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バトル漫画のラスボス戦の重要性から読み解いてみる「BLEACH」のこれまでとこれから

この記事は

「BLEACH」に関する記事ですが、熱烈なファンの方には先に謝っておきます。ごめんなさい。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

連載も10年を超え、いよいよ最終章に突入した「BLEACH-ブリーチ-」。
今回はこの漫画を振り返ってみます。
と言ってもただ振り返るのではつまらないので、「バトル漫画」としての僕なりの観点で振り返ってみますね。
キーワードは「ボスキャラ」です。

死神代行篇

大きな章毎に思い返してみますと…最初は「死神代行篇」という事で、メインキャラの紹介をされていました。
主人公の一護が死神になるまでを描いた1話から織姫やチャドら、現在でも一護を支える仲間たちの登場と能力の解放が描かれていました。

この章のボスキャラというと、特に居ないのですが敢えて言うならグランドフィッシャーでしょうか?
一護の母の仇ですし、そういう意味ではボスに相応しかったのかもです。
が、結局は一護との戦いも引き分け。後の章で一心(一護の父)にあっさりと倒されてしまいましたし、まぁ小物と言えば小物。

ただ、この章にボスは不要なんですよね。
あくまでも序章の紹介編ですから。
問題はこの次からなんですが…。

その前に「ボスキャラをキーワードとしている理由」に関して、くどくど長々と書いていこうと思いますw

バトル漫画を中身を読まないで面白いかどうか判別する事は可能か?

出来ません!!

出来る訳無いです。この記事終了〜♪
するわけには流石にいかないので、それでも続けてみます。

でも実際そんな事出来ないですよね。
これは他人の評価をどれだけ見たって分かる事ではありませんので。
世間の評価と自分の価値観が全く同じなんてことは絶対に無いはず。
だから「世間で人気だから、自分が読んでも面白く感じる!」なんてことは必ずしもある訳無くて。
どんなに売れていようが、世間的に好評価だろうが、つまらないと感じる人だって当然いる。
逆に短期で打ち切られた作品にどんなものよりも愛情を注いでいる人だっている筈。

要するに自分で実際に読んでみなければ、作品が面白いかどうかなんて分かる訳もない。
わざわざ書く必要の無い程当たり前の事ですけれども、読まずに面白いかどうかを判断する事なんて不可能ですよね。

でも僕は作品が自分に合うかどうかは置いといて…。
「バトル漫画として世間一般の評価が高い作品かどうか」の見極めは、本編を読まなくてもおおよその判断は出来るんじゃないかなと思っています。
あくまでもおおよそとして…ですが。

そこで、バトル漫画で最も重要な事は何か考えてみます。
何が重要かなんていうのは、それこそ漫画の読み方に係わる部分な気がしますので、千差万別。
人によって変わってくると思います。
その一つの例として、僕は以前に何度も「パワーインフレ」に関する記事を書きました。
キャラの強さに説得力を持たせる事の重要性を書いてみたのですが、これを最重要視されている方だっているでしょうし、そうじゃない「どうでも良い」と思っている方だって当然居る筈で。

僕自身、何が重要なんだろうと頭を捻ってみても、考えが上手く纏まらない。
主人公のキャラだったり、上記の強さの説得力もそうだし、カタルシスが得られるかどうかというのもあるし。
色々浮かんできちゃう。

そんな色々ある中でも、敢えてやはりこれが重要かなと思うのが「敵ボスとのバトル」ですかね。
やっぱりこれが重要だと考えます。

バトル漫画の何が醍醐味かというと、憎たらしくて強い敵を主人公が爽快にやっつけてくれる点にあると思うのです。
その為には、敵には主人公に匹敵するほどの魅力が備わっていて然るべきだし、何より誰よりも強く居てもらいたい。

主人公をとことんまで追い込んで、瀕死の重傷なんか負わせて。
それでも主人公に負けてしまう。

となると、単純なバトルの分量が重要なんじゃないかなと思うのです。
分量と言うのは、話数(又はページ数)ですね。
ラスボスとの戦いにどれだけのページが割かれているのか。

一概には言えない事ですが、ページが多ければそれだけ内容が濃い(ラスボスが健闘している)という事ですし。
とはいえ、ページ数が少ないとダメという訳では無いです。
短いページ数でも濃密な戦いが描かれている事だってあるでしょうし、そうで無くとも短い分量で十分な事だってある。

では、ラスボス戦に相応しい分量というのはどう決まっていくのか。
自論ですが、そのシリーズ全体の分量に比例していれば良い気がします。

例えば、週刊連載で2年も3年もやっていた長編シリーズがあるとします。
読者としては、それだけ長期に渡って連載されたシリーズですから、相応のクライマックスを期待するわけです。
派手で熱いラスボス戦を熱望するんじゃないでしょうか。

そんな期待の中、ラスボス戦が僅か数週であっさりと終わってしまったらどうか?
…我ながら例えとしては難しいなw

う〜〜んと。
こうなった場合、やはりそれまでの過程がどうだったかで決まると思います。
同じ連載期間でも、話がテンポ良く進んでいて濃密な内容であったら、僅か数週での決着にも納得が行くと思います。

そうでは無く、(ラスボスに至るまでのシリーズの中身が)あまり内容が無くテンポも悪かったならば…。
相当ラスボス戦の内容が良くない限りは、僕は納得いかないかもしれない。多分納得しないと思う。
結局は、かなりテンポが良い漫画で無い限りは、長編シリーズのラスボス戦は、相応の分量であって欲しいと感じるんじゃないかと思うのですね。

最初の問いに戻ります。
「バトル漫画を中身を読まないで面白いかどうか判別する事が可能か?」
僕個人の考えとしては、これは不可能です。
不可能ですが、パラパラと試読なりしてみて、ラスボス戦がどれくらいの分量か確かめた上で。
シリーズ全体の分量とそのシリーズのボス戦の分量が比例していると感じるならば(比例しているか否かは個人の感覚で判断)、その漫画は読んでみる価値があるのかもしれない…と。


という事で、僕はバトル漫画には、ラスボス戦は重要だと思っていて。
内容もそうですが、分量に於いても重要だと考えます。
だから、ラスボス戦をキーワードとして、この作品を振り返ってみることにしました。
はい。
結論から書きますと、僕はこの観方で見た場合の「BLEACH」は、あまり面白いと思っておりません。
何故面白いと感じないのか。
具体的に書いていきます。

死神代行消失篇

と、その前にエピソードを前後して先にこちらについて。
この章のボス・銀城とのバトルは、一護の圧勝で幕を閉じました。
ピンチらしいピンチは特に無かったと記憶しています。

でも、このシリーズはこれで良かったと思うのですね。
分量的にも6巻程度と短めですし、何よりシリーズのテーマが一護の死神復帰でしたから。
一護自身が力を取戻し、ついでにパワーアップもさせちゃおうという、前哨戦のようなエピソードなので、ラスボス戦は然程重要では無いのかなと。

尸魂界篇

「BLEACH」最初の大長編シリーズですね。
囚われたルキアを救出しに、尸魂界に潜入するというお話です。

で、当時僕はこれを読んでいて、序盤はあまり楽しめていませんでした。
分かりやすくて・(基本的に)1話完結だった「死神代行編」が好きだったからというのもあるのですが、明確なボスキャラが不明だったからです。

この時点に於いて、確かに一護の敵は「護廷十三隊」(死神)だという事は明示されていましたが、ボスが誰だったのかがイマイチ判然としていなかった。
総隊長という事で、一番強そうな山本元柳斎重國なのか?
それとも、ルキアを直接攫った白哉なのか?

また、護廷十三隊の面子も決して「悪い敵」という描かれ方では無かったですし。
なんか良い人もいるっぽいぞという雰囲気であった為、「敵」としても疑問符が付いていた。

ただ、立ち塞がってくる死神たちとの戦いが延々と描かれていて。
途中でだれてきてしまったのです。

が、終盤に入ってこの僕の評価は180度変わりました。
死んだと思っていた藍染が実は黒幕でしたという衝撃の展開。
ここからの個人的な盛り上がりは凄かった。

同時にこのシリーズに対する僕の考えも変わったのですね。
この尸魂界編は「ルキア救出」が目的では無くて、「ラスボス・藍染を作り出す事」が目的だったのだと。
そう思い直したからです。
コミックスで約13巻相当。確かに長かったこのシリーズ。
ラスボス戦が無かったにも関わらず面白いと感じたのは、あくまでも次章への前振りと捉えることが出来たからでした。
(白哉戦は僕の中ではラスボス戦に非ず…です。)

だからこそ、この次の「破面篇」が残念でした。

破面篇

尸魂界編で作った魅力あるボスキャラ・藍染。
彼との決戦を描くことを前提として始まった章。
期待せずにはいられないじゃないですか。

でも流石に長すぎたwコミックスで28巻分は長すぎるw
でもね、それでも、いやだからこそ、一護と藍染の決戦は盛り上がるものと信じて疑わなかったのです。

信じていたのですが…。
非常にあっさりと…特に名場面というものは無く終わってしまい…。
藍染を強く見せることには腐心されていたというのは伝わってくるのですが、それをどう一護が上回るかの解釈が…。
いや、解釈自体は王道でしたね。
ただ、修行後の一護が本当にあっさりと勝ってしまったように感じたのです。
28巻も費やしたエピソードとは思えない程、僕には呆気なく感じてしまいました。

バトル漫画として、僕は「BLEACH」ってダメなのかもしれないと本気で思った瞬間でありました。

最終章に期待!

それでも僕はこの漫画に期待しています。
一度は熱狂的に好きになった漫画なんですもの。

最終章「千年血戦篇」のラスボスは、多分髭もじゃのクインシー?ぽいオジサンでしょうか。
こやつが尸魂界に突入している展開が期待感を煽るんですね。

ここで、幽閉されている藍染が関わってくれば…。
実はやっぱり藍染が黒幕でラスボスでしたという展開でもOK。
そうでは無くて、藍染がクインシーにあっさりと倒される事になっても、作品としては良いと思うのですね。

バトル漫画のお約束じゃないですか。
かつてのボスキャラが、更に強いボスキャラに斃されるのって。
新しいボスキャラの強さを見せることが出来ますし、そいつを最終的に倒す事でカタルシスだって得られる。

なんにせよ。
最終章こそ。最終章だからこそ、血沸き肉躍るようなラスボス戦が描かれる事を期待しています!!
非常に熱い戦いが描かれれば。
終わり良ければ全てよし!
僕はこの漫画を改めて好きになる気がします。

「BLEACH」が大好きな方には、大変失礼な記事となりました。
すみませんでした。