Mangaism

アニメ、漫画の感想や考察を書いてます

アニメ映画に於けるタレント起用についての自論

この記事は

タレントの声優起用に関する記事です。
ただただ長いだけの記事ですw

「ももへの手紙」が興行的には苦戦しているので

4月7日から広島・愛媛で先行上映が始まり、同21日より全国300巻規模で公開された「ももへの手紙」。
オリジナルアニメーション映画としては、異例の規模での公開だったらしく、興行目標もそれなりに見積もっていたらしいですね。
ところが、現状数字だけ見れば芳しいものとは言えないようです。

僕はこの映画を見に行っていませんので、内容に関しては言及できないのですが…。
やはりオリジナル作品というのは、難しいものなのだなぁと思ってしまいました。

同じように感じたのは、2年前の「宇宙ショーへようこそ」の時でした。
これは当時見に行ったのですが、個人的にはスゲェ面白く感じたのですね。
でも、世間一般の評価の(一つに過ぎない)興行収入は芳しくなかったと記憶しております。
公開2週目の週末に2回目を見に行ったのに、早くも1日1回上映になっていて、結局見れなかったという悔しい記憶が蘇る(^_^メ)

所詮は興行収入。内容の評価とは関係無いとは思っているのですが…。
それでも作り手側からは、評価の一つに違いないのがもどかしくて。
オリジナルのアニメ映画って当てるの難しそうだな〜と。

日本人はとことん保守的

とある漫画がTVアニメになりました。
放送が始まりました。
すると、原作コミックスの売上がアニメ放送前に比べて、飛躍的に増大しました。

なんていう現象…最近はあんまり見かけないですが(近年では「青の祓魔師」とか?)…結構お馴染みの光景であったりします。

作品によっては、アニメ化前の数倍の売上を記録したりします。
これ、よくよく考えるとちと不思議だと思うのです。

TVアニメの影響で売上が増す理由はいくつか僕でも考え付きます。
中でも"アニメを見て興味が出たから(先の展開を早く知りたいから)"っていうのが最も多勢を占める意見な気がします。
違うかもしれない。多分違う。
でも、そうだと仮定すると…コミックスが売れるには内容を知ってもらう必要があるという事なのかもしれないと考えます。
内容と言ってもコミックスの裏とかに書かれているような簡単な粗筋では無くて。

はい。まぁ、当たり前の事かもですが…。
TVアニメの良さは無料で見れる事なんですよね。
見る気が特に無くても、TVがあって、見る時間(余暇)さえあれば、誰でも見れる。
無料だから、見てみようかという気にもなるというか。

TVアニメ以外にも漫画を無料で見る手法なんて他にもいっぱいあります。
公式ネット配信、店頭での立ち読み、回し読み 等々。
これらによる原作へのフィードバックも勿論あると思います。
実際僕はwebサンデーの試し読みを機に「結界師」等のコミックスを買い始めたクチですし。

で、実際に見て、興味を持ち、お金を出してでもという気持ちになる。
日本人ってとても財布の紐が固いというか…。
内容を知って初めてお金を使うという事が多い気がするのですね。

逆に言うと深く内容を知らない限りはお金を出さない。
TVアニメ(等無料で内容に触れる事の出来る媒体)と原作コミックスの売上からはそういう事が見えるのではと考えています。

まぁ、漫画なんてものは安いものです。
500円もあれば少年誌連載作などのコミックスではお釣りが来ます。
雑誌になればもっと安くて、週刊少年誌ならば250円前後。

レンタルコミックや古本、漫画喫茶などなど。
漫画は安価で読む機会なんていくらでもあるので、例え内容を知らなくても、お金を出す事は多いとも思います。
表紙買い、作者買い。
理由は様々あると思いますが、そうやって気軽に買う事も出来ますしね。

でも、多くの人は、内容を知った上で初めてお金を払う行為に出る事が多いんじゃないかと。

映画の話に戻します。
これって何も日本人だけの事ではない筈。
ハリウッドに目を転じても、近年はリメイクや続編が多くなっています。
原因として「オリジナルシナリオを書ける作家が少なくなっているから、続編が増えた」という記事を以前読んだ事があります。
eiga.comの記事だったと記憶していますので、嘘や憶測などでは無いと思われるので、これはきっと事実。
でも、もっと分かりやすい理由も根底にはある筈で。

続編・リメイクはある程度の成績を残せることが保証されている分、作りやすいし、作られている。
コケるリスクが完全新作に比べれば低いですから。

やはり、完全なる新作よりも既に内容が知られている作品(シリーズ)の方が、一般的に人々はお金を注ぎ込みやすいという事なのでしょうね。
日本で、TVドラマの劇場版やTVアニメの劇場シリーズが多いというのも、当然な気がしてきます。

となると、内容を知る事の出来ないオリジナル劇場作品はとことん不利なのではないでしょうか。
「オリジナルアニメーション映画としては、異例の規模での公開」というのも、これが根本的な原因な気がします。

漫画と違って、最低でも1000円はかかりますからね。映画は。
内容知らなくても気まぐれで鑑賞する人だって、それなりに居る筈ですけれど、全体の割合からすれば少ないと思うんです。
そういう客層は。特にアニメ映画になると、それだけで敬遠する層は確実に存在しますし。
やはり、内容は知っていてもらうに限る。

ジブリだって最初は苦戦していた

あくまでも興行成績のお話です。
97年の「もののけ姫」(193億、1420万人)まで、際立った成績は上げていませんでした。
シネコンの増加などありますし、単純に公開時期・規模の異なる作品同士の比較は意味をなしませんが…。

まぁ、それでも圧倒的なまでの成績を上げていたようですが…。
やはり一般的に大きかったのは「もののけ姫」なのでしょうね。
これで「宮崎駿」と「スタジオジブリ」というのは、それぞれブランドとして確立された気がします。
内容自体は「ナウシカ」、「ラピュタ」等々初期の作品で十分評価されていたでしょうから、「もののけ姫」はあくまでも「ジブリブランド」を表す象徴的作品であるとは思いますが。

以降、内容が原作アリだろうとオリジナルであろうと関係なく大ヒットを連発。
「ジブリだから」、「宮崎監督だから」。
オリジナル作品でもジブリ映画に人がお金を出すのは、「内容を知らない」というマイナス点を十二分に補う保証があるからなのだと思うんです。

これと同じような意味で人が呼べるのが洋画ではディズニー(ピクサー)映画でしょうか。
勿論だからといってなんでもかんでもヒットするほど、映画は簡単な世界では無さそうなのですが。

これらから「オリジナルアニメ映画を当てる為の条件」を類推し纏めますと、以下の2つに集約されると考えます。
 ・内容を知ってもらう事
 ・人を呼べるPRポイントを盛り込む事(監督の知名等)

両方あれば最高ですが、片方でも良いと思う。
いや、どっちも無くても成功する時はしますし、両方内包していてもスベル作品はスベル。
だからこんなのは条件だなんて呼べないとも思うのですが(素人の僕が推察した条件なので、そもそも「条件」だなんて呼ぶ事自体間違っていますが)、それでも、多くの作品はこの条件を入れようとしていると思うのです。

それが「タレントを声優起用する」点です。

タレントを起用する意図

再びジブリの…宮崎駿監督の事に話を戻します。
またしてもwikipediaに、興味深い事が書かれていました。
監督のインタビューの一部らしいですが、タレントを起用する事に関して以下のように述べていたらしいです。

「日本の女性声優はコケティッシュな声の持ち主しかいないし、男性的な視点が欠けている。我々は全く必要としていない」

宮崎監督のように、演出的(っていうのかな)見地から考えてタレントを起用している事もあるようです。

ただ、僕はこのような事は稀なのではないかと思っています。
多くは、作品の宣伝目的…なのかなと。
実際ジブリにしても

宣伝効果や観客動員寄与を優先するプロデューサー鈴木敏夫の意向

らしいですし。

タレントというのは、それだけで色々と宣伝になりますよね。
TV番組や雑誌などでの顔出しの宣伝も、本職の声優にはなかなか出来ない仕事ですし。
宣伝の方法や単純な物量にもよりますが、僕が類推した2つの条件ともをクリア出来る、とっておきの手法である気がします。

近年タレント起用は当たり前になりつつある気がします。
「ドラえもん」、「ポケモン」、「コナン」に「クレしん」等々。
定番のTVアニメの劇場シリーズもゲストとしてタレントを起用する事が定番となりつつあります。
(近作の「ドラえもん」はその方向性から脱却しつつあるらしいですが)

オリジナル作になると主役レベルからタレントになりますし、それが本当に当たり前になっていますが、このような事情があるのならば、致し方ない気もしてきます。

同じタレントなら舞台経験者をという希望

とはいえですが…。
やはり決して上手くも無いタレントが喋りまくると、見ていてげんなりしてしまう事も事実です。
タレント起用が、成績面で明確にプラスに生じていると見做せる作品があまり無さそうに思えてしまうのも、そう思ってしまう理由の一つにもなっています。

この辺、もう少しどうにかなって欲しいとは思うのですね。

少し話を変えます。
知り合いの声優志望の方にお聞きした話なのですが…。
驚くべきことにギャラも本職声優よりもタレントの方が桁違いに高いらしいです(汗

それもあってか、本職からも最近のタレント起用の風潮は歓迎されていないようでして。
そりゃそうですよね。
プロの自分達よりも(「声優」という仕事としては)素人の方が高給なんて、冗談じゃないと思うのが普通だと思いますもの。

こういう話を聞いてしまうと、余計に本職の声優さんを起用して欲しいと思ってしまうものですね。
タレントのギャラには、まぁ、もろもろ宣伝費的な何かが含まれていそうではありますが、演技的には圧倒的に劣る事が多いですしね。

やはりアニメって声優さんの演技力にかかっていますよね。
アニメも漫画もドラマも、キャラクターの集合体な訳で。
キャラクターがいてこそ成り立っている。

アニメの場合、そのキャラクターを形成する要素の大部分を声が担っていると考えます。
声から吹き込まれる魂とでもいいますか。
それ程声は重要なファクターだと僕は思っていますし、その声を出されているキャストも大事だと思うのです。

どうせタレントを起用するのでしたら、最低限の演技が出来る方を起用してもらいたいものですね。
僕はアフレコでの演技と舞台での演技って似ていると思っています。
舞台って遠くの観客にも芝居を魅せる必要がある為、どうしてもTVドラマなどに比べて、所作もセリフの抑揚も大袈裟なくらいに大きくなるじゃないですか。

TVドラマなどでは、表情で演技する事が基本で、演劇は(主に)声や仕草で演技する。
この辺がアフレコにも通じる点だと思っていて。
本職の声優さんでも、舞台役者を兼ねている方っていっぱい居ますしね。
件の声優志望さんの話だと、舞台役者を好んで起用する音響監督も確かにいるようですし、映画でも舞台役者(舞台経験が豊富な俳優)中心に選んでくれないかな〜。

内容が面白くても、演技がな〜と思う事が多くなってきたので、こんな事を書いてしまいました。
長くなりました。
最後まで駄文に御付き合い頂き、ありがとうございました。