アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

スポーツ漫画は似通った作品になりがちだからこそ、特別なワンアイディアを持たせると強い

この記事は

「スポーツ漫画」に関する考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

なかなかに充実した休日を過ごしました。
漫喫に籠って野球漫画読みまくりというw

てなわけで、今回はスポーツ漫画に関する記事をば。

スポーツ漫画に感じる既視感

高校野球を題材とした漫画って、何作も読んでいると強烈な既視感に襲われる事。
ありませんでしょうか?
どこかで読んだことのある展開だな〜とか。

題材を同じとする漫画が昔っから山のように作られている上に、基本的な展開が似通ってしまうのですよね。
高校三年間。
甲子園出場(優勝)。
地区予選。
仲間集め。
ワードとして抜き出すだけで、有り体な物語がいくつも思い浮かぶかと思います。

高校野球に限らず、スポーツを題材にするとどうしても同じような状態に陥りやすいと思っております。
基本ストーリーが共通しているだけに、作品独自のオリジナリティを入れ込む事が難しいからですね。
高校野球など人気のスポーツになればなるほど当て嵌まる事。

そうなると、マイナーな競技だとそれだけでオリジナリティを入れ込んだ事となり、目立ちそうです。
実際それで目立って、そのまま成功まで収めたのが「SLAM DUNK」ですね。
当時は「バスケ漫画は当たらないから」と編集部から連載に猛反対されていたというのは有名な逸話。

このエピソードは極端な例としても、ただ、マイナーなスポーツ漫画は最初から敷居が高いのも事実です。
やっぱりスポーツ漫画って、事前にルールを知った上で読む方が楽ですしね。
何も知らないスポーツを題材としていると、余程何か読みたいと思える事が無いと、僕の場合進んで読まないかもです。
「SLAM DUNK」に対する当時の反応も、なんとなく分かる気もします。
マイナーな競技を扱った漫画には、そういう面も少なからずある気がするので、やはり一長一短かなと思います。
バスケがマイナーかどうかはさておき。

勿論、使い古された展開でも面白おかしくする作家さんはいっぱい居ますし、そういう作品はごまんとあります。
「展開に新鮮味が無いからツマラナイ」という短絡的な思考は良くありませんよね。
今日読んだ中では「ダイヤのA」とか、滅茶苦茶燃えましたもの。
この作品も高校野球をテーマとし、やはり王道的な展開でしたけれど、そんなの関係無く面白かったですし。

ただ、僕はこう思うのです。
「似通った作品になりがちな題材だからこそ、何かオリジナルのワンアイディアを持たせた作品は強い」と。
そのワンアイディアが、他と大きく区別できるものであればあるほど、それだけで注目に値するんじゃないでしょうか。

いくつか、僕が思う「特別なワンアイディア」を入れ込んだ作品について書いてみます。
どれもお馴染みの作品ばかりですがw

「おおきく振りかぶって」

高校野球繋がりで先ずはコレ。
超人気作過ぎて、本当に今更ですが。

高校野球に限らず、全ての野球漫画でピッチャーが主人公になるケースが多いのは何故か?
ふと疑問に思ったのですが、これについて僕なりの結論があります。
理由としては「最も目立つから」ですね。
言い換えれば、「最も試合中で描く事が出来るから」です。

ピッチャーというのは、先発ならば試合開始時からマウンドに上がります。
チームが守りの時は、交代しない限り「出ずっぱり」のポジションなんですよね。
ピッチャーが投げて、初めて試合が展開するので。

他のポジションはというと、守備機会なんて1回に1度あれば良い方です。
下手すると1試合の中でボールを処理する機会が1回とかでもおかしくない。

余談ですが、ライトに守備の下手な人間が入れられやすいのは、守備機会が確率的に最も低いとされているからですね。
右利きの多い日本人。
右打者がライトに流し打つ技術を持っている事って、プロならいざ知らずノンプロ(高校生)には少ないですし。
(右利きが必ずしも右打者になる訳では無いし、左バッターも普通に多いので、あくまでもそういう考え方があるというだけのお話ですが)

閑話休題。
野球は、極端に「描ける時間」がポジションによって違うのです。
だから、「描ける時間」が最も多いピッチャーをメインに据える事が多い。

また、攻撃の事を考えてみると、1人の選手が1試合に打者として出番を迎えるのは3回から5回程。
延長を含めればもう少し増えますが、せいぜいが7打席とかでしょうか。
ピッチャーの「活躍時間」には到底及ばないものの、派手な活躍を描きやすい事もあり、強打者が主役を張る漫画も少なくありません。

と、ここまでくると、野球ファンの方は違和感を持たれるかと思います。
守備機会が多い…試合で描ける量が最も多いのはピッチャーだけではありませんよね。
投手の女房であるキャッチャーだって、同じくらい活躍を描けるポジションです。

前置きが長くなりましたが、僕は「おおふり」は、キャッチャー漫画だと思っております。
三橋を主役とするなら、「真の主役」は阿部なんですよ。

というのも、三橋のキャラ設定がとことん「キャッチャーを活かすため」に見えるから。
思った事を言えないという性格は、キャッチャー主体のリードをしやすくしますし、三橋の特異な能力もそう。
「9分割で正確に投げ分けられる驚異的なコントロール」なんて、実際に存在したらキャッチャーが泣いて喜びますよ。

そんな訳で、どんな漫画よりも細かく配球というモノに着目した点が新しい。
キャッチャーが主役で、同じく配球についても描いていた「ドカベン」を想起させますが、それを更に細かく煮詰めたというイメージでしょうか。
三橋の能力以外は徹底して非現実的な漫画的超人要素を排除し、細かすぎる練習メニューや心理描写等をしっかりと濃密に描き出す事で、リアリティのある高校野球漫画になっています。

ここが多くの野球ファンや所謂「漫画読み」に受けたんですよね。
目新しかったから、いっきに注目を浴びて、今や大人気漫画です。

「グラゼニ」

今回漫喫で読んだ作品その2。
今作も最近人気ですよね。

最初の3話くらいまでしか時間的に読むことが出来なかったのですが、やはり今作にも「特別なワンアイディア」がしっかりと埋め込まれているんですよね。

ここまで「選手の年棒」に着目した作品は無かったんじゃないかな。
タイトル見るだけで、「これは新しい」と思えるアイディアですよね。

ただ、これって結構ナイーブな問題。
実際にプロ野球選手が契約の事で揉めたりすると「銭闘(せんとう)」と揶揄する人たちが居るくらいですし。
こういう「お金に関する執着」を嫌う層は確実に居る訳です。
というか、マスコミが使ってますしね、この言葉。別に揶揄とかではないのかもですが、そうとしか取れない使われかたされることが多いので。

でも、やっぱりそこは違うと思うのですよね。
作中でも描かれていた事ですが、プロスポーツ選手にとって年棒というのは、絶対的な評価基準の1つな訳です。
プロにまでなって競争の世界に身を置いている以上、誰よりも上に立ちたいと願うのは普通の事だし、その分かりやすい価値観として年棒が存在しているのは誰もが承知の事。
「お金が少ないから」揉めているのではなく「自分の価値観が低く見積もられたから」揉める。
プロにとってはそういう事だと思うから、我々ファンが揶揄するのはオカシナ話だと思うのです。
マスコミが揶揄するのはもっとオカシイのですよ。

この漫画は(描かれている内容の真偽は別として)、こういう「契約時に揉めている様を快く思っていない人達」に「そうじゃないんだよ」と思わせる事が出来たら勝ちな気がします。
作品が受けているのを見ると、そういう効果も実際にあるんじゃないかなとか思ったりします。

「GIANT KILLING」

野球と並ぶ人気競技であるサッカーに話題の矛先を向けてみます。
一番最初に思い浮かんだのが、この名作。
「弱いモノが強いモノを負かす」というのは、スポーツ漫画に於けるテーマの一つと言っていいかもしれません。
なので、「ジャイアントキリング」という要素そのものに斬新さは無い。
けれど、これを選手目線では無く監督目線で描いている事が新しかったと思うのですね。

確かに、サッカーに於ける監督というのは他競技と比べても頭一つ「責任感の重さ」という点で図抜けている気がします。
Jリーグや海外のプロクラブチームに目を転じても、監督の交代劇の多さは尋常じゃ無いですしね。
あまりサッカーに詳しくない僕からすると「そんな簡単に変えちゃうの?」と首を傾げる程、目まぐるしく首が挿げ替えられていっているように感じます。

まあ、僕が知らないだけでサッカーにとってはそれだけ監督というポジションは重要なのでしょう。
刻一刻と変わるグラウンドの状態を瞬時に把握し、指示を飛ばし、作戦を立て直す必要があるポジションでしょうから。
とはいえ、試合になると達海よりも選手の活躍しているシーンの方が多くなってはいますけれどもw
これは致し方ない部分ではありますよね。

初めてサッカー漫画でコミックスまで買っている作品。
それ程サッカー音痴にも響く物を持っていると確信してますし、「監督目線で描く」というアイディアは凄いモノだった気がします。

「1/11(じゅういちぶんのいち)」

「月刊ジャンプSQ」で第1部が完結したばかりの今作も、やはり新しい。
というか新し過ぎる作品です。

タイトルが示すように、今作はエピソード毎に主役を変える連作短編形式を取っております。
作品全体の主人公である安藤ソラに直接、ないしは間接的に関わる人物たち1人1人を取り上げ「彼らから見た安藤ソラの物語」を綴っている訳です。

これは、スポーツ漫画というか一種のドキュメント漫画として捉えた方が適格かもしれません。
それ程「スポーツ」要素(サッカー描写)の薄い作品ですから。
チームメイトからスカウト、果てはファンの子まで。
様々な立場の色々な人物にスポットを当てて、メインの主役の物語を描くって、非常に面白い試みです。
というか、スポーツ漫画としては斬新過ぎる設定ですよね。
これが「新し過ぎる」と感じる由縁です。

ただ、作品としては抜群に面白い訳です。
元々「SQ19」から本誌に"昇格"した作品ですし、僕同様「面白い」と思っている人も多いんでしょうね。

純粋なスポーツ漫画とは違うかもしれませんが、この作品もまた「特別なワンアイディア」を持ち合わせています。

まとめ

4作品ほど僕が思う「特別なワンアイディア」を持つスポーツ漫画をピックアップしました。
ただ、スポーツ漫画の歴史は古いです。
僕が知っている作品はその中でもほんの一握り程。
だから、この記事で上げた4作品の何れか・若しくは全てが「新しいアイディア」を取り込んだ作品とは言えないかもしれません。

とはいえ、これらの作品がこのようなアイディアを評価されているというのも事実です。

やはりスポーツ漫画には、殊更新しい要素が求められている気がします。
新しい要素を持ち合わせていれば、注目も集まりやすいんじゃないかなと。
勿論作品として面白くないと、その先には進めないのでしょうけれど。

似たような物語になりがちなジャンルだけに「オリジナリティ溢れるワンアイディア」の価値観は高いんじゃないでしょうか。