アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

「流行りの絵」って一体何?という疑問から考えた事。

この記事は

「流行りの絵」というのは何の事だろうかという事を考えた記事です。

はじめに。

時折ネットで新作(放送前の)アニメの記事を巡っていて、気にかかる言葉に出会う事があります。
「絵が古い」
というものです。
公開されたキービジュアルを見た人の意見なのですが、同じような言葉を見かける事って誰しもありますよね。
実際に過去同じような思いを抱いた事のある方もいらっしゃるのでは?
でも、僕にとってはこれは実に不思議な言葉なのです。

まず、理解が出来ないという根本的な理由。
「古い」と評されている絵を見ても、「どこがどう古いのか」僕自身分からない事が往々にしてあります。
その他の作品の絵と比べても、格別「古い」とは感じないのです。
僕自身があまりそういう事に頓着が無く、関心が薄いからというのもあるかもしれません。
それにしても、何故古いと感じる方がいるのかが分からないのですね。
その最たる理由が「基準が分からないから」なんですよね。

「古い」等という比較を表す言葉を用いる以上、それを想った人の中には、少なからずなんらかの基準がある筈です。
その人が好きな絵師さんの絵なのか。好きな作品の絵なのか。
はたまた、独自の僕には及びもつかない判断基準が存在しているのか。
僕の中にはその「基準」が存在していない為、理解が出来なかったりするんじゃないかなと。

また、「古い」という意見と同時によく「流行りの絵」なんというフレーズを見かけることがあります。
この2つの言葉が、同時に使われている事が往々にしてあるのです。
とすると、このような感想を持つ人の中には、その「流行りの絵」という基準があって、そこから「新しい」か「古い」か判断されているのではと推測できます。

で、ここまで考えてふと思ったのですよね。
じゃあ、その「流行りの絵」って何?という事です。
誰が・いつ・どのようにして決めているのでしょうか?
今回はそういうお話。

時代によって変わる女性の顔

流行の絵に関して言及する前に、先ずは、時代ごとに変わるキャラクターの顔に関して書いていきます。
最初僕は「流行りの絵」というのが分からないと書きました。
1、2年程度の絵の変化なんて分からないのです。

そんな僕でも10年くらいの単位での変化ならば分かります。
というか、前々から一つの自論があったりします。
「女性キャラの顔を見れば、だいたいの放送年代が分かる」というものです。

何故女性キャラ限定かというと、男性キャラ以上にその時代の影響を受けると考えているからです。
ファッションのようなものですよね。
例えば、女性の流行りのファッションって昔から存在していて、女性の服装や化粧の方法(?)なんかを見れば、その時代が分かったりします。
何が流行ったのか、いつの時代なのか。
そういうのが分かると思うのです。
これはアニメになっても同じだと思っていて。
女性はやはり時代の写し鏡なのですよ。

論より証拠…とは言い切れませんが、ではここで例を出してみます。
後々のお話を展開しやすくするために、オリジナルアニメに絞って色々と検索を掛けてみました。
昔っから放送されていて、かつ、今でも現役の作品。
出来ればキャラ原案のイラストレーターさんも固定なら尚OK…。
という感じで探したら、実に都合の良い作品があるではないですか。
「マクロスシリーズ」という!

てなわけで、最新作から紐解いてみます。
先ずは2008年放送の「マクロスF」ですね。

キャラクターデザインは江端里沙さんと高橋裕一さん。
シリーズに長く携わってきた美樹本晴彦さんが関わっていない為趣は異としていますが、それでもシリーズの一作として大きな変化は見られない様な気がします。
ただ、ランカ・リーのような眼の大きさは、近年の特徴の一つですよね。
大きな目や極限まで簡略した鼻など、全体的にロリっぽく見える絵柄が主流になっている気がします。

続いて90年代。
94年放送の「マクロス7」です。

キャラクター原案を美樹本晴彦さん。アニメキャラクターデザインを桂憲一郎さんが担当しています。
「F」のランカとシェリルを足して2で割った感じでしょうか。
この年代は、一番バランスが良いように感じます。
ロリ過ぎず、かといって劇画風でも無い顔をしていて、頭身も良い感じで。
髪の毛の描写が細かいというのも特徴かもです。
あくまで僕のイメージですが。
このミレーヌ・ジーナスもそんなイメージ通りのキャラです。

さて、更に時を遡りましょう。
シリーズ第1作「超時空要塞マクロス」ですね。放送は1982年。

美樹本晴彦さん自らキャラクターデザインを務めています。
この時代になると、今とはもう全然違います。
小さな目、高い頭身(これはイメージ)。劇画っぽい絵柄が多かった印象です。

※上記「マクロスシリーズ」の画像は、参考画像としては不適切である事をコメントにて教えて頂きました。
大変失礼致しました。以降気を付けます。


この時代になると、まず輪郭から変わりますよね。
しもぶくれ気味の丸顔で、目も細いです。
眉も太く、凛々しささえ覚えます。
ちなみに平安時代です。

このように一つのシリーズを見てみても、その時代を反映しているように感じます。
マクロスはあくまで一例ですが、それぞれの時代の他の作品を見てみても、印象は大きく変わらないと思っています。
時代毎の顔の変遷…いわゆる「流行りの絵」というのは、ナルホド確かに存在してるような気がします。

誰がどうやって決めているのか。

とすると、誰がどのようにしてそれを決めているのかが気になります。
まさか「流行り絵策定委員会」なるとこが、「今年はこのような画風を流行らせましょう!」とアニメ業界やらに無理を強いている訳では無いでしょうし(笑
誰が決める訳でも無く、自然と一つの流れが出来るというのが正しいのかもしれません。
とはいえ、絵は人が書くものです。
特にこういうのには、アニメーターやイラストレーターの力が左右しているように思えます。
漫画家はこの範疇にはあまり入って来ないんじゃないかなって思う。

とりわけ僕はイラストレーター…絵師と呼ばれている人たちの力が強いんじゃないかなって思っています。
この人たちは、ひたすら「売れる絵」を模索しているというイメージを持っているからです。
色々な業界にアンテナを張って、何が求められているのかを収集・分析して、それを絵として表していると。
そんな努力を重ねたイラストレーターの作品が様々な分野で発表される。
あるいはアニメだったり、あるいはゲームだったり、イラスト集であったり。

流行りの絵というのは、突き詰めると流行りの作品に当たるのかもですね。
ある作品が爆発的な人気を集めると、自然とその絵柄が評価される。
すると他のイラストレーターやアニメーターが追随し、そのイラストを基にして一つの流れを作る。
こうして「流行りの絵」というのは生まれる…のかなって。
誰か特定の個人が決めるのでは無くて、作品を作る側が、そしてそれを享受する我々が自然に決めているのかもです。

とするとここ10年くらいの流行りは「ロリ」に違いない!
可愛いは正義!という事でしょうか。
この次は何が流行るのでしょうね。

始めの疑問に戻りましょう。
こう考えると「古い」と感じることに違和感を覚えます。
本当に10年、20年前の絵柄に近いという場合ならば分かります。
それは間違いなく「古い絵柄」なのでしょう。(古ければ悪い訳では決して無いですけれどね。)
でも、そうじゃなければ、それは「古い」のでは無くて「新しい」んじゃないかな?
今の流行りとは違う。でも、一昔前の絵には見えないのだとしら、それは今後の「流行りの絵」の始まりになる可能性があるって事ですよね。
どうも「絵柄が古い」という言葉が良い意味で使われて無さげなので、発想を転換してみて欲しいと想ったり。
「これは古いのでは無くて、次世代の流行の絵の可能性を秘めた素晴らしい絵」なのだと。