Mangaism

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「氷菓」・「愚者のエンドロール」編 最終推理!

この記事は

「氷菓」の推理記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

リベンジ!!という事で短く記事を書いていきます。(全然短く無かった…)
この2週、本編以外の情報の一切をシャットアウトしてきました。
昨日ツイッターのTL見てて、危うくしろくろさんの感想記事を開きかけましたが…w
そういう誘惑を全て振り払い、今回の記事の為だけに我慢しました。

という訳で僕の考えを書かせて頂きますね。
先ずは本論に入る前に前回の僕の推理の否定から入ります。
「氷菓」 密室トリックと入須に助言した人物の正体を徹底推理!!」という記事の中で、僕は「鍵がかかっているふりをした勝田が犯人」としました。

コメントにて神酒原さんからご指摘されましたが、確かにこれは無理です。
鍵を開ける時には先ず音がしますから。
この音があった時点で、僕の推理は間違っていました。

そしてこの記事内で一つ左手を切断した理由に関して言及しました。
実はこれが全ての疑問を解消する手がかりなのかもしれないと考えたのです。

推理

同じ記事のコメントにて、僕は以下のような推測を立てました。

出来上がった映像と脚本担当の「ほんごう」さんの頭の中にあった真相の間で決定的な齟齬が生じてしまったのではないかなと。
最早修正出来ない矛盾。
用意した「真相」を使えなくなってしまった。

僕はこの自論があっているのではないかと思っています。
で、決定的な齟齬というのが、左手切断なのではないでしょうか。

これについて深く考える前に、沢木口の推理に関して考えてみます。
彼女の推理が何故「作品に必要だったのか」…。
これも立派な伏線だったのではないか。
そう考えて、僕は「ミステリと一概に言っても、人によって解釈が違う」という点に着目しました。

沢木口が差し出した議事録を見る限り、「ミステリ」と聞いた大多数のクラスメイトは「殺人」と結び付けていたと推測できます。
凶器は何だだの、死ぬ人数を何人にするだの。議論の話題はそういった事でしたから。
色々と意見だけ出した上で、結論は本郷に一任としていた。

また、本郷はミステリ初心者。
参考にしたのも「シャーロック・ホームズ」という事でした。
ホームズと言うと、僕自身短編集を数冊読んだり、英国グラナダTV制作のTVドラマをDVDで何本か見た程度の知識ですが、殺人事件が非常に少なかったという印象です。

本郷がメモ書きに残していた印から今回の真相が見えて来そうですが、僕にはそれが出来ません。
なのでそっち方面の考察は無理なのですが、それでも一つ言えるのは「本郷はミステリと殺人を結び付けなかったのではないか」という事です。

これが撮影班との間に決定的な齟齬を生む原因となったのではないでしょうか。
本郷は休みがちという事もあり、その辺の意志疎通が十分できなかったのでしょうね。

本郷にとって今回のお話は「殺人事件」では無かった。
だから犯人はおろか、密室トリックなんてそもそも存在しない。

考えていた真相としては、海藤がザイルを使って何かしようとしていたとかではないでしょうか。
例えば。
上の階にザイルで登り、鴻巣に会いに行こうとしてた…とか。

この辺の細かい事までは分からないですが、兎も角その時事故にあって、自分の腕を切ってしまった。
ザイルの先端の鉤爪で引っ掻いてしまったとか、ガラスで切ってしまったとか。
何でも良い。何か些細な出来事があった。

ただ傷ついて倒れて気絶していただけだから、血糊の量も少量で良かった。
(若しくは、その傷が原因で事故死していたのかも。)

しかし撮影班はそこを派手にしてしまった。
殺人事件という認識で録っていたのだから、仕方の無い事だったと言えると思います。
海藤の腕を切断してしまったのです。

わざわざ小道具班が精巧な腕まで作って(笑)
かなりの試作と思われる物が教室にありましたので、本気で製作したのでしょうね。
この変更に伴って、血糊の量も多くした。

こうなると、海藤は事故では済まなくなりますよね。
あんな何も無い所で腕が切断されるほどの事故なんて不自然です。

そうして「犯人」が必要になってしまった。
2つの密室を破るトリックも作らざるを得なくなった。

スケジュールも切迫しており、今更「殺人のつもりはなかった」とも言えない。
かといって、出来上がった映像から犯人とトリックを考えることも出来なかった。

江波によると、本郷は責任感が強く、とても優しい子らしいです。
今更本当の事を言って、周りを困らせたくなかった。
何も悪くない小道具班を、撮影班を責められない。
悪いのは、真相を事前に伝えていなかった自分の責任。

そう考えた本郷は入須に助けを求め、入須もまた奉太郎に望みを託した。
本郷に真相を聞けない理由。
奉太郎が駆り出された真意。
全てはこういう事があったんじゃないかなという推測です。

だから、今回奉太郎が「作った真相」…カメラマンが犯人で7人目の登場人物というのは、入須にとっては本当に感謝してもしきれない位のものだったに違いないです。
映像に矛盾する事の無い、しかもとびっきり驚ける真相だったのだから。

余談ですが、このような「語り部、若しくは読者を犯人に仕立てる」トリック。
実際の推理小説でも何作か事例があったと思います。
読んだ事こそ無いのですが、そういう小説が存在する事を何かの本で読んだことがあります。
…今考えると、とんでもないネタバレですけれどもw

TVでもあったんですよね。
久本雅美さん主演で、フジテレビの2時間枠で10年くらい前にやってました。
久本さん扮する女性が、殺人事件の謎を追求していくという形のミステリドラマでした。

新聞のラテ欄で「誰にも解けない究極のトリック」とか囃し立てて。
更には、これがあたかもシリーズものであるかのように「〇〇シリーズ第1弾」とも書かれてましたし、CMでも強調してました。
これ、全てトリックだったんですがw

だって、主人公である久本さん(がやっていた役)が殺人犯で、警察に捕まるというオチだったので。
新聞のラテ欄まで使って、この事実を隠ぺいするようにしていたとか、今考えると壮大な事をやっていましたよね。
おっと、どうでも良い事に脱線しました。

閑話休題。
えと、ちらっと触れた7人目の役者に関してですね。
う〜〜んと。
これって名探偵役だったんじゃないかなと。

探偵は遅れてやってくるもので、ホームズも事件が起きてから依頼人から依頼されて事件を解決するケースが多くあったように思います。
本郷の考えていた今回のお話も同様に、5人のうちの誰かが名探偵に依頼をするシーンがあったんじゃないかな?
で、話を聞いた探偵が、事件の真相を語ってお仕舞い。

そんな構想。
いや。これに関しては全く以て何の根拠も無いのですが…。

ただ、こう考えるとなんか面白いなと。
本郷の構想では出て来た名探偵。
しかし、実際にはハプニングが起こって不可能となってしまった。
そこに現実の名探偵である奉太郎が現れ「真相」を看破した。

ちょっとした皮肉めいたものを感じて、面白いと思ったのですが…。
はっきり言ってこの辺の細かい事は全く分かりません。

まとめ

実は全ての真相を江波は知っていたのではないかな。
本郷の親友を自称しているので、本人から「殺人では無いミステリ」である事を聞いていたのかもしれませんね。
でも、それを他の誰に言う訳でも無かった。
興味が無かったからわざわざ話さなかった。

今回の件で一番苦しんでいるのは本郷でも入須でも無くて、江波さんなのかもですね。

「私が本郷の真意を事前に皆に言っていれば…」
次回で「愚者のエンドロール」編終わりみたいですが、江波さんに救済があるのかどうか…。
そこに注目してみます。

って勝手に江波さんが全部知っていると決めつけてますがw