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パワーインフレの扱い方から見直すバトル漫画2 HUNTER×HUNTERはバトル漫画では無いと思う理由 

この記事は

「HUNTER×HUNTER」のパワーインフレについての記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

師匠理論

バトル漫画にはパワーアップが付きもので、その表現に説得力を持たせてくれると面白いと思うのです。
という事で、パワーインフレ第2弾は、冨樫義博先生の「HUNTER×HUNTER」です。

で、バトル漫画と言いつつ、僕はこの作品はバトル漫画だと思っておりませんw
冒険漫画?
適切な言葉が浮かばないのですが、まぁ、ジャンプでは「ONE PIECE」と同ジャンルだという認識。
何故そう思っているのかが、この記事の最終到達地点になります。

さて。ゴンらのパワーアップの表現には「DB」等大方のバトル漫画同様「師匠」が使われています。
師の師はもっと強い理論ですねw

ゴンにとって最初の師匠は「天空闘技場編」で出会う事になります。
ウイングですね。
彼からはこの作品にとっても、とても重要な技術を習得します。
いうまでもなく「念」ですw

これは面白い設定でした。
ヒソカら強敵が強敵たる理由が判明した瞬間でもありましたし、これの習得=強くなったという事がありありと分かりましたので。
また、多彩なバトル表現を可能として、この後のヨークシンシティ編以降、よりバトルに力が入れられる事になりました。

続いて第2の師匠ビスケには、「G・I編」で出会う事になります。
このビスケはウイングの師でもあり、実際にウイングよりも強かったと思う。
そんな人物から修行を付けて貰い、ゴン達はこのゲームをクリアしました。

ここまでは、一般的なバトル漫画同様のプロセスを辿っていて、しかも一定の説得力が伴っていると思います。
僕がこの作品は普通のバトル漫画では無い、そもそもバトル漫画ですら無いと強く感じたのはこの後ですね。
「キメラ=アント編」です。

バトル漫画とは思えない理由を物語観点から推察

そもそも最初から冒険色を濃くした作風であった為、バトル漫画としては見ていなかったのですが、決定的だったのがつい最近目出度く完結を見た現在最長編となっている「キメラ=アント編」です。

このシリーズのボスであるメルエム。
彼の死に方がバトル漫画では有り得ないものとなっていたからです。

通常ラスボスは主人公によって倒されます。
まぁ、当然の展開ですよねw
その為に物語が作られる訳ですから。

しかし、ゴンのターゲットは最初から最後まで変わらず、メルエムの部下であるネフェルピトーでありました。
その勝ち方も異質で、通常の修行によって身に着けた力によるものでは無く、突然の謎なパワーアップによるもの。
姿形が変わったので、これも「DB」の「見た目の変化」と言えそうですが、超サイヤ人(又は大猿化)とは比べ物にならない位の負担を背負うという、これまた異質な物。


普通バトル漫画でしたら何らかの理屈を付けて、主人公の最終的な打倒目標がボスに向くと思うのです。
それをしなかった時点で、また、メルエムの死が戦いによるものでは無かった時点で、この漫画はやはりバトル漫画では無いんじゃないかと思うのですね。

こうして物語的観点から見ても、バトル漫画である事は否定出来ると思うのですが、僕は「パワーインフレ」の観点からもバトル漫画である事が否定できると思っています。

バトル漫画とは思えない理由をパワーインフレ観点から推察

最初にも書きましたように、バトル漫画にはパワーインフレが付き纏います。
「るろ剣」等のように主人公の強さを最初から無敵に近い状態に設定する事でこれを避ける作品も多い為、全部が全部当て嵌まるとは言いませんが。

それでもパワーインフレはある程度は描かれるものだと思いますし、この作品でも前述のように描かれています。
しかし、この先インフレと呼べるほど無制限に強さを増す事は無いと思っています。

理由としては、そうですね。
何故パワーインフレが必要なのかという事ですね。
主人公をより強く見せる理由って、ようするにスケールをシリーズ毎に上げていく為ですよね。
もっというと、敵をドンドン強く見せる為。

例えば。純粋な力比べで勝敗が決する漫画があるとします。
イメージとしては「DRAGON BALL」が正しいw

この中で、主人公が敵Aを倒し、後に敵Bが出て来たとします。
この時敵の強さが 敵A>敵B だとしたらどうでしょう。
恐らく殆どの読者がつまらないと感じる筈です。

既に倒した敵Aより弱い敵なんて倒して当たり前だから、見応えが無いし見る必要が無い。

そう感じるんじゃないでしょうか。
だから、敵は新しい奴ほど強い必要があって、その敵を打ち負かすために主人公もドンドン強くなっていく必要がある。

「H×H」の場合能力バトル中心な為、必ずしも敵をドンドン強くする必要は無いのですが、それ以上の理由があって。

ヒソカや幻影旅団のクロロ。
ゾルディック家やネテロ会長もそうだし、メルエムだってそう。
強すぎて、未だに主人公が越えそうもないキャラがわんさか出ている。
最強のジョーカーが敵としていっぱい登場済みなんですよねw
(会長は敵では無いけれど)

「ドンドン強くなっていく敵」という概念は微塵もなくて、最初から漫画全体のラスボスが出て来ているという状態。
「DB」で言えば、悟空がブルマと最初のDB探しの旅をしている道中で、魔人ブウに遭遇したようなものですよw

相当の期間にわたって修行して修行しまくって、漸く勝てるかどうかという敵に、最初から出会っている。
ゴンが彼らを倒す事を目指して、それだけに物語の焦点が当たっているのならば、それはバトル漫画で疑いようが無い。
しかし、そうでは無いですよね。
ゴンの目標は、全然違う方向を向いている。
最強のジョーカーを倒すという目標が無い。

そもそもパワーアップの理由も、敵を倒すというよりかは目の前の目標を達する為にというものなので、これもまたバトル漫画の定義から外れている。
(敵を倒す事は、目標達成の通過点・過程に過ぎない)
だから、僕はこの漫画はバトル漫画だとは思っていません。

とはいえ、「バトル漫画」と見做してこの作品を見てみても、非常に面白い事には変わらない。
最強の設定を敵側に置くというのは非常にユニーク。
ヒソカの言動で、ゴンの成長過程(どれだけ力を付けたのか)が分かるし、説得力がある。

バトル漫画とは思っていないけれど、バトル漫画としてみても独創的で魅力の高い作品。
それが「HUNTER×HUNTER」であると思いますね。


余談ですが、やはりこの漫画は「DB」に似ている。
以前もそのような記事(リンク先の記事です)を書いたのですが…。
それ以外にもゴンの必殺技のジャジャン拳とか。
「DB」もそもそもは冒険ファンタジーで。
この作品は、「DB」が出来なかった最初から最後まで冒険ファンタジーを貫く作品というのを目指しているのかな…とかw
まぁ、んな訳ないですがw


□過去記事
 ・「HUNTER×HUNTER」 最近の展開が「DRAGON BALL」とダブる
 ・パワーインフレの扱い方から見直すバトル漫画(前編) DBを構成した2つの要素に関する考察
 ・パワーインフレの扱い方から見直すバトル漫画(後編) 初期から強い主人公の漫画とパワーインフレ