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アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

ブラコンである事を物語決着の阻害要因としている「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」は深い

この記事は

「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」の考察記事です。
アニメだけのファンにはネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

原作ラノベ「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」1巻購入。読了しました。
そこで、改めて「衝撃の事実」を確認した訳ですが。
うん。漸くにしてこの作品に横たわっていた「疑問点」が解消出来た思いです。
スッキリしました。

という事で、その「疑問点」について書きます。
この作品が抱え込んでいた(と勝手に分析していた)主人公・秋人の「解せぬ言動」に関してであります。

尚、この記事は原作既読者向けとなっております。
アニメでしか作品に触れていない方にとっては重大なネタバレを含みます事を先に記しておきます。

過去の汚点を反省する

wikipediaは怖い所です。
うっかりと足を踏み入れたが最後。
何十・何百…いや、数を与えるのがバカバカしくなるほど無数のリンクが張り巡らされ、あっという間に「知識・データの迷宮」に誘われてしまうのですから。
刹那の如く大事な時間を奪われてしまう恐ろしい場所です。

でも、本当に恐ろしい所はそんな事じゃありません。
簡単にネタバレにあってしまう点ですね。
よく、本当によく僕はwikipediaでネタバレされているのです。
ま、これは僕自身が迂闊なだけなので、wikipediaの悪い点とは言わないですけれど。

さて。
そんな訳で、原作を読む前から僕は「秋人と秋子に血の繋がりが無い事」を知ってしまっていたりしました。
その上で「桐乃・奈緒・雅・秋子 "妹モノ"アニメ最強変態ヒロイン決定戦〜何故妹は変態なのか?〜」なんて記事を白々しくも書いていたのですから、自分でも嫌になります。
ホント、この記事は酷いモノです。
秋子が実妹(本妹と書くべきかw)で無い事を知っておきながら、実妹の体で記事を書いていたのですから。
もうね、書きながら、もんどり打ちそうなくらい悩みまくったのですよ。
記事の結論として「秋子が最も変態である」という事にしたかったのだけれど、どうしても上記の真実を知っていた手前出来なかった。
結果として、「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」の奈緒と"同着"という形でお茶を濁したわけです。

が、ここで改めて書かせて頂きます。
これは間違いです。
奈緒がブッチギリで変態なのですよ。

秋子は、寧ろ普通と呼んでもいいかもしれない。
何故か?
理由としては、実妹かどうかがやはり大きいのです。

兄が好きなのか。「兄」という関係性が好きなのか。

奈緒は、兄との関係を知っているのです。
「今まで実の兄妹と思っていたのに、そうではなく赤の他人であった」という現実を受け入れた上で、それでも兄を兄として変態行為を続けている。
換言すれば、奈緒は兄貴を「兄だからという理由だけで好いていた訳ではない」という事ですね。
本当の意味で兄を一人の異性として愛していた。
だから、例え事実がどうあれ、兄との仲を知る前後で態度や感情なんかを一切変えなかった。

これが、彼女が本物の変態たる由縁です。


では、秋子の場合はどうだろうか?
僕は現在2巻の冒頭を読んでいる段階です。
彼女がいつ、どの段階で秋人との真の関係を知ることとなるのかは定かではありません。
しかし、僕は"物語の構造上、最後の最後まで秋子がその真実を知ることが無い"と踏んでいます。
寧ろ、それを知ったが最後。物語はいっきに終局へと転がっていくんではないかとすら思っているのです。
だから、作品が終盤に差し掛かっていないだろう現状では、最新刊に於いてもまだ知らないんじゃないでしょうかね。
ただの憶測ですが。
流石にここまでの事はwikipediaにも書かれていないので、全然知らんのです。
(自分で原作を読み進めるまで、ネタバレにはあいたくないので、子細にwikipediaを見ていません。若しかしたらどこかに書いてあるのかも)

その上で…ですが、秋子が真実を知った時の反応を考察してみたのです。
恐らく、彼女は秋人へのアタックを止めてしまうんではないかなと。

そう思う理由としては2つあります。
1つは、アニメ版からの印象。

秋子って秋人が絡まないと、本当にただの常識人なのですよね。
影が薄いと言っても良いかもしれない。
折り目正しい常識人で、見た目も言動も一般的な"お嬢様"。
そんな描写がいたる場面で見受けられるのです。

根が常識人だから、真実を知ったら秋人に対する変態行為も無くなる気がするのです。
「変態行為」と言っても、「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」というタイトル宜しくな言動を取っているだけなので、可愛らしいモノなのですが。

そんで2つ目の理由が重要。
これが作品の根幹であり、また、秋人の不可解な言動の理由ともなっているんじゃないかと思うのです。

先程、奈緒は兄を「他人だとしても愛している」としました。
が、秋子は違うよね?というお話です。

ブラコンという問題

アニメでも同様のセリフがありましたが、原作2巻冒頭にこの作品の全てと言っても差支えないんではないかと思える超重要な会話があります。
抜粋します。
青文字が秋人。赤字が秋子のセリフです。

「でもさ、ブラコンだと子孫をちゃんと残せないじゃん。近親者同士での血の配合が子孫を残す上で障害になるのは、歴史的にも科学的にも証明されてるよね?」
「そこです!まさにそこなんです!」
「箸を握りながら拳を振るうな。お行儀の悪い」
「そのタブーこそが、いよいよ恋心を燃え上がらせるんですよ!」
(中略)
「でも不幸だなんてとんでもない!みんなは知らないんです、お兄ちゃんを愛するわたしが日々どれほどの幸福を享受しているかを!血のつながったお兄ちゃんをひとりの異性として慕うわたしが、いかに輝ける人生を送っているかを!」
「……それって別にさ、僕が相手じゃなくてもよかったんじゃない?血がつながってない相手を好きになったって、幸せの度合いは同じでしょ?」
「いいえちがいます!背徳に満ちた、しかしそれゆえにこそ味わえる至福!そもそもひとつとて障害のない恋愛に、いったい誰が魅力など覚えましょうか!?否、覚えません断じて」

ここのやりとりにこの作品のやりたい事。やらなければならない事が凝縮していると思うのですね。

アニメ見ていても感じていましたが、秋子って「ブラコンであること」に異常なほど情念を燃やしているのです。
それはこのセリフにありありと現れています。
そうなると、当然芽吹く疑問としては「秋人が兄で無かったら、秋子は秋人を好きになったのか」どうかです。
これについても、秋子本人が答えを出しています。
間違いないです。彼女は秋人が兄だからこそ、好きになったのです。

非常に屈折しています。
これはもう秋人も薄々感づいていたのでしょうし、ここでハッキリと認識した事でしょう。
これが秋人の行動の不可解さを正当化しているのですよね。

秋人って、秋子の事を間違いなく好きですよね。
当然異性として。
アニメを見たり、1巻を読んでいて感じた僕の見解ですが。

秋人は秋子と血が繋がっていない事を知っている訳です。
なので、秋子からも迫ってくる以上は、それを受け入れてしまっても何の問題も無いわけです。
倫理観も常識的にも何ら問題ないのだから。
憚る事も拒否する理由も無い。

でも、それをしないのは、やっぱりオカシイ。

兄妹では無い事を知った上で、アニメだけを見ていると本当にオカシイ。
アニメだと2人の関係性に関しては、未だに伏せられています。
本当に何も知らない状態でアニメだけに触れている場合は問題ない。
実の兄妹として描かれている為、倫理的に秋人が襲わないという理由付けが出来るから。

んでも、この前までの僕のような特殊な状態にあったら、おかしく映るのです。
「血が繋がっていないのに、あそこまで拒否る理由って何だから分からない」となるから。
だから、しっかりと原作を読んだ上で、この「問題」が解消できて、個人的にスッキリしているのですが…。

原作1巻だけを読んだ印象だと、1巻の時点では「秋子とは実の兄妹だと周囲に思わせておく理由」があったのでしょう。
過去形で書きましたが、現在進行形で解決していない問題。
で、これは今後秋人が物語の中で解消しないといけない問題の1つになると思われます。
周囲に言えない秘密だから、秋人も「兄として」グッと堪えていると推測できます。

これに2巻以降、正確には上で抜粋した会話以降は、更なる問題も加わってきたわけです。
秋子がブラコンであるという問題が。

相手が兄ではないと恋愛も出来ない・しないと公言して憚らない様な妹の本音を聞いてしまった訳です。
秋人の内面は決して穏やかなものでは無かったんじゃないかな。
何れ「兄妹の秘密」に係わる諸問題を解消し、一人の異性として改めて秋子と…とか考えていても不思議では無かった矢先に、妹の性癖を知ってしまったのだから。
某ラノベの主人公の幻想をぶち壊しまくっている上条さんでは無いですけれど「不幸だ」が口癖になっても、誰も責められない程、秋人の現状は可哀相に思えてきます。
真実を告げた瞬間、ハイサヨナラでは悲し過ぎですし。

この作品の最大のクライマックスは、だからこそ、秋子が真実を知る場面になるんじゃないでしょうか。
それまでに、秋人としては「兄ではない自分」を好きになって貰わないといけないのです。

彼が「ブラコンはいけない」こと、「兄妹間の恋愛は有り得ない」という当たり前のことをきちっとした態度で秋子に示しているのも、その為なのかもしれません。
(1巻の頃はそんな意図無かった可能性が高いですが)

まとめ

ラブコメって、"作品を終わらせない工夫"が必ずといって良い程あったりしますよね。
特に主人公とメインヒロインが始めっから相思相愛状態だと。
この作品もそんな状態から始まっているから、終わらない様…つまりは、秋人と秋子が晴れてカップルにならない様な工夫が施されています。
それが、「秋子がブラコンだから」という事なのかなって。

普通に秋人を好いているのなら何の問題も無いのに、「兄だから」好きというのが大問題となっていて。
秋子は、兄というファクターが絡んで初めて変態妹になります。
それもこれも、兄と妹という関係性に魅力を感じ、その両者の恋愛が世間的にも倫理的にも禁忌扱いされているからこそ、です。

作品として、秋人のすべき目的として、この秋子の「アイデンティティ」をぶち壊す事が重要であり、全てになっていると予想します。

かなりお気楽な部類の作品かと思いきや、意外や意外、かなり大きく真面目なプロットが芯を貫いている作品と言えそうです。
兄好きという妹モノ共通の要素を逆手に取り、"兄好き(ブラコン)だからこそ、物語が決着しない"よう秋子の設定を落とし込んでいる今作は、凄く深い作品なのかもしれない。
それが分かっただけでも、原作を読んで良かったと思えました。