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「とある科学の超電磁砲」第1期は誰が為の物語だったか

この記事は

TVアニメ「とある科学の超電磁砲」の考察記事です。
1期のネタバレがありますのでご注意下さいませ。

はじめに

1カ月くらい温存しておいたネタですけれど、温存しすぎると腐るので、そろそろ出します。
ネタ切れ気味なのでw

TVアニメ「とある科学の超電磁砲」の第2期「とある科学の超電磁砲S」の放送が4月から始まる事が先日公表されました〜。
予想では秋からかなと思っていましたので、これは驚きのニュースでありましたが…。
この場で、改めて1期に関して振り返ってみたいと思います。

というのも、去年末の「電撃アニメ祭 銀幕編」で、第1期を見返した事が切欠でした。
さて。
第1期は、誰の物語だったのか?
作品としての位置づけはどうだったのか?
これについての持論を書いていきます。

「レベルアッパー編」の主人公は誰か?

第1期の物語を振り返ってみます。
前半は、基本的には原作コミック準拠の「レベルアッパー編」。

使った人間のレベルが上がるという噂の幻想御手。
媒体真偽、入手ルート不明のこの都市伝説の解決に美琴達が乗りだすというのが前半の大きな物語でした。

さて、この前半部分の"主役"は誰だったのか。
僕は、佐天だと思っております。

ここで、原作漫画版に話を移します。
原作では、1〜3巻に相当するこの長編エピソードですが、位置づけ的には「美琴の紹介編」なんですよね。
「とある魔術の禁書目録」のスピンオフに当たる今作ですが、「禁書を知らなくても読める」作りになっていると思うのです。
そこで重要になってくるのが、美琴という少女がどんな子なのかを紹介する事ですね。
その過程で、"学園都市の暗部"も描いていると思うのですが、それについては後述。

とかく、美琴を描く事が重要なエピソードであり、それ以上でもそれ以下でも無い言わば「本編の前の序章」的なお話なのだと思っております。
なんたって、今作で描きたかったのは4巻からの「絶対能力進化(レベル6シフト)実験編」ですからね。
「禁書」第3エピソードである「欠陥電気編」を美琴視点で描く事が、この漫画の当初の目的だった(と思う)。
必然、その前のエピソードは、序章的な位置づけになりますよね。

アニメでは、この「美琴を描く事」が強調されており、その為に全面に出されたのが佐天だったと思っています。
原作コミックでは、佐天の出番って実は物凄く少ないんですよね。
「レベルアッパー編」以降殆ど出番がありません。
最近は、徐々に出番も増えてきましたけれど、少なくとも6巻くらいまでは出番があまりありませんでした。

そんな彼女に何故スポットが当たったのかと言えば、彼女が無能力者だからではないでしょうか。

1期では、原作コミックの物語を改変してまで1話から佐天を登場させ、徹底して彼女目線で物語を進めて行きました。
無能力者の佐天目線で美琴を映す事で、視聴者はより美琴の凄さを感じる訳です。
僕等も無能力者(超能力の萌芽が望める佐天と「本当の意味で能力を持たない」僕等では、やはり違いがありますけれど)なので、佐天の気持ちに感情移入しやすいという利点もあります。

物語そのものも、美琴はヒーローとして描かれていました。
思い悩むという面は最低限に、友人のピンチに颯爽と現れて、その強大な力を以て敵を薙ぎ倒し、颯爽と去っていく正義のヒーロー。
反して、このエピソードを通して成長が描かれていたのは、佐天さんなんですよね。

レベル0=落ちこぼれの烙印を押され、それでも親の期待やらに応えたいがために禁忌の手法に手を出してしまい…。
一時的な能力を得られたものの、後悔と苦悩のままに罰を受けて。
友人に救われ、自分の能力を受け入れて、それでも前を向く。

こういったドラマ面を主に担当していたのが佐天でした。

こうして前半部分は、第三者から見た「美琴の紹介」に徹底していたと考えます。
言うなれば、「佐天さんの物語」だったのが「レベルアッパー編」ですね。

ポルターガイスト編の主人公は?

さて後半。
多少不要だったかなと思う小さなエピソードが散見されたものの、原作を進める事が出来ない以上、取る手段は一つしかなかったのかもしれません。
原作・鎌池先生監修によるオリジナルエピソード「乱雑開放(ポルターガイスト)編」を中心に据えられておりました。
具体的には、「レベルアッパー編」の後始末的なエピソードですね。
「レベルアッパー編」の黒幕である木山を救済するお話がメインとなっておりました。

個人的には、このエピソード大好きなんですよ。
原作コミックでは、結局子供達がどうなったのかは描かれずに終わりました。
やっぱり気になるじゃないですか。で、出来れば助かって幸せになって欲しいと思って。
しかし、コミックの主眼は前述通り、美琴視点による「欠陥電気編」です。
「木山の物語」をこれ以上続けるのは蛇足だったのでしょう。
だから、語られなかったエピソードで、それを語ってくれた1期後半には大満足したのです。
その結末まで含めて。いや〜本気で泣きましたもの、当時はw

話が逸れましたが、この後半の"主役"はというと、今度は初春になるのかなと。
初春視点で話を転がしていって、美琴を事件の核心へと巻き込んで行った。

内面描写も初春が中心だったかな。
ただ、これについては、異論もあるかなと思います。
黒子や佐天も活躍していましたし、美琴もきっちりと成長のようなものを見せていましたし。
なにより1期全体を通して見れば「木山の物語」でありましたからね。
なので、色々な捉え方が可能だとは思うのですが、ただ、僕は少なくとも「美琴の物語」では無かったと考えます。

上にも書いたように「美琴の物語」とする見方もアリかと。
確かに独りで突っ走って返り討ちに合ってしまった美琴が佐天に叱咤され、友人に頼る事に気付くというドラマがありましたので。
これを以て「美琴の物語」だったと見做す事も可能かもしれません。
けれど、これは「美琴を主人公たらしめる為のスパイス」というか。
寧ろこれだけというか。
割合的に言えば、ずっと小さい。

やはり後半に入っても美琴は「事件を解決する為だけに現れるヒーロー」なんですよね。
後半は元より、1期全体を見ても美琴以外のキャラの視点で常に描かれていた。
僕はそう捉えていて、で、これがとっても重要な事だったと考えます。

美琴以外のキャラの視点で描くという共通項

何度も書きますけれど、原作コミックに於ける「レベルアッパー編」は序章です。
物語の本当に描きたい部分では無い。
1期は、この「序章を膨らませたシリーズ」だったんではないかなと。

美琴以外のキャラの視点で物語を描く事に徹底していたのは、その為。
1期の前半も後半も「美琴の物語」にはなっていない。だから、芯が通っているんですよね。

一見すると「少女たちの日常と友情」が目立ちますけれど、これも佐天が全面に押し出された副次的な産物だったのかなと。
原作コミックでは、1期ほどこの面が描かれている訳ではありませんしね。
(現在連載中のエピソードは除く)

こうして見てみると、1期は「2期があって初めて成り立つシリーズ」とも言えるんじゃないかなと。
本章が有って、初めて序章は成りえますからね。
だから、他のアニメの1期と2期の関係とは、今作は少し違うかなと。
どちらかというと分割ものに近い関係でしょうかね。
2期ではいよいよ「美琴の物語」である本章が描かれますから。

2期への布石

さてもう一つ。
1期で描かれていた"学園都市の暗部"。
24話使って強く印象に残ったのは、「レベル6への飽くなき執念」でしょうか。
後半の黒幕であるテレスティーナと全ての元凶である木原らが、どんな犠牲を払おうとも前人未到のレベル6を誕生させるべく暗躍している様が描かれていました。

原作コミックで木原から美琴に伝えられた「妹達を使ったレベル6シフト計画」への布石。
アニメではカットされたセリフですが、このセリフを補って余りある布石となっていたかなと思いますね。

これも第2期で意味を持ってくる部分。

まとめ

美琴が真の意味で主役となる第2期。
そんな第2期を描く為に1期の全ては存在していたのではないでしょうかね。

原作のコミックを読んでいても、すっげぇ楽しみだったりします。
絶望の中で射した一条の光には、漫画読みつつ号泣でしたから(…気持ち悪い程に泣きすぎやな、自分…)。
ここら辺、アニメではもっともっと感動的に演出してくれることを望みつつ、長井龍雪監督ならば間違いなく予想以上のものを見せて下さると安心もしつつ。
4月からの放送が本当に楽しみで仕方ありません。

そうそう。
個人的には出番の少ない(というかほぼ無い)佐天さんがどう扱われるのかが気になりますけれど…。
1期の地続きで、ある程度の友情エピはオリジナルで混ぜて来そうなので、それも楽しみにしておきたいですね。



書いてみて思ったのですが、頭の中で考えていたのよりずっとしょぼい記事になりました(汗
ま、まあ、こんなものですよ、僕の考えなんてw