのでしょうね。
島から出ても、彼らの送っている生活は、本当に同じだったようで、微笑ましいような物騒なようなw
まあ、サイバディとの戦いを含めて彼らの青春なので、実に微笑ましいという観方で正解な気がします。

島の呪いから解き放たれて、晴れて自由となったスガタと4人の巫女+マリノ。
悪人達から町を守る戦いを通じて、自然に合流したのかもですね。
彼らが仲睦まじく楽しそうに笑いあうというラストは、台詞など無くとも素晴らしいシーンに映りました。

最終回後の彼らの描写は、時間にすれば非常に少なかった。
けれど、短いながらも色々と楽しい日々が送れている事が想像できるようになっていて。
これが観れただけで、僕は満足だったのです。

まとめ

とはいえ、完全にファンムービーです。
上手い具合に編集されているとはいえ、TVシリーズ未見だとやや苦しい事は確か。
上映館数も少ない事から、興行的には苦戦を強いられそうですが、ファンならば一度は見てみても良いかもしれません。
特に、僕のように最終回後の彼らに出会いたいと思っているのならば。