アニメな日々、漫画な月日

アニメ、漫画の感想・考察

「あの夏で待ってる」 色から妄想する物語の結末

この記事は

「あの夏で待ってる」に関する考察記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

主線の色による演出あれこれ

キャラクター、背景等々。アニメには様々なモノが描かれていますが、それらは唯一つの色で描かれている事が殆どです。
全て黒色で線が引かれ、そこから様々な色に彩色されています。
これはもう常識と呼べるものでしょうね。
当たり前のように、黒で線が引いてある。

だからこそ、この主線の色を変える事が一つの演出として成り立っているのではと思っております。

今期で言いますと、例えば「キルミーベイベー」。
少ないキャラ同士の掛け合い漫才(?)を中心としているこのアニメでは、やはりキャラを際立たせる事が重要なのでしょうね。
だからなのか、背景を黒以外の色で描く事によって、キャラと背景を明確に区別しています。

また、色とは少し違いますが主線の太さをわざと変える事で、違いを明示している作品もありました。
劇場版「DRAGON BALL Z 復活のフュージョン!!悟空とベジータ」です。

この作品、死んだ人間が地上に蘇ってくるという粗筋なのですが、普通に描いてしまうと誰が蘇ったキャラなのか分からないですよね。
メイン級のキャラならいざ知れず、モブキャラになると分からない。
これがはっきりと見ている人に伝わらないと、作中の混乱っぷりも伝わり辛いですよね。

そこで、死んでいたモブキャラは、敢えて主線を極太にするという演出が採られておりました。
生きているキャラは通常の細さで描かれていたため、パッと見で誰が生き返ったキャラなのか分かるというものでした。
(この事は関連書籍に書かれていた事ですので、本当のお話です。)

このように意図は様々ですが、アニメでは主線を普段と弄る事が一つの演出技法なのだと見れると思っております。

これは切ない青春群像劇

さて、では「あの夏」ではどうか。
3話の放送にて、この演出が見られました。
海人やイチカの妄想シーンで、キャラの主線の色が変えられて描かれていました。
線の色を変える。たったこれだけで、事実では無い妄想の中の出来事なのだと分かるのですよね。

同じ長井監督の「あの花の名前を僕達はまだ知らない。」でも、同様の手法が見られますので、これは確実に長井監督は、主線の色の違いに何か意味を持たせていると考えても良いのではと思うのです。

そこで僕が注目したのがエンディングです。
2話までは途中からしか流れなかったエンディングですが、3話にして漸く全貌が放送されました。
で、このエンディング。キャラごとに線の色が違うんですよね。
まとめますと

霧島海人⇒青
貴月イチカ⇒赤
谷川柑菜⇒オレンジ
北原美桜⇒ピンク
石垣哲朗⇒緑
山乃檸檬⇒黄色

最初、ここでも色によって何かを表しているのかなと思ったのですが、どうやらそれは無さげですね。
一部腑に落ちないキャラもいますが、殆どのキャラは名前から色が決められているみたいですので。
(海⇒青、柑橘⇒オレンジ、桜⇒ピンク、檸檬⇒黄色)
各人の色はスタッフ…長井監督か脚本の黒田氏らから見たイメージカラーというだけなのでしょう。


最初は妄想をここで終わらせたのです。
なんだ何の意味も無かったのかと。

ただ、よくよく見返してみると、明らかにイチカだけ他のキャラと違う描かれ方をしていることが気になって来ました。
彼女だけ、青い宇宙船のようなものを手の上で踊らせているのですよね。


で、単純にこの青い宇宙船はそのまま海人の事を表しているのかなと思い立ちました。

エンディング最初のカット。
掌の上でくるくる回っている宇宙船を見つめるイチカ。
反転した赤一色のシルエットでは、青の宇宙船まで赤で塗られている。
ラストカットでは、赤い線で描かれたイチカの下から、青い宇宙船はどこか彼方へと飛び去って行く。

青の宇宙船を海人とするならば、イチカの色に染められた宇宙船は2人が付き合う事になる事を象徴しているように見えました。
しかし、最後2人は遠く離れ離れになってしまう。


この作品が、過去の一夏を想起しているであろうことはタイトルからも窺えます。
「あの夏」という言い回しは、日本語的に解釈して、現在から見て過去の夏の出来事であるとなるからです。
「待っていた」等の過去形で無いのは、「撮影したフィルムを見返せば、いつでもあの頃の夏に(感覚が)戻れる」からという事なのでしょう。

公式サイトでキャラ紹介を見ても、これから海人達が撮影する映像は「イチカ一人だけの登場作品」と見て良さそうですし、
(出演者が他に哲朗しかおらず、しかも脇役っぽい表記な為)タイトルから考えても、海人が嘗ての恋人を想い一夏の出来事を想い出している物語と見れそうです。
「イチカ」という名前も「一夏(ひとなつ)」から来てるのかもしれませんね。